共有持分の相続には公正証書で遺産分割協議書を作ろう

author-avatar
監修者 新井健一郎

「共有持分を相続するときに遺産分割協議書は必要?」「遺産分割協議書には何をどう書けばいいのだろう?」といった疑問をお持ちではありませんか?

相続の際には、共有持分ではない遺産の相続であっても、金融機関や証券会社、法務局や税務署、運輸支局などに提出が求められるため「遺産分割協議書」を作成します。

ただし、共有持分の不動産を相続するという場合には「相続の際に提出が求められるため」という理由ではなく、共有持分の割合などを明確にして相続をするために、遺産分割協議書を作成してトラブルが起こりづらくしておくことが非常に重要となります。

つまり、共有持分を相続する際には、まずはトラブル回避の第一歩として、共有持分の割合などを明確に記した遺産分割協議書を作成することを推奨いたします。

相続人のうち、誰がどの遺産をどれだけ相続するか記載した遺産分割協議書を、特に公正証書で作成すると、法的効力があるため、相続した後の家族間のトラブルを避け、円滑な関係を保つためにも非常に役立ちます。

この記事では、遺産分割協議書を公正証書で作成するための基本的な知識や、具体的な記載方法、作成の際のポイントを解説し、共有名義不動産の相続手続きをスムーズに進められるようサポートいたします。ぜひ参考にしてください。


目次

1.遺産に共有持分が関わる場合、公正証書で遺産分割協議書を作成することがおすすめ

遺産に共有持分が関わってくる場合には「遺産分割協議書」を公正証書で作成することをおすすめします。

その理由、また、共有持分の相続でも遺産分割協議書が不要なケースについて、この章でご説明いたします。

1-1.共有持分の相続では、公正証書で遺産分割協議書を作成すべき理由

公正証書で協議書を作成することが推奨されている理由は、一般的に、公正証書は高い信頼性が認められる書類であるため、結果として後に相続人の間でのトラブルを防ぐことになるからです。

公正証書での作成では、公証人が内容を確認しながら作成するため、内容の正確性も保証されます。

例えば、相続人の間で協議書を自分たちで作成した場合や、協議書をそもそも作成しなかった場合、後から遺産分割協議に関する解釈の違いが生じたり、遺産分割協議時に「言った」「言わない」の水掛け論になったりして争いになるケースがあります。

しかし、公正証書で協議書を作成しておけば、協議書の内容が公的に認められているため、万が一紛争が発生した際にも、有効な証拠として活用できます。

このように、共有持分の関わる遺産相続の際には、遺産分割協議書を公正証書で作成することで相続手続きが円滑になり、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。

1-2.共有持分の相続に遺産分割協議書が必要ないケース

ただし、被相続人が法的に有効かつ、相続人らが納得できる内容の遺言書を作成しているケースでは、その内容に従って財産を分割するため、遺産分割協議書をわざわざ作成する必要はありません

遺言書には財産の分配方法が明記されており、その内容に従って手続きを進めれば、相続人の間での話し合いを行う必要がないためです。

例えば、遺言書で不動産や預金の分配が具体的に指定されている場合、その指示に従い手続きを進めるだけで、遺産分割協議書を作成せずに相続を完了させることができます。

したがって、法的に有効で、相続人らにとって異議のない遺言書がある場合は、協議書の作成は不要です。

また、法定相続分に従って不動産を相続するケースにも遺産分割協議書の作成は不要です。

法定相続分に基づいて手続きを進める場合、登記手続きなどを行うだけで相続が完了するため、協議書を作成する必要がないためです。

ただし、法定相続分どおりに分けると、不動産を複数人で共有することになる場合など、共有持分が絡み、後々のトラブルを避けたいという場合には、法定相続分で遺産分割を行う場合でも、遺産分割協議書を作成することを検討する必要が生じるケースもあります。


