
開業資金、起業後の事業拡大や運転資金など、創業時には多額の資金が必要となり、その資金繰りは多くの人が頭を悩ます問題です。
そこで、自己資金が少なく実績も乏しい創業時でも利用しやすい「創業融資」を受けようと思い立ってはみたものの、「まずどこに相談に行けばいいんだろう?」というところで立ち止まってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、創業融資を相談できる窓口、それぞれの窓口のメリット・デメリットを踏まえてどんな人がどの窓口に相談するのがおすすめか、さらに相談に行く前の注意点まで詳しく解説していきます。
また、創業融資の審査通過率は通常50~60%と言われていますが、税理士など専門家のサポートを受けると審査通過率は90%程度までアップします。税理士へ相談するメリット・デメリットや税理士へ相談する場合に確認しておきたいポイントについても詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。
目次
1.創業融資について相談できる窓口は6つ
創業融資の相談は、融資の申込先に直接行くか、融資の申込先以外にも相談できる窓口がいくつかあります。まずは6つの窓口の全体像からご覧ください。
相談先によってメリットやデメリット、相談できることが違います。次の章からそれぞれの窓口を細かく見ていきましょう。まずは融資元からです。
2.日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は政府系の金融機関で、主に中小企業や小規模事業者に向けて融資を行っています。国の経済や国民生活の支援を主な目的としている公的機関のため、まだ実績がなく民間金融機関では融資が受けにくい創業時でも前向きに融資の審査をしてくれるという特徴があります。一般的な創業者向けのほかにも、女性や若者、高齢者の起業も積極的にサポートしています。
窓口としては、フリーダイヤルの事業資金相談ダイヤル、都道府県の152主要都市にある支店に設けられた創業サポートデスク、東京、名古屋、大阪の全国3ヵ所にビジネスサポートプラザが用意されています。いずれも中小企業診断士等の専門の相談員や専任の担当者が対応してくれます。創業サポートデスク、ビジネスサポートプラザでは来店での相談とオンラインでの相談を受け付けており、事前の相談予約が必要です。予約の際に相談したい内容をあらかじめまとめて伝えておくと案内がスムーズに進みます。
窓口 | 設置場所 | 担当 | 相談方法 | 予約 |
事業資金相談ダイヤル | ー | 専門の相談員 | 電話 (フリーダイヤル) | 不要 |
創業サポートデスク | 都道府県の152主要都市の支店 | 中小企業診断士等の専門の相談員 | 来店相談 オンライン相談 | 要予約 |
ビジネスサポートプラザ | 東京、名古屋、大阪 | 専任の担当者 | 来店相談 オンライン相談 | 要予約 |
その他、日本政策金融公庫のホームページでは、創業に関するセミナーの案内や、創業の手引書、創業計画を立てる際に参考にできる経営指標調査(業種別の収益性や生産性などの指標値を集計)なども公開されています。
日本政策金融公庫 創業前支援
2-1.日本政策金融公庫に相談できること
日本政策金融公庫では、日本政策金融公庫の融資制度の概要や、融資を申込むにあたり必要な条件、申込方法、用意しなければいけない書類等、融資制度についての基本的なことが相談できます。
その他、「創業計画書の作成方法を教えてほしい」「先輩創業者の事例が知りたい」等の融資制度に関する質問へのアドバイスや、業種の特性に応じた売上高の算出方法を教えてもらえたり、創業計画書の作成に有用な同業種の年間売上の平均データを提供してもらうこともできます。
2-2.日本政策金融公庫に相談するメリット
日本政策金融公庫に相談するメリットを4つ見ていきましょう。
・申し込みから融資までの期間が短い
・担保や保証人なしで借入れができる
・審査のハードルが低い
・自己資金なしでも借入れできる可能性がある
メリット1.申し込みから融資までの期間が短い
日本政策金融公庫で初めて融資を受ける場合、申込みから融資実行までは平均1ヶ月程度です。自治体や民間金融機関での融資実行までの期間はおおむね2~3ヶ月程度かかると言われています。融資が早く実行できれば、融資のために割く時間も少なくて済みます。
メリット2.担保や保証人なしで借入れができる
