仕事で利用したレンタカー代は、ほとんどの場合経費として計上できます。
しかし、レンタカー代に使える勘定科目は、旅費交通費や車両費、賃借料など複数が該当するため、どの勘定科目を使ったらいいか迷う経理担当者は少なくありません。また会社によってレンタカー代に使う勘定科目も異なります。
この記事では、レンタカー代や、レンタカー代以外にも発生するガソリン代・保険料・修理代・高速代の勘定科目から仕訳方法まで、仕訳例を交えながら詳しく解説していきます。ぜひご一読ください。
目次
1.レンタカー代の勘定科目に使えるのは主に3つ
出張先や営業など、仕事でレンタカーを利用した場合に使える勘定科目は主に以下の3つです。
・旅費交通費
・車両費
・賃借料
レンタカー代の仕訳に使う勘定科目には特に決まりはないので、レンタカーを使う目的で選ぶとよいでしょう。会社のルールで決まっていることもあるので、前例があればそちらに合わせます。ではレンタカー代で使える勘定科目についてひとつずつ見ていきます。
1-1.旅費交通費
旅費交通費は、出張や営業活動で移動する時に生じた旅費・交通費を計上する際に使う勘定科目です。出張や営業活動で移動する時のレンタカー代は、勘定科目に旅費交通費を使うのが一般的です。
旅費交通費では、レンタカー代だけでなく出張先での宿泊費や日当などもまとめて計上できます。社員旅行でレンタカーを借りた場合は、業務目的ではないので福利厚生費にする方法もあります。
1-2.車両費
車両費は、自動車の保守や使用に関わる費用など、車両全般に関する費用を計上する際に使う勘定科目です。出張と営業活動、出張や営業活動と物品を配送する事業、のように用途でレンタカー代を分けて管理したい時に車両費として計上する場合があります。会社の事業内容に合わせて、わかりやすいように適宜使い分けるとよいでしょう。
出張と営業活動で勘定科目を分けて管理する時 | |
出張でのレンタカー代 | 旅費交通費 |
営業活動でのレンタカー代 | 車両費 |
出張や営業活動と物品を配送する事業で勘定科目を分けて管理する時 | |
出張や営業活動でのレンタカー代 | 旅費交通費 |
物品を配送する事業でのレンタカー代 | 車両費 |
1-3.賃借料
貸借料は、土地や機械などを借りたときの費用を計上する勘定科目です。リース料の科目で呼ばれることもあります。レンタカーをマンスリー契約や中長期のカーリースで利用する際には、賃借料の勘定科目で計上する場合があります。
2.レンタカー代の仕訳例
では実際にレンタカー代を仕訳してみましょう。
2-1.レンタカーを現金で借りた際の仕訳例
レンタカー代(15,000円)を現金で支払った場合の仕訳例です。勘定科目は旅費交通費を使用します。
借方 | 貸方 | ||
旅費交通費 | 15,000 | 現金 | 15,000 |
2-2.レンタカーをクレジットカードで借りた際の仕訳例
レンタカー代(15,000円)をクレジットカードで支払った場合の仕訳例です。勘定科目は旅費交通費を使用します。
レンタカー代をクレジットカードで支払う場合には、現金で支払う場合と仕訳方法が異なり、クレジットカードの決済時と引き落とし時で会計処理が2回になります。レンタカー代(15,000円)を①クレジットカードで決済した時に未払金を計上し、②口座から引き落された時点で未払金を消し込みます。
①クレジットカードで決済をした時
借方 | 貸方 | ||
旅費交通費 | 15,000 | 未払金 | 15,000 |
②クレジットカード代が口座から引き落とされた時
借方 | 貸方 | ||
未払金 | 15,000 | 普通預金 | 15,000 |
3.レンタカー利用時のガソリン代・保険料・修理代・高速代の仕訳方法
レンタカーの利用時には、ガソリン代・保険料・修理代・高速代などが別途発生する場合があります。レンタカー代だけでなく、これらの費用も経費で計上することができます。
ではひとつずつ見ていきます。
3-1.ガソリン代を支払った場合
ガソリン代の勘定科目には特に決まりはなく、旅費交通費、車両費、車両関係費、燃料費として仕訳をすることができます。レンタカー利用時のガソリン代には、主に旅費交通費や車両費が用いられます。移動にかかる経費をまとめて管理したい時には旅費交通費、自動車関係の費用をまとめて管理したい時には車両費として計上するなど、わかりやすように適宜使い分けるとよいでしょう。
移動にかかる経費をまとめて管理したい時 | 旅費交通費 |
自動車関係の費用をまとめて管理したい時 | 車両費 |
3-2.自動車保険に加入した場合
自動車保険の保険料は、損害保険料または車両費として仕訳をすることができます。レンタカー利用時に自動車保険に加入した場合は、損害保険料の勘定科目を用いて計上するのが一般的です。
※損害保険料は「消費税非課税」として処理するのを忘れないようにしましょう。