2.遺産分割協議書を公正証書で作成する前に準備しておきたいこと

遺産分割協議書を公正証書で作成するにあたって、いくつかの行程が必要となります。

この章では、協議書を公正証書で作成する前に、あらかじめ準備しておきたいことについてご説明いたします。

2-1.法定相続人が誰なのか明確にする

法定相続人が誰かを調べておくことは、公正証書で協議書を作成する上で重要になります。

なぜなら、公正証書で遺産分割協議書を作成するときには、各相続人が正しく相続人であることを示す書類を提出する必要があるためです。

具体的な作業としては、被相続人の誕生から死亡の間の全ての戸籍謄本を、市区町村の役場から集めます。

戸籍謄本を調べることで、被相続人の尊属(父母等)や兄弟姉妹、先妻の子なども含めて、法定相続人にあたる方が誰なのかが分かるようになります。

2-2.共有持分を含め、遺産にあたる財産を調べる

次に必要なのは、遺産にあたる財産を調べることです。

現金だけでなく、預貯金も調べる必要があるため、被相続人が口座を保有している金融機関も調べましょう。

不動産資産については、該当する市区町村の役場で、固定資産課税台帳を見てみましょう。被相続人の所有していた物件について調べることができます。この際に、物件に被相続人以外の共有名義人がいるかについても調べておく必要があります。

2-3.公証人に問い合わせる

公証人を必要とする際には、日本公証人連合会へ問い合わせる、あるいは公証役場に問い合わせた後、公証役場に赴く必要があります。

日本公証人連合会のウェブサイト(以下のURL)では、都道府県別の公証役場の検索ができます。お近くの公証役場を検索してみてください。

公証役場一覧|日本公証人連合

また、公証人に協議書を作成してもらう場合、手数料がかかります。手数料の金額は、遺産分割協議書作成の場合、遺産の価額によって異なります。

各相続人に相続する遺産の価額を、以下の手数料額についての表で示す「目的の価額」として手数料を算定していき、その合計額が公正証書としての手数料の金額となります。

目的の価額手数料
100万円以下5000円
100万円を超え200万円以下7000円
200万円を超え500万円以下11000円
500万円を超え1000万円以下17000円
1000万円を超え3000万円以下23000円
3000万円を超え5000万円以下29000円
5000万円を超え1億円以下43000円
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額

2-4.遺産分割協議の準備をする

法定相続人、遺産の調査を終えた後に、遺産分割協議を行うことになります。この際には、全ての相続人に対して、協議の行われる日時と場所を伝えておきましょう。

電話やメールなどで連絡をしても問題はありませんが、協議書を作成する際には必ず、相続人全員の合意が必要になります。連絡は、確実に相続人全員に行き届くようにしておきましょう。

2-5.協議後、公正証書にするための書類を集める

協議書を公正証書にするためには、いくつかの提出書類が必要です。公証人の指示に従って、公証役場で取得しましょう。

主に必要な書類を以下に記します。

 

・公正証書作成のために用いる資料(遺産分割協議書、あるいは協議書に関する情報のメモ書きなど)

・被相続人の戸籍謄本など(誕生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本など)

・相続人の戸籍謄本

・相続人の印鑑登録証明書と実印

・不動産資産に関する証明書類(固定資産評価証明書、登記事項証明書など)

・金融資産に関する証明書類(被相続人の預金通帳、有価証券の残高証明書など)

・負債に関する証明書類(借入先の残高証明書など)

その他にも、場合に応じて追加の書類が必要になることもあります。


3.共有持分が関わる場合の遺産分割協議書の書き方(参考例)

遺産分割協議書には、既定の書式というものは存在していません。

そのため、この章では、不動産を共有分割して相続する場合遺産分割協議書のひな形をご紹介します。

公正証書で作成する場合には、協議書は公証人が作成することとなりますが、万が一ご自身で作成の必要が生じた場合や、作成された協議書のチェックの際に、必須項目について触れられているかなど、ぜひ確認してみてください。

3-1.遺産分割協議書の記載項目

遺産分割協議書に記載すべき項目は以下の通りです。

①被相続人の情報

氏名、 生年月日、 死亡年月日、 本籍地が必要です。

②相続人全員が遺産分割協議に合意している旨

相続人全員の同意が取れている旨について記載されることが重要です。

③相続人のうち誰がどの財産を取得するのか

遺産分割協議で取り決めた内容について具体的に記載します。

④作成年月日

遺産分割協議書の作成日を記載します。

⑤相続人全員の住所氏名と署名捺印

すべての相続人が署名し、捺印することが必須となります。

3-2.遺産分割協議書の記載例

遺産分割協議書のひな形を以下に記載します。参考にしてみてください。

遺産分割協議書

 令和〇〇年〇月〇日被相続人辻太郎の死亡により開始した相続における相続人全員は、本日、被相続人の遺産を分割することに合意した。

被相続人の詳細を以下に記す。

被相続人   辻本太郎(昭和○○年○○月○○日生まれ)