日本政策金融公庫では、原則として担保や保証人が不要の制度があります。担保や保証人が不要の融資制度が用意されているのは日本政策金融公庫だけです。担保や保証人が用意できない方にとっては大きなメリットになります。
メリット3.審査のハードルが低い
日本政策金融公庫は、民間金融機関が融資しにくい創業して間もない事業者に対しても積極的に融資を行っています。日本政策金融公庫には民間の金融機関の業務を補完する役割があるためです。創業時には過去の実績がなく、事業の将来性や事業計画が中心の審査となるため、創業時でも申し込みやすい制度と言えるでしょう。
メリット4.自己資金なしでも借入れできる可能性がある
一般的な金融機関の創業融資制度では、基本的に創業資金総額の3分の1~2分の1の自己資金が必要とされています。日本政策金融公庫では、2024年4月から創業融資の制度が変わり、「自己資金要件」が撤廃されました。 今までは創業資金の総額の10分の1以上の自己資金が必要でしたが、この制度変更により自己資金がゼロでも創業融資の申し込みが可能となりました。
※自己資金がある方が審査において有利であることは変わりません
2-3.日本政策金融公庫に相談するデメリット
次に日本政策金融公庫に相談するデメリットを2つ見ていきます。
・しっかりと準備が必要
・自治体よりも少し金利が高め
デメリット1.しっかりと準備が必要
日本政策金融公庫は、民間金融機関では融資が受けにくい創業時でも色々な側面から前向きに審査してくれるため、提出書類が民間金融機関の審査よりも多く、準備を綿密に行う必要があります。
また、創業計画書の内容と面談が特に重要視されると言われていますので、特に力を入れて準備する必要があります。
デメリット2.自治体よりも少し金利が高め
日本政策金融公庫の制度では、担保や保証人なしでも借り入れできるため、金利は自治体より少し高めに設定されています。以下は金利の一例です。
金融機関 | 金利(例) |
日本政策金融公庫 | 2.6~3.7% (基準金利、無担保、税務申告を2期終えていない場合) |
自治体 | 1.0~2.0%程度、1.0%未満になる場合も (自治体によって異なる、自治体の優遇措置を利用) |
民間金融機関 | 1.5~5.0%程度(金融機関によって異なる) |
2-4.日本政策金融公庫への相談はこんな人におすすめ
日本政策金融公庫に相談できることとメリット・デメリットを踏まえ、日本政策金融公庫への相談はこんな方におすすめです。
・融資の手続きにあまり長く時間をかけられない人
・担保や保証人が用意できない人
・自己資金が少ない人
・融資の手続きにあまり長く時間をかけられない人
日本政策金融公庫での融資実行までの期間は、他の金融機関の融資実行までの期間と比べて2分の1~3分の1の約1ヶ月程度で済みます。何かと忙しい創業時に、融資の手続きに時間を取られたくない人は日本政策金融公庫へ相談に行くことをおすすめします。
・担保や保証人が用意できない人
日本政策金融公庫には無担保無保証で借りられる創業融資の制度があります。他の金融機関の創業融資制度では、担保や保証人、信用保証協会の保証等が必要になる場合がほとんどです。担保や保証人を用意するのが難しい人は日本政策金融公庫へ相談に行くことをおすすめします。
・自己資金が少ない人
日本政策金融公庫なら、自己資金がなくても借り入れできる可能性がある融資制度が利用できます。自己資金はあるに越したことはありませんが、自己資金が心もとない場合も日本政策金融公庫へ相談に行くことをおすすめします。
3.自治体
自治体の融資制度は、自治体・金融機関・信用保証協会の3つの機関が連携して融資を行います。都道府県や市区町村などの自治体が独自に実施している制度になるため、その自治体によって対象者や利用条件が異なります。自治体の融資制度では、貸し倒れリスクに備えて必ず信用保証協会の保証をつけることになっているため、保証料の支払いが必要です。
相談できる窓口も、都道府県や市区町村の地域振興課や金融課等の担当部署、地域の商工会や商工会議所、公益財団法人、信用保証協会、借入れを申込む金融機関など、自治体によってバラバラです。自治体の融資制度を申込むには、その自治体で事業を行っている(行う予定である)ことが前提となっていますので、まずは事業を行う自治体ホームページの問い合わせ窓口から相談窓口を確認する必要があります。
3-1.自治体に相談できること