3-3.修理代が発生した場合
万が一レンタカーで事故を起こしてしまった場合は、修理費が発生します。自動車保険を利用するケースもありますが、修理費を支払うことになった場合は修繕費の勘定科目を用いて仕訳します。
3-4.高速道路でETCを利用した場合
レンタカー利用時に高速道路でETCを利用した料金は、旅費交通費または車両費として仕訳をすることができます。ETCの利用料金は旅費交通費の勘定科目を用いて計上するのが一般的ですが、ガソリン代や自動車保険の料金と一緒に自動車関係の費用をまとめて管理したい場合には車両費として計上することもできます。
4.レンタカー利用時のガソリン代・保険料・修理代・高速代の仕訳例
では実際にレンタカー利用時のガソリン代・保険料・修理代・高速代を仕訳してみましょう。
4-1.ガソリン代を支払った場合の仕訳例
ガソリン代(5,000円)を現金で支払った場合の仕訳例です。勘定科目は旅費交通費を使います。
借方 | 貸方 | ||
旅費交通費 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
4-2.自動車保険に加入した場合の仕訳例
自動車保険料(3,000円)を現金で支払った場合の仕訳例です。勘定科目は損害保険料を使います。
借方 | 貸方 | ||
損害保険料 | 3,000 | 現金 | 3,000 |
4-3.修理が発生した場合の仕訳例
レンタカーに傷をつけてしまい、修繕費(20,000円)を現金で支払った場合の仕訳例です。
借方 | 貸方 | ||
修繕費 | 20,000 | 現金 | 20,000 |
4-4.高速道路でETCを利用した場合の仕訳例
高速道路を利用し料金(2,000円)をETCカードを利用して支払った場合の仕訳例です。勘定科目は旅費交通費を使います。
高速代をETCカードを利用して支払う場合も、クレジットカードで支払う時と同様、高速代を現金で支払う場合と仕訳方法が異なり、ETCカードで支払った時と引き落とされた時で会計処理が2回になります。高速代(2,000円)を①ETCカードを利用して支払った時に未払金を計上し、②口座から引き落された時点で未払金を消し込みます。
①ETCで支払いをした時
借方 | 貸方 | ||
旅費交通費 | 2,000 | 未払金 | 2,000 |
②ETCの利用料金が口座から引き落とされた時
借方 | 貸方 | ||
未払金 | 2,000 | 普通預金 | 2,000 |
5.レンタカー代の経費計上で注意したいポイント2つ
ここからは、レンタカー代を経費計上する際に注意したいポイントを2つ見ていきます。
・レンタカー代を経費計上できないケースがある
・レンタカー代の勘定科目は会社によって異なる
5-1. レンタカー代を経費計上できないケースがある
レンタカーを業務以外の用途で利用した場合、レンタカー代は経費として計上できません。プライベートで発生した費用の場合は経費と区別する必要があります。
「行きは仕事でレンタカーを利用し、帰りは観光でそのままレンタカーを利用する」というような、仕事とプライベートにまたがってレンタカーを借りる場合には、按分計算する(割合で費用を分ける)必要があります。そのためには業務日報や移動記録を残し、レンタカー代を時間や距離で分け、業務での利用分だけ経費として計上します。
5-2.レンタカー代の勘定科目は会社によって異なる
レンタカー代や、レンタカー代以外にも発生するガソリン代・保険料・修理代・高速代などのレンタカー関係の勘定科目は会社によって使うものが異なります。すべての費用を旅費交通費でまとめてしまうケース、支払い項目によって勘定科目を使い分けるケースなど様々です。
勘定科目を決めるときに大事なのは、どの勘定科目を使ったら社内の経費を管理しやすくなるか考え、決まった勘定科目を使い続けることです。事業内容や用途にあわせて勘定科目をルールとして決めて、運用しましょう。
6.仕訳業務にお困りの際は辻・本郷 税理士法人にご相談を
日々の取引で発生した売上や経費などを仕訳し記帳する業務は、事業を長く続けていくためにはとても大切です。しかし、取引量が多い企業にとっては大きな負担となり、仕訳や記帳の業務負担でほかの経理業務に手が回らなくなっては本末転倒です。
これらの業務を税理士へアウトソーシングすれば、業務の負担を軽くすることができます。辻・本郷 税理士法人では何度でも無料相談が可能です。お困りの際は辻・本郷 税理士法人にぜひご相談ください。
7.まとめ
ここまで、レンタカー代や、レンタカー代以外にも発生するガソリン代・保険料・修理代・高速代の勘定科目から仕訳方法まで見てきました。
レンタカー代にはどの勘定科目で計上するか明確なルールはありません。事業内容や用途にあわせて社内でルールを決め、決まった勘定科目を使い続けることでスムーズに精算業務が回るようにしましょう。