死亡日    令和○○年○○月○○日

本籍地    ○○県○○市 ○丁目○番

最後の住所地 ○○県○○市 ○丁目○番○号

被相続人の遺産について、共同相続人の全員において分割協議を行った結果、下記のとおり遺産を分割することに合意した。

1.相続人 辻本花子が取得する遺産

​ ​【土地】持分2分の1

 所在:○○市○○町○○丁目

 地番:○番

 地目:宅地

 地積:○○.○㎡

 【建物】持分2分の1

 所在:○○市○○町○○丁目

 家屋番号:○番

 種類:居宅

 構造:木造かわらぶき2階建

 床面積:1階○○.○○㎡

     2階○○.○○㎡

 【現金】○○,○○○,○○○円

 【預貯金】

 ○○銀行○○支店 定期預金 口座番号○○○○○○○

 ○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○

 ただし口座名義人はいずれも被相続人 辻太郎

2.相続人 辻本一郎が取得する遺産

 【土地】持分2分の1

 所在:○○市○○町○○丁目

 地番:○番

 地目:宅地

 地積:○○.○㎡

 【建物】持分2分の1

 所在:○○市○○町○○丁目

 家屋番号:○番

 種類:居宅

 構造:木造かわらぶき2階建

 床面積:1階○○.○○㎡

     2階○○.○○㎡

3.相続人 辻本次郎が取得する遺産

 【有価証券等】

  ○○証券○○支店(口座名義人:辻太郎、口座番号:○○○○)保護預りの以下の有価証券等

  ○○株式会社 株式1000株

  ○○株式会社 株式500株

4.上記以外の被相続人にかかる遺産が新たに発見された場合、相続人辻本花子が相続し、取得することに全ての相続人が合意した。

 以上のとおり、相続人全員の合意のもとであるこの協議を証するため、本協議書を3通作成して、それぞれに署名、捺印し、各自1通を保有するものとする。

令和○○年○○月○○日

【住所】○○県○○市○丁目○番○号

【氏名】辻本花子        実印

【住所】○○県○○市○丁目○番○号

【氏名】辻本一郎        実印

【住所】○○県○○市○丁目○番○号

【氏名】辻本次郎        実印

また、以下の法務局、国税庁による記載例のURLも参考にしてみてください。

相続(遺産分割のとき)記載例-法務局 

遺産分割協議書の記載例-国税庁

以下には作成における注意点を記載します。

3-2-1.書類のタイトルは「遺産分割協議書」

ひな形にある通り、遺産分割協議書のタイトルは必ず「遺産分割協議書」と記載するようにしましょう。

3-2-2.共有持分の割合の合計は必ず「1」

不動産を共有名義で相続する場合、共有持分の割合の合計は必ず「1」にしてください。

例えば、2人の相続人が土地と建物を、それぞれ2分の1ずつ共有持分で相続する場合、相続人ごとに、また、共有持分となる遺産の種類ごとに、それぞれの割合である「2分の1」を記載します。

例として、上記記載例赤色のマーカーを引いた部分を参考にしてください。土地と建物の持分のそれぞれに【建物】持分2分の1」【土地】持分2分の1」のように持分が記載されています。そして、土地と建物の持分のそれぞれの合計が「1」になっていることが確認できます。

この際、特に間違えやすいのは、被相続人が共有持分を有しており(例えば、被相続人が「ある土地の2分の1持分」を有していた場合)、その共有持分を相続する場合です。

遺産分割協議書に記載する必要のある内容は「被相続者の財産をどう分配したか」です。遺産である不動産が共有持分の場合にも、遺産分を1として、相続人によって分配する割合を記載してください。

3-2-3.登記簿の通りに不動産物件を特定して記載

不動産物件については、登記簿に記載されている通り、物件を特定できるように記載します。必要な記載項目は以下の表をご確認ください。

不動産の種類必要記載項目
土地所在、地番、地目、地積
建物所在、家屋番号、種類、構造、床面積

共有名義で相続する場合、物件を特定した後に「被相続人辻本花子 持分 2分の1」などのように、共有持分を記載します。

3-2-4.専門家に依頼したい場合は司法書士と弁護士への依頼が一般的

相続不動産を含む遺産分割協議書の作成は、公正証書で作成する代わりに専門家に依頼する、という場合には、司法書士に依頼するのが一般的です。

司法書士に依頼することで、調査や書類作成だけでなく、相続登記まで一括して対応してもらえるため、手続きがスムーズに進みます。また、専門知識を持つ司法書士による作成は、内容の正確性や法的な問題を防ぐためにも有効です。