自治体では、自治体の融資制度の概要や、融資を申込むににあたり必要な条件、申込方法、用意しなければいけない書類等、融資制度についての基本的なことが相談できます。
また、自治体の融資制度自体が地元企業を支援することを目的としているため、自治体の受付窓口である地域振興課や金融課等で、資金調達や経営に関して有益な情報を得られたり、資金面だけでなく経営に関する相談にも乗ってもらえます。
3-2.自治体に相談するメリット
次は自治体に相談するメリットを3つ見ていきましょう。
・金利が低い
・優遇措置がある
・経営相談ができる
メリット1.金利が低い
自治体の融資では、借入金利息の一部を自治体が負担する利子補給制度などを利用して日本政策金融公庫よりも低い1.0~2.0%程度の金利で融資を受けることができます。自治体によっては1.0%以下の金利で融資を受けられる場合もあります。
金融機関の金利(例)
メリット2.優遇措置がある
自治体の融資制度では、信用保証協会の保証料の一部を自治体が負担する信用保証料補助制度や、金融機関からの借り入れの際の利子を一部負担する利子補給制度等の優遇措置を用意している自治体が多くあります。また、金融機関側が融資をしやすくなるように、金融機関に預託金(=融資の原資)を無利子で預ける自治体もあります。
メリット3.経営相談ができる
自治体の融資制度は地域経済の発展を目的としているため、経営面の相談にも乗ってもらえる自治体が多くあります。窓口が地域振興課や金融課等となっていますので、その地域ならではの情報や金融面での有益な情報が得られる場合もあります。
3-3.自治体に相談するデメリット
次は自治体に相談するデメリットを4つ見ていきます。
・保証料がかかる
・申し込みから融資までの期間が長い
・自己資金のハードルが高い
・自治体によっては制度融資自体がない
デメリット1.保証料がかかる
自治体の融資は、自治体と信用保証協会が信用を補填し、それを受けて金融機関が融資を行うというものです。そのため、信用保証協会からの保証をつけてもらうため保証料の支払いが必要です。保証料の一部を地方自治体が負担してくれる場合もありますが、金融機関への返済時には利息以外に保証料の支払いも生じる点に注意が必要です。
デメリット2.申し込みから融資までの期間が長い
自治体の融資制度では、自治体・金融機関・信用保証協会の3つの期間が連携し、金融機関と信用保証協会2つの融資審査を受ける必要があるため、審査期間は日本政策金融公庫よりも長くなります。2ヶ月から3ヶ月程度と言われています。
デメリット3.自己資金のハードルが高い
日本政策金融公庫では自己資金なしで融資が受けられる可能性がある制度も用意されていますが、自治体や民間金融機関では基本的に創業資金総額の3分の1~2分の1の自己資金が必要とされています。
デメリット4.自治体によっては制度自体がない
全ての自治体が創業融資を行っているわけではありません。その自治体に融資制度があるかどうかの確認が必要です。
3-4.自治体への相談はこんな人におすすめ
自治体に相談できることとメリット・デメリットを踏まえ、日本政策金融公庫への相談はこんな方におすすめします。
・借入金利を低く抑えたい人
・補助金など優遇措置を利用したい人
・経営サポートも受けたい人
・借入金利を低く抑えたい人、補助金など優遇措置を利用したい人
自治体の優遇措置を利用すれば、信用保証料の補助を受けたり、利子補給制度により低い金利で融資を受けることができます。なるべく低い金利で融資を受けたい人はまず自治体へ相談に行くことをおすすめします。
・経営サポートも受けたい人
自治体はその自治体の現状・特性・課題をよく理解しているため、創業時だけでなく、その後の経営面でも的確なアドバイスや支援を行ってくれます。地域に根ざした事業を考えているのであれば、まず自治体へ相談に行くことをおすすめします。
4.民間金融機関
民間の金融機関でも創業融資を受けることはできますが、都市銀行は主に大企業に対して貸し付けを行っているため創業融資のような小口融資には消極的で、難易度は非常に高いものとなります。地元で活動する中小企業を中心に貸し付けを行なっている地方銀行や、地域の事業発展を支援することを目的とした協同組織である信用金庫のほうが融資を受けやすいと言えます。融資制度の内容も金融機関によってまちまちなので各金融機関に確認する必要があります。
窓口は各金融機関の支店になりますが、その金融機関が創業融資を行っているかを確認することがまず第一歩となります。
4-1.民間金融機関に相談できること
