
経営安定化や事業拡大などの際には、専門家のコンサルティングを受ける選択肢があります。しかし、コンサルティング料は税務調査での指摘を受けやすいと聞いたことがある方も多いでしょう。
コンサルティングは目に見える商品ではないことや、サービス(コンサルティング)を受けた実態も分かりにくいのが主な理由です。コンサルティング料が税務調査で指摘された場合、ペナルティが課される恐れがあるので注意が必要です。とはいえ、税務調査を恐れてコンサルティングそのものを諦めるのは本末転倒です。価値のあるコンサルティングなら利用しない手はありません。コンサルティング料を支払う場合の確認すべきことや対策をご紹介します。
目次
1.コンサルティング料とは
コンサルティング料とは、その分野の専門家によるアドバイスや問題解決指南への対価として払う費用です。一般的には経営、IT、人事、マーケティングといった専門領域への知見を有し、課題の発見や解決をサポートします。事業形態は様々で、多くの人材を抱えたコンサルティング会社もあれば、個人で動くフリーランスのコンサルタントもいます。
報酬の仕訳は厳格に決まっているわけではなく「外注費」「支払手数料」「支払報酬料」「顧問料」などの仕訳が考えられます。
2.コンサルティング料が税務調査で指摘されやすいと言われる理由
コンサルティング料が税務調査で指摘されやすいのは、架空請求や水増し請求などの疑惑を持たれやすい経費だからです。
その理由としてそもそもコンサルティングは実態が見えにくいサービスである点が挙げられます。コンサルティングは商品の仕入れや物品の購入と違い、支払いの対価が目に見えるものではありません。つまり、実体のない架空の取引を行いやすい経費なのです。
架空取引や水増し請求は所得を隠し、納税回避につながるため、税務調査では見過ごせない不正です。コンサルティング料の性質上、税務調査が厳しくなるのは自然な流れです。
そのため、税務調査が入るとき自社の経費にコンサルティング料があれば、厳格に確認されると考えましょう。「架空請求や水増し請求はやっていないから大丈夫」といった考えは危険です。
自社でコンサルティング料が発生する場合は、例え適切な経費だったとしても、税務調査対策を意識することが重要と言えます。
3.税務調査でコンサルティング料についてよく確認される事項
税務調査においてコンサルティング料の可否を見極めるポイントは、実体性と費用の妥当性です。これらを判断するために次のような事項が確認されます。
コンサルティング契約の経緯
どのような目的で、なぜそのコンサルティング会社に依頼したのかです。依頼動機に加え、コンサルティング会社を知ったきっかけを聞かれることもあります。
動機が曖昧であったり、動機とコンサルティング会社の提供サービスとの間に乖離があるようなケースは疑いを持たれやすくなるでしょう。
コンサルティング契約の内容
コンサルティング会社と自社とで、報酬と成果についてしっかりと話し合われていたのかが確認されます。具体的には「報酬額をどのようにして決めたのか」「契約書はあるのか」などが該当します。
報酬に比べて内容が薄い、契約書がないといった場合には注意が必要です。
コンサルティングの具体性
実際に行ったコンサルティング打合せ記録や報告書を求められます。またコンサルティングの具体的な効果を聞かれることも考えられます。記録や効果を提示できる場合も、コンサルティング契約の内容との乖離があるときは注意すべきでしょう。例えば、次のようなケースです。
- 契約書では「毎週1回定例会議」とあるのに打合せ記録が月に1回しかない
- 契約書にあるコンサルティング内容や成果と、報告書の記載が異なる
- コンサルティング料の決済
コンサルティング料の支払い方法、見積書・請求書・領収書等の有無が該当します。
現金払いをしていてコンサルティング料の支払い実態が証明できない場合や、見積書・請求書・領収書の項目に差異があるといった場合には注意が必要でしょう。
【適切なコンサルティング会社を選択することも重要】
上記のほか、コンサルティング会社の外観を確認したり、法人登録の有無を調べたりといったコンサルティング会社側の実態調査が行われることもあります。仮に相手方のコンサルティング会社の実体性が乏しいと、自社側では料金の妥当性や契約の信頼性が証明できません。
そのことから、自社側が良質なコンサルティング会社を選定することも重要な要素といえます。
4.税務調査でコンサルティング料が指摘された場合に考えられるペナルティ
税務調査でコンサルティング料について不備があると指摘された際は、場合によっては修正申告が必要となります。また、それとは別に追徴課税が課されることが考えられます。