ただし、共有名義の不動産の場合には、遺産分割協議の際にトラブルが起こることが多々あります。

遺産分割協議の調整は司法書士の専門外となるため、トラブルを事前に防ぎたい、あるいはすでにトラブルが生じているという場合には、弁護士に依頼することも検討しましょう。

このように、相続不動産が含まれる遺産分割協議書を扱うときには、司法書士、そして弁護士に依頼することで、効率的かつ確実に進めることが可能です。


4.共有持分が関わる場合の遺産分割協議書作成における7つのポイント

共有持分が関わる遺産分割協議書を作成する際には、この章で解説する7つのポイントに、特に注意する必要があります。

4-1.協議書に記載ミスや漏れがあるまま相続登記した場合「更正登記」の手続きが別途必要

遺産分割協議書に記載ミスや漏れがある状態で相続登記を行うと、「更正登記」という修正手続きが別途必要になります。

更正登記を行うには、再度書類を準備したり、追加の費用がかかったりするため、手間が増えるだけでなく、相続手続きが遅れる原因にもなります。特に不動産の相続では、不動産について正確な情報が求められるため、ミスをしないように注意が必要です。

例えば、協議書に記載された共有持分の割合が誤っていた場合、登記内容を修正するために関係者全員の同意を再び求めた上で、錯誤があることを証明するための書面と共に、更正登記申請書の提出が必要となります。このような状況を防ぐためには、協議書の記載を専門家に事前に確認してもらうことが効果的です。

このように、遺産分割協議書の記載ミスや漏れを防ぐことは、更正登記の手間や費用を避けるために重要になります。

4-2.協議書の内容に相続人全員の合意が取れる場合には対面以外の協議方法が可能

相続人全員の合意が取れる場合、対面せずに電話やオンラインで遺産分割協議を進めることが可能です。

遠方に住んでいる相続人がいる場合やスケジュール調整が難しい場合、非対面の方法を活用することで協議がスムーズに進みます。ただし、全員の同意を文書で確実に残せる方法を取りましょう。後から内容を巡って争いになるリスクを防ぐことができます。

例えば、オンライン会議ツールを利用して協議内容を確認するといった方法があります。この手法なら全員が一堂に会する必要がないため、効率的です。

このように、相続協議は対面にこだわらず、非対面の方法を活用することで、効率的に進めることが可能です。

4-3.相続人が行方不明の場合、家庭裁判所が不在者財産管理人を選任

相続人が戸籍の住所に居住しておらず行方不明の場合、家庭裁判所に申し立てて「不在者財産管理人」を選任してもらう必要があります。

不在者財産管理人が選任されない限り、遺産分割協議を進めることができません。これは、全ての相続人の同意が揃わなければ協議書は無効となるためです。不在者財産管理人は行方不明の相続人を代わって協議に参加する役割を果たします。

例えば、海外で消息が不明な相続人がいるようなケースでも、他の相続人だけで協議を進めることはできません。この場合にも家庭裁判所で不在者財産管理人を選任し、その人物が行方不明者の利益を代表して協議に加わることで、遺産分割協議を進めることが可能になります。

行方不明の相続人がいる場合は、不在者財産管理人を選任することで、協議を進めることができます。

4-4.共有者間で印刷した書類を郵送で回して順に捺印するとスムーズ

共有者や相続人間で印刷した遺産分割協議書を郵送で回し、順番に捺印していく方法を取ることで、協議書作成がスムーズに進みます。

特に、遠方に住む共有者や相続人がいる場合には、協議書作成のためにわざわざ一堂に集まる必要がなく、各自が自宅で捺印して郵送するだけで協議書を作成できるため、時間や労力を節約できます。

例えば、相続人のうち一人が海外在住の場合でも、協議書を郵送で送り、捺印してもらうことで対応可能です。この方法なら、全員が集まるためのスケジュール調整が不要になり、手続きを円滑に進められます。

このように、協議書を郵送で回して順番に捺印する方法を活用することで、相続手続きを効率的に進めることができます。

4-5.遺産分割協議が難航する場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申請

遺産分割協議がうまくまとまらない場合には、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申請することで解決を図ることができます。

家庭裁判所の調停では、中立的な調停委員が間に入るため、相続人間の意見が対立していても冷静に話し合いを進めることが可能です。また、調停を経ることで法的に有効な合意が得られるため、トラブルの長期化を防ぐことができます。