民間金融機関では、民間金融機関が取り扱っている融資制度の概要や、融資を申込むににあたり必要な条件、申込方法、用意しなければいけない書類等、融資制度についての基本的なことが相談できます。
4-2.民間金融機関に相談するメリット
次は民間金融機関に相談するメリットです。
・金融機関からの融資が社会的信用になる
メリット1.金融機関からの融資が社会的信用になる
民間金融機関の融資審査は日本政策金融公庫や自治体よりも厳しいと言われています。そのため金融機関から融資が受けられれば、金融機関がその企業の信用度を担保したと捉えられるため、融資を受けられること自体が社会的信用につながります。
4-3.民間金融機関に相談するデメリット
次は民間金融機関に相談するデメリットを3つ見ていきます。
・審査が厳しい
・申し込みから融資までの期間が長い
・融資の上限額が低い
デメリット1.審査が厳しい
都市銀行は実績のない企業への融資は渋る傾向にあります。地方銀行や信用金庫であれば創業融資を取り扱っているところはありますが、審査が厳しくなります。審査の通りやすさは、日本政策金融公庫 > 自治体 > 民間金融機関 と言われています。
デメリット2.申し込みから融資までの期間が長い
民間金融機関の審査期間は、一般的に2ヶ月から3ヶ月程度と言われています。日本政策金融公庫と比べると審査期間は長めに見ておかなければいけません。
デメリット3.融資の上限額が低い
民間金融機関は全体的に融資限度額が低く設定されています。場合によっては融資限度額が必要な資金額に足りないケースも考えられます。
4-4.先に日本政策金融公庫や自治体融資を検討するのがおすすめ
民間金融機関は、日本政策金融公庫や自治体の融資制度と比べて融資のハードルが高めです。まずは、日本政策金融公庫や自治体の融資制度を検討することをおすすめします。
次の章からは、融資元以外で創業融資の相談ができる窓口です。「いきなり融資の申込先に行くのはちょっと…」という方は、融資元以外の窓口を検討してみましょう。
5.商工会や商工会議所
商工会や商工会議所は、地域に根ざして商工業者の経営改善や地域活性化を目的として会員制で組織活動する団体です。商工会と商工会議所はカバーする地区が異なり、商工会は主に町村、商工会議所は主に市および特別区となります。どちらも創業者に対するサポートを積極的に行っており、創業融資に関する相談ができます。セミナーや勉強会なども定期的に開かれています。
窓口としては、商工会や商工会議所によって、「経営支援部」「創業支援センター」等が窓口となり、小規模事業者の経営改善や成長を支援する経営指導員や中小企業診断士が対応してくれます。オンライン相談を受け付けているところもあり、電話やインターネットでの事前予約制となっています。予約の段階で相談したい内容を伝える必要がありますので、事前に相談内容をまとめておきましょう。
5-1.商工会や商工会議所に相談できること
商工会や商工会議所では、日本政策金融公庫や自治体が取り扱う融資制度の概要や、制度を申込むににあたり必要な条件、申込方法、用意しなければいけない書類等、融資制度の基本的なことが相談できます。さらにいくつかある融資制度の中から事業者が活用できそうな融資を斡旋してもらえます。
その他、創業計画作成のフォローや、資金調達の方法や融資を受けるためのコツ、補助金の活用方法などのアドバイスが受けられたり、融資後のフォローアップをしてくれる場合もあります。
また、商工会や商工会議所は商工業者の経営改善や地域活性化を目的としているため、資金面の相談だけでなく経営面の相談にも乗ってもらえます。商工会議所・商工会の経営指導員は、利害関係者ではない中立の立場から経営に関する助言を行い、相談内容に応じた支援情報を提供してくれます。
5-2.商工会や商工会議所に相談するメリット
商工会や商工会議所に相談するメリットを3つ見ていきましょう。
・事業者が活用できそうな融資制度を斡旋してもらえる
・事業計画書作成を支援してもらえる
・経営相談ができる
メリット1.事業者が活用できそうな融資制度を斡旋してもらえる
商工会や商工会議所は、いくつかある融資制度の中から事業者が活用できそうな融資を斡旋してくれます。融資元への相談では基本的に融資元で取り扱っている制度のみの案内になりますが、商工会や商工会議所では、中立の立場からその事業者に合う融資を紹介してもらえます。
メリット2.創業計画書の作成を支援してもらえる