納付の性質 | |
修正申告 | 不足分(本来納める額)の納税 |
追徴課税 | 納税が不足していた分に対するペナルティ(※) |
※実際にどういったペナルティが課されるかは、会計処理の状況や税務調査の内容によって異なります。
4-1.修正申告(不足分の納税)
修正申告とは、従前の税務申告の内容に誤りがあった場合の修正手続きです。修正申告の際は、本来納める額からの不足分も納税します。
なお、修正申告は税務調査で指摘を受けたことによって行う場合だけでなく、納税者が税額の誤りに気付いて自発的に行うこともあります。
4-2.過少申告加算税
本来納める税額より少ない額を申告していた場合、追加で納める額の10%を「過少申告加算税」として納めます。
ただし、追加分が「最初に申告した額」または「50万円」のいずれか多い額を超える場合は、超えた部分に15%の税率が適用されます。
4-3.延滞税
法定納税期限までに納付していない場合、延滞税がかかります。期限から納税までにかかった日数に応じて加算される、利子的な側面を持つ税金です。納付期限の翌日から納付日までの日数に応じて課されますが、期限の翌日から2カ月を過ぎると税率が大幅に上がります
4-4.無申告加算税
申告の期限内に申告しなかった場合に課せられるのが無申告加算税です。税務調査が入った後に申告する場合の無申告加算税の税率は、修正申告する税額が50万円以内なら15%、50万円超の部分には20%です。
4-5.重加算税
悪質な所得隠しと判断された場合は、重加算税が課される可能性があります。重加算税は、状況に応じて35%(もしくは40%)もの税率が課されます。原則として、過少申告加算税または無申告課税に代えて徴収されます。
5.コンサルティング料が発生する場合の、税務調査への備え4点
コンサルティング料が発生する場合の税務調査に備える方法を4点ご紹介します。
5-1.価格の妥当性を自ら判断して依頼する
5-2.契約書を締結する
5-3.客観的な証拠を残しておく
5-4.透明性の高い支払方法を選択する
5-1.価格の妥当性を自ら判断して依頼する
コンサルティング料が相場より高額であれば、それだけで税務調査官の目を引きます。提供を受けたいコンサルティング料の相場を理解し、適切な価格で契約を結びます。もしも相場よりも高額であれば納得できる理由を確認します。
また、税務調査対策としては、契約形態や報酬体系の説明を受けることも重要です。定額制か時間単位か、長期契約かスポット契約かなど、コンサルティング契約報酬体系や契約形態はさまざまです。多様なメニューから適切な契約を選択したことを示すことで、コンサルティング契約への納得感を与えることができるでしょう。
5-2.契約書を締結する
書面で契約を結ぶことで、契約の透明性を示せます。契約書には次のような項目を記載します。
- 目的
- 契約期間
- 報酬額と支払い方法
- 守秘義務 など
実際の業務内容や期間と契約書の内容に乖離がないように注意します。
5-3.客観的な証拠を残しておく
コンサルティングが行われた証拠は、出来る限り残します。それによって実体性を示すことができます。
- メールやチャットでのやりとり
- 打合せ内容のメモや議事録、もしくは資料
- 証憑類(見積書・請求書・領収書等)
- コンサルティング会社からの報告書 など
5-4.透明性の高い支払方法を選択する
支払い方法は支払ったことが証明できる銀行振り込みがおすすめです。現金払いだと支払った実態が見えにくいため、できる限り避けます。また、振り込みの場合は、振込明細の記録もとっておきます。
6.頼れる税理士事務所を見つけて、税務調査への不安を払しょくしよう
コンサルティング料はその性質上、税務調査での目が厳しくなります。確認される点を知り、契約時から税務調査に備えておくことが望ましいです。また、平素から頼れる税理士事務所と連携し、助言を受けることも重要です。
辻・本郷 税理士法人には、国税庁OBが多く在籍しています。税務調査の際に強力なサポートが受けられるだけでなく、調査官の指摘ポイントを踏まえた事前準備対が可能です。日頃から税務調査に備えるためにも、辻・本郷 税理士事務所の顧問契約をご検討ください。
7.まとめ
専門家からコンサルティングサービスを受けることで、自社の経営課題を解決できるかもしれません。しかし、コンサルティング料は税務調査での指摘が多い費用です。コンサルティングサービスの検討時には、その点も留意しておきます。意義あるコンサルティングサービスをうけつつ、税務面の不安も解消していきましょう。