社用車が税務調査で指摘されるケースと認められるポイント

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監修者 宇都宮健太

「税務調査で、社用車の使用について細かく聞かれたらどうしよう」そんな心配はありませんか?

社用車は企業の経費として計上することができますが、私的利用が認められると否認され、場合によっては追徴課税されるリスクもあります。

この記事では、社用車はどんなケースで否認されるのか、また否認された場合のリスク、そして社用車が経費として認められるポイントについて、分かりやすく説明します。


1.社用車が税務調査で指摘されるケース

社用車は、業務で使用されることを前提に経費計上することができます。しかし税務調査では、「本当に業務で使用しているのか?」という観点で厳しくチェックされます。特に、業務と関連性がなさそうなものや、私的な利用が認められる場合、経費として認められず指摘されることがあります。社用車が税務調査で指摘されるケースには主に以下のような5つのケースがあります。それぞれ詳しく見ていきます。

1-1.高級車など、業務との関連性を証明できない車

業務で必要であれば問題ないのですが、ベンツやポルシェなどの高級車は「業務上本当に必要なのか?」「趣味なのでは?」と疑われやすくなります。特に、営業や配送業務ではなく、一般的な社用車として不自然に高額な車を購入すると、経費として認められない可能性があります。「接待のため」「会社のステータス向上のため」といった理由では税務署の納得を得にくいため、使用記録や必要性を明確にすることが大切です。

1-2.代表者が車を持たず、会社の車の走行距離が長い

社用車が頻繁に使われているのに、代表者が個人の車を所有していない場合、「代表が自分の車として利用しているのでは?」と疑われることがあります。例えば家族の送迎や、休日の旅行などに社用車を使用していた場合、それはプライベートの利用とみなされ、経費計上できない可能性が高まりますこうしたことを避けるために、​業務用の車とプライベート用の車を区別し、使用記録を適切に管理することが必要です

1-3.頻繁に買い替えている

短い期間に、頻繁に車を買い替えていると「趣味で買い替えているのでは?」と疑われることがあります。通常、長期間にわたって車を使用することが一般的なため「なぜ頻繁に買い替える必要があるのか」という点を説明できるようにしておくことが重要です。「用途に応じて車両を変える必要がある」など合理的な理由があれば問題になりにくいですが、明確な理由がない場合は注意が必要です。

1-4.実際にほとんど使用されていない

社用車をほとんど使用していないのに、経費計上している場合「本当に業務に必要なのか?」と指摘される可能性があります。例えば、会社の規模に対して社用車の台数が過剰であったり、走行記録が極端に少ない場合、税務署から疑問を持たれやすくなります。業務で使用していることを示すために走行記録や業務上の必要性を説明できるようにしておくことが大切です。

1-5.過度なカスタムやドレスアップ

社用車であっても、業務上必要なカスタム(営業車の社名ステッカー・業務用設備の追加)は認められます。しかし、業務とは関係ない外装や内装のカスタマイズ・改造・調整は私的利用と判断される可能性があり​​ます。​特に、見た目を重視した改造がされている場合は「業務上の必要性」を明確に説明できない限り、経費として認められない可能性が高くなります。


2.税務調査で社用車が否認されると追徴課税のリスクがある

税務調査で、「社用車が私的に利用されている」と判断されると、経費として認められず、修正申告や追徴課税が発生する場合があります。否認された金額に対して、法人税が課されるだけでなく、過少申告課税や重加算税などのペナルティが発生するケースもあります。

例えば、業務とは関係のない高級車を社用車として購入し、実際には経営者のプライベート利用が中心だった場合、その購入費用や維持費が経費として認められない可能性が高まります。また、税務署は単に「車の名義が会社になっているかどうか」ではなく、「業務で使用しているかどうか」を厳しくチェックするため、業務利用の証明ができなければ、追徴課税のリスクは高まります。

社用車の使用実績を明確にし、税務署から指摘されないよう適切な管理をしていくことが重要です。


3.税務署からOKをもらうための2つのポイント

社用車を経費として計上し、税務署から指摘されないためには「支出金額が常識の範囲内であること」と、「支出額が経費であると証明できること」が重要です。これらのポイントを押さえておくことで税務調査のリスクを減らすことができます。

3-1.支出金額が常識の範囲内であること

社用車の購入費や維持費が、会社の規模や業務内容と比べて不自然に高額である場合、税務署に疑われる可能性があります。例えば小規模な会社が高級車やスポーツカーを所有していると「本当に業務に必要なのか?」と指摘を受けやすくなります。また、会社の規模に関係なく普通の業務で使う車に比べて明らかにお金をかけすぎている支出」は税務調査のチェック対象になりやすいため、社用車の購入や維持費は常識の範囲内に収めることが重要です。

3-2.支出額が経費であると証明できること

社用車の購入費や維持費が経費として認められるためには「業務として使用していること」を証明できることが大切です。そのため、以下のような記録を残しておくと安心です。

業務日報や運行記録:いつ、だれが、どのような目的で使用したかを記録

ガソリン代、高速料金の明細:経費精算時に業務利用であることを明確にする

駐車場の契約書:会社が保有、使用していることを示す証拠

これらの記録があれば「業務用の車両として適切に管理されている」ことを税務署に示すことができます。


4.社用車の税務調査に強い辻・本郷税理士法人のサービス活用をご検討ください

社用車の経費計上は、税務調査で特にチェックされやすいポイントの一つです。「税務調査で指摘されないか不安」といったお悩みがある方は、辻・本郷税理士法人の専門家のサービスを活用することをおすすめします​。辻・本郷税理士法人は、税務調査の豊富な実績をもつ税理士法人です。税務調査対策のアドバイスや、経費計上の適正チェック、税務調査の立ち会いなどのサポートを提供させていただきます。税務調査のトラブルを未然に防ぐためにも、辻・本郷税理士法人でのサービス活用をご検討ください。


5.まとめ

社用車の経費を正しく計上しないと、税務調査で指摘を受ける可能性があります。高級車の購入や頻繁な買い替え、ほとんど使われていない車などは「本当に仕事で必要なの?」と疑われ、経費として認められないことがあります。そうなると追徴課税などのリスクが発生し、思わぬ負担になることがあります。税務署に指摘されないために、社用車にかかる費用が常識の範囲内であることを意識し、業務での使用記録を残すことが大切です。社用車の管理を改めて見直し、税務リスクを減らす対策を始め、安心してビジネスに取り組める環境を整えていきましょう。