商工会や商工会議所では、創業計画書の作成方法についての説明だけでなく、作成した創業計画書のブラッシュアップを手伝ってもらえます。融資後のフォローアップまでを支援してくれる場合もあります。
メリット3.経営相談ができる
商工会や商工会議所は商工業者の経営改善や地域活性化を目的としているため、創業融資などの資金面だけでなく、販路開拓や人材育成等、経営面の相談にも乗ってもらえます。相談内容に応じて、無償の専門家派遣や適切な相談先の紹介等も行っています。
5-3.商工会や商工会議所に相談するデメリット
次は商工会や商工会議所に相談するデメリットです。
・全てのサービスを利用するには会員になる必要がある
デメリット1.全てのサービスを利用するには会員になる必要がある
商工会や商工会議所は会員制で組織されているため、一部の相談は無料ですが、全てのサービスを利用するには会員になる必要があります。加入するためには入会費や年会費が必要です。
5-4.商工会や商工会議所への相談はこんな人におすすめ
商工会や商工会議所に相談できることとメリット・デメリットを踏まえ、商工会や商工会議所への相談はこんな方におすすめします。
・どの融資を選べばいいか中立の立場から意見が欲しい人
・経営サポートも受けたい人
・どの融資を選べばいいか中立の立場から意見が欲しい人
それぞれの創業融資制度がどんなものかわかっても、どの融資制度を選択すべきか迷ったときに、商工会や商工会議所のような中立の立場からの意見をもらえることはとても貴重です。中立の立場からの意見が聞きたい場合はまず商工会や商工会議所へ相談に行くことをおすすめします。
・経営サポートも受けたい人
商工会や商工会議所では経営面についても幅広く相談ができ、必要に応じて専門家や専門機関につないでくれます。これから創業する事業者にとっては、創業時だけでなく、創業後に出てくる経営の悩みに関しても強い味方となってくれることでしょう。継続的に経営支援を受けたい人は商工会や商工会議所へ相談に行くことをおすすめします。
6.よろず支援拠点
よろず支援拠点は、国が全国47都道府県に設置している中小企業や小規模事業者のための経営相談所です。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。税理士、弁護士、行政書士、中小企業診断士など分野ごとの専門家がいるため、経営の悩みに合わせて相談することが可能です。
窓口は47都道府県に設置されたよろず支援拠点で、都道府県によってはいくつかの相談会場を設けている場合もあります。税理士、弁護士、行政書士、中小企業診断士などの専門資格を持ったコーディネーターが対応してくれます。相談は電話やインターネットでの事前予約制となっています。予約の段階で相談したい内容を伝える必要がありますので、事前に相談内容をまとめておきましょう。
6-1.よろず支援拠点に相談できること
よろず支援拠点では、「創業融資の申請、事業計画書の作り方を知りたい」といった創業融資の相談だけでなく、「創業を検討しており、事業の進め方を知りたい」「創業する時に支援策があるのか知りたい」等、創業に関する様々な相談に乗ってもらえます。
また創業時のサポート以外にも、開業後の売上拡大など経営面での相談にも乗ってもらえます。
6-2.よろず支援拠点に相談するメリット
次はよろず支援拠点に相談するメリットです。
・経営上の悩みに合わせて分野ごとの専門家に相談できる
メリット1.経営上の悩みに合わせて分野ごとの専門家に相談できる
よろず支援拠点には、税理士、弁護士、行政書士などに加え、経営の課題を洗い出す中小企業診断士もいるため、いま抱えている経営課題に合った的確なアドバイスが受けられます。
6-3.よろず支援拠点に相談するデメリット
次はよろず支援拠点に相談するデメリットです。
・融資の専門家がいるとは限らない
デメリット1.融資の専門家がいるとは限らない
よろず支援拠点に在籍している専門家が融資に詳しいとは限りません。融資に詳しい専門家がいない場合は、適切な機関をコーディネートしてもらうことになります。創業融資に関する相談だけを考えると、少し遠回りになるかもしれません。
6-4.よろず支援拠点への相談はこんな人におすすめ
よろず支援拠点に相談できることとメリット・デメリットを踏まえ、よろず相談拠点への相談はこんな方におすすめします。
・融資相談も含めた経営課題についてまず相談したい人
・融資相談も含めた経営課題についてまず相談したい人