例えば、不動産の分割方法や持分割合について意見が一致せず、話し合いが行き詰まった場合、調停を申し立てることで、調停委員の助言や提案を受けながら解決策を見つけることができます。

このように、遺産分割協議がまとまらない場合には、遺産分割調停を活用することで、問題を最小化して解決することができます。ただし、調停自体にもある程度の期間がかかることは、ご留意ください。

4-6.協議書作成にかかった費用は持分割合に応じて分割

遺産分割協議書の作成時の代行費用や相続登記にかかる費用は、共有持分の割合に応じて分担することが一般的です。

こうした費用負担のルールを事前に共有しておくことで、後々のトラブルを防ぎ、スムーズに手続きを進めることができます。

例えば、不動産を4人で均等に共有して相続する場合、司法書士の代行費用や登記費用は4等分されることになります。他にも、共有持分が3分の1と3分の2のように分けられる場合にも、その割合に基づいて費用が分担されることになります。

このように、負担割合について事前に共有者の間で明確にしておくことで、共有者の誰かが不公平感を持つことを避けられます。

このように、共有持分の割合に基づいて費用を分担することで、公平性を保ちながら相続手続きを進めることが可能です。

4-7.共有持分でも不動産を取得した場合、相続登記は必須

共有持分であっても、不動産を取得した場合は相続登記は必要です。

遺産分割による取得の場合には、遺産分割から3年以内に登記をする必要があります。

特に2024年4月からは、相続登記の申請を行うことは法務局によって義務化されました。2024年4月1日より以前に相続が開始している場合にも、3年の猶予期間はありますが、義務化の対象となります。不動産を相続したら、早めに登記の申請をしましょう。

義務化に伴い、正当な理由なしに相続登記を怠ると10万円以下の過料が科される可能性があるほか、後々の不動産取引や権利関係の調整で混乱を招くリスクがあります。

例えば、相続登記をせずに放置している間に相続人の一部が死亡した場合、新たな相続が発生して登記手続きがさらに複雑化するようなケースがあります。このような場合にも、早めに登記を行っておけば、権利関係が明確になり、後の取引や管理で困ることはなくなりまし。

このように、相続登記は義務化されているため、早めに申請手続きを行う必要があります。


5.共有持分の相続にお悩みの方はTH弁護士法人へご相談を

この記事では共有持分の相続についての遺産分割協議書の必要性、記載方法、記載におけるポイントをお伝えしました。

しかし、そもそも共有持分で不動産を相続することにはリスクも存在します。

詳しくは以下のURLの記事をご参照ください。

不動産の共有持分所有のメリット・デメリットとトラブル回避のポイント|辻・本郷Navi

このように、共有持分に関する問題は法律的に複雑なケースが多いため、専門家の助言が必要になることが多いです。

弁護士に相談することで、最適な解決策を見つけることができ、円滑に手続きを進めることが可能です。

共有名義についてお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、TH弁護士法人へご相談ください。

共有名義状態には、土地の資産価値を著しく下げてしまう、相続時のトラブルを招くなどのリスクがあります。

できることなら共有名義を避け、それぞれが単独名義で相続できる遺産分割がのぞましいでしょう。

辻・本郷グループの遺産分割・共有名義に詳しい弁護士が直接対応いたします。

共有名義・共有持分の有料相談(一時間¥11,000税込)受付中!

TH弁護士法人

メールフォームからお申込ください。

後ほど担当者より面談日時調整の返信をさせていただきます。


6.まとめ

遺産分割協議書の作成は、共有持分が関わる遺産において特に重要です。

相続人や共有者間のトラブルを防ぎ、円滑に手続きを進めるためには、協議書を、特に公正証書で、あるいは司法書士に依頼して作成することをおすすめします。

相続人全員の合意を得て内容にミスや漏れがないよう注意を払い、この記事で示した協議書の必須記載項目に従って、遺産分割協議書を作成しましょう。

また、共有持分が関わる場合、協議書作成の際には記載項目に関する注意点がいくつかあるため、司法書士などの専門家の助けを借りることも有効です。

さらに、不動産を共有し続けることにもリスクがあります。共有持分に関する相続や、共有名義に関することで悩んでいる場合には、専門の弁護士に相談することで、より確実に解決に向かうことができます。

もし不安があれば、TH弁護士法人へご相談ください。