よろず支援拠点は、経営者が直面するあらゆる種類の経営課題について相談に応じ、解決に向けた支援を行う機関です。創業融資だけでなく、経営面での悩みが多くある場合は、まずよろず支援拠点へ相談に行くことをおすすめします。
7.税理士
創業融資支援に積極的な税理士なら、融資相談だけでなく申込から面談まで完結する場合もあります。様々な融資制度の情報、どの融資制度が適しているか、説得力のある創業計画書作成や融資面談のサポート等、税理士の過去の融資成功事例から具体的なアドバイスが受けられます。
ただし、税理士は税の専門家であり融資に精通しているかどうかはその税理士によって異なるため、創業融資に精通した税理士を探す必要があります。また依頼するサポート内容によって費用もかかります。
窓口としては、税理士事務所のホームページからメールや電話で相談します。その際には、ホームページに掲載されている過去の創業融資の成功事例や実績、料金プランをまず確認します。特に金融機関出身のスタッフがいる税理士事務所は融資に関するノウハウが豊富です。メールや電話では、自分の業種での実績やどのようなプランが提案してもらえるか等を確認するようにしましょう。
7-1.税理士に相談できること
税理士には、日本政策金融公庫や自治体が取り扱う融資制度の概要や、制度を申込むににあたり必要な条件、申込方法、用意しなければいけない書類等、融資制度の基本的なことが相談できます。さらにいくつかある融資制度の中から事業者が活用できそうな融資を提案してもらえます。
また、創業計画書や申請書類等の作成方法、融資面談の受け答え、資金調達後の返済までのフォローアップ等、融資の申込みから融資が実行された後のアフターフォローの部分まで相談することができます。
7-2.税理士に相談するメリット
次は税理士に相談するメリットを2つ見ていきましょう。
・相談だけでなく、申込みから面談まで全て完結する
・事業計画書や面談のアドバイスが受けられる
メリット1.相談だけでなく、申込みから面談まで全て完結する
創業融資に精通した税理士なら、相談だけでなく、申込みから面談まで全てをサポートしてもらえます。税理士の過去の融資成功事例などから具体的なアドバイスが受けられます。
メリット2.創業計画書や面談のアドバイスが受けられる
創業融資に精通した税理士なら、融資先との面談に提出する創業計画書の作成や面談時の受け答えなどのアドバイス、資金調達後の返済までのフォローアップが可能です。融資審査に特に重要な創業計画書に盛り込むべき内容について細かく指導が受けられます。面談についても具体的な質問の例や効果的なプレゼンテーション方法など、あらゆるポイントを把握しています。
7-3.税理士に相談するデメリット
次に税理士に相談するデメリットを2つ見ていきます。
・融資に精通しているかどうかは税理士によって異なる
・費用がかかる
デメリット1.融資に精通しているかは税理士によって異なる
税理士は税の専門家であり、融資に精通しているかはその税理士によって異なります。税理士によっては創業融資のサポートを行っていないこともあるため、創業融資のサポート経験があるか確認が必要です。
デメリット2.費用がかかる
税理士への相談は、依頼するサポート内容によって費用がかかります。料金体系や費用を確認し、できる限り料金体系が明確な税理士事務所を選択したほうがいいでしょう。
7-4.税理士への相談はこんな人におすすめ
税理士に相談できることとメリット・デメリットを踏まえ、税理士への相談はこんな方におすすめします。
・創業計画書の作成から面談まで、強力なバックアップが欲しい人
・創業計画書の作成から面談まで、強力なバックアップが欲しい人
創業融資に精通した税理士は、融資審査で重要な説得力のある創業計画書の作成や、融資担当者を納得させられる面談での受け答え、資金調達後の返済まで的確にアドバイスすることができます。強力なバックアップが欲しい人は税理士へ相談に行くことをおすすめします。
8.創業融資の相談に行く前の注意点3つ
ここからは、創業融資の相談に行く前に事前に注意しておきたいことを3つ確認します。
・払わなければならないお金は遅滞なくきちんと払っているか
・自己資金はどのくらい準備できているか
・事業に必要な経験を積み重ねてきたか
8-1.払わなければならないお金は遅滞なくきちんと払っているか
創業融資を申込むにあたって、税金、公共料金、住宅ローンなど、「払わなければならないお金を遅滞なくきちんと払ってきた」ことは融資の前提条件となります。金銭感覚がルーズと判断された場合、資金調達は困難となります。日頃から気を付けておきましょう。
8-2.自己資金はどのくらい準備できているか
日本政策金融公庫には自己資金なしで融資が受けられる可能性がある制度もありますが、自己資金がある方が審査において有利であることは変わりません。また自治体や民間金融機関で融資を受けるには、創業資金総額の3分の1~2分の1の自己資金が必要です。自己資金を目標に向かってコツコツと貯めてこれたかは、事業の安全性や計画性を示すポイントとなります。計画的に貯めておきましょう。
8-3.事業に必要な経験を積み重ねてきたか
創業融資では事業自体の実績がありません。そのため、金融機関はこれまで積んできた経歴と事業計画でその事業に融資すべきかどうかの判断をすることになります。経験は事業の実現性を示すポイントとなります。アピールできるような経歴を意識して作っておくとよいでしょう。
9.創業融資に不安のある方は税理士に相談を
7.税理士でも触れましたが、創業融資に精通した税理士を選べば、強力なサポートを受けることができます。通常、創業融資の審査通過率は50~60%と言われていますが、税理士など専門家のサポートを受けると審査通過率は90%程度までアップします。
では、実際に税理士へ相談する場合に確認しておきたいポイントを3つ見ておきましょう。
・どのようなサポートやアドバイスが受けられるのか
・成功報酬型、固定料金型、顧問契約などの料金体系と費用
・創業融資のサポート経験や実績があるか
9-1.どのようなサポートやアドバイスが受けられるのか
ご自身がどこまでのサポートを税理士に依頼したいか、またどこまでサポートを税理士に依頼できるのかをを確認しておきましょう。税理士に依頼できる創業融資でのサポート例を挙げておきます。
・様々な融資制度の情報提供と選択のアドバイス ・創業計画書の作成サポート ・申請書類の作成サポート ・融資面談のアドバイス ・返済計画の策定 ・財務計画のアドバイス ・資金繰り計画のアドバイス 等 |
9-2.成功報酬型、固定料金型、顧問契約などの料金体系と費用
成功報酬型では、事業計画書の作成、金融機関との面談対応など、融資申請までに必要な業務を一括してサポートしてもらえる場合が一般的です。費用の相場は融資金額の3~5%、もしくは30万円のどちらか高いほうとなります。
固定料金型は業務ごとに単価が設定されている仕組みです。書類作成など必要に応じてその都度依頼し、相場は業務内容次第で変動します。費用の相場は10万円~となっています。
成功報酬型や固定料金型はどちらも短期間での依頼になりますが、融資相談の後も引き続き税理士との関係を続けたいと考えている場合は税理士と顧問契約を結ぶ企業も多くなっています。費用相場は●〜●万円程度となっています。
9-3.創業融資のサポート経験や実績があるか
創業融資に精通しているかどうかはその税理士によって異なります。その税理士が過去にどれだけの創業融資を成功させ、その総額がどれくらいの規模かを明確に説明できることは重要です。具体的な成功事例を提示できる税理士であれば、信頼性が高く安心して依頼できます。
10.相談先に迷ったら、辻・本郷 税理士法人へお任せください
辻・本郷 税理士法人でも創業融資の対応が可能でございます。
サポート内容としては、申込時に必要な資料のご案内や、最も重要となる創業計画書の策定のアドバイスを行います
基本的には、融資額×3%の成功報酬にて承っております。
11.まとめ
ここまで創業融資を相談できる6つの窓口と、相談できること、それぞれの窓口のメリット・デメリットを踏まえたおすすめの相談先、さらに相談に行く前の注意点を見てきました。
最後にもう一度、どんな人がどの相談先に行くのがおすすめかをまとめておきます。
日本政策金融公庫 | ・融資の手続きにあまり長く時間をかけられない人 ・担保や保証人が用意できない人 ・自己資金が少ない人 |
自治体 | ・借入金利を低く抑えたい人 ・補助金など優遇措置を利用したい人 ・経営サポートも受けたい人 |
民間金融機関 | →先に日本政策金融公庫や自治体融資を検討 |
商工会や商工会議所 | ・どの融資を選べばいいか中立の立場から意見が欲しい人 ・経営サポートも受けたい人 |
よろず支援拠点 | ・融資相談も含めた経営課題についてまず相談したい人 |
税理士 | ・創業計画書の作成から面談まで、強力なバックアップが欲しい人 |
この記事が創業融資の相談先に迷われている方の一助となれば幸いです。