確定申告をしないとどうなる?ペナルティやデメリットを税理士が解説

ぶつちゃけ確定申告をしなくてもバレないのではないか? 確定申告をしないと、いったいどうなるんだろう? 本記事をご覧のみなさんには、このような想いが少なからずあるのではないでしょうか。 大切なことなので、最初にお伝えします。 確定申告を行う義務がある人は、確定申告は必ず行ってください。 甘い考えは今すぐ捨てましょう。 なぜなら、確定申告は所得税法第120条に明確に記載されている「義務」だからです。 万が一確定申告をしなかった場合、無申告加算税などのペナルティが課せられますし、所得証明書を発行してもらえないなどのデメリットも生じます。 本記事は税理士監修のもと、確定申告をしない場合のペナルティやデメリットを網羅的に解説しています。 ぜひ最後までご覧いただき、みなさんが適切に確定申告を行い、ペナルティやデメリットを被ることなく、事業を継続していくことを心から願っております。


目次

1.確定申告をしないとどうなる?課せられる4つのペナルティ

確定申告をしないことで課せられるペナルティは、以下の4つです。

ペナルティ税率説明
無申告加算税15%または20%または30%確定申告をすべき所得を得ていたにもかかわらず、3月15日までに確定申告を行わなかった場合に課せられる
延滞税2.4%または8.7%3月15日の期限内に確定申告を行ったが、期限までに所得税を納税しなかった場合に課せられる
重加算税35%または40%事実の仮装や隠ぺいにより申告すべき所得を過少に申告したり、申告しないなど、その内容が悪質と判断された場合に課される
刑事罰5年以下の懲役又は500万円以下の罰金特に悪質な脱税行為とみなされる場合に課せられる

1-1.無申告加算税(15%または20%または30%)

無申告加算税とは、確定申告をすべき所得を得ていたにもかかわらず、3月15日までに確定申告をしなかった場合に課せられるペナルティです。 追加で課税される税額は以下の通りです。

納付税額が50万円以下本来納付しなければならなかった納付税額×15%
納付税額が50万円超300万円以下本来納付しなければならなかった納付税額×20%
納付税額が300万円超本来納付しなければならなかった納付税額×30%

なお、税務署の調査を受ける前に自主的に確定申告をした場合は税率が5%軽減されます。 2024年1月1日以降は前々年度、前年度の国税について無申告加算税を課される者が行う更なる無申告行為に対して課される無申告加算税について、10%加算されます。

※期限後申告であっても、無申告加算税が課されないケースがある

期限後申告であっても、以下の要件を満たす場合は、無申告加算税は課されません。 うっかり期限を過ぎてしまった場合は、無申告加算税を課される前に早めに確定申告をしましょう。

  • 確定申告の期限後、1ヶ月以内に自主的に確定申告をしている
  • 期限後申告にかかる税額を、法定納期限までに全額納付している
  • 期限後申告書を提出した日の前日から過去5年間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがない

※災害など納税者に責めのないやむを得ない理由があった場合は、無申告加算税は課されない

災害など納税者の責めに帰さないやむを得ない理由があった場合は、無申告加算税は課されません。 そのやむを得ない理由がやんだ日から2ヶ月以内に限り、その期限が延長されます。 ■詳細はこちらをご覧ください 国税庁HP No.8001 災害等による期限の延長

1-2.延滞税(2.4%または8.7%)

延滞税とは3月15日の期限内に確定申告をしたが、期限までに所得税を納税しなかった場合に課せられるペナルティです。 法定納期限の翌日(3月16日)から発生し、納付が済むまでの日数分を課せられます。 追加で課税される税額は以下の通りです。 なお、税率は年ごとに変わるので、令和4年1月1日から令和6年12月31日までの期間の税率を紹介します。

法定納期限の翌日から2ヶ月以内「法定納期限の翌日から納付が済んだ日の日数」×2.4%
納期限の翌日から2月を経過した日以後「法定納期限の翌日から納付が済んだ日の日数」×8.7%

1-3.重加算税(35%または40%)

重加算税とは、事実の仮装や隠ぺいなど悪質な行為により、申告すべき所得を過少に申告したり、申告をしなかったりした場合に課されるペナルティです。 悪質と認められる主な内容は、帳簿の改ざんや二重帳簿などの隠匿行為があげられます。 なお、重加算税の税率は、過少申告であった場合は追加本税の35%、無申告であった場合は追加本税の40%と非常に高い税率となっています。 2024年1月1日以降は前々年度、前年度の国税について無申告重加算税を課される者が行う更なる無申告行為に対して課される重加算税について、10%加算されます。

1-4.刑事罰(5年以下の懲役又は500万円以下の罰金)

刑事罰は特に悪質な脱税行為とみなされる場合に科せられるペナルティです。 この場合、国税局査察部による強制調査が行われ、有罪判決に至ると5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処されることとなります。 また、正当な理由がなく申告書を提出しなかった場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されるおそれがあります。


2.確定申告をしないとどうなる?しないことによる3つのデメリット

確定申告をしないことによる3つのデメリットを紹介します。 確定申告をしないと、ペナルティが課せられるだけでなく、以下のデメリットも発生します。

2-1.住民税も未納付になる

確定申告をしないと、住民税も未納付になります。 なお、住民税の納付期限を過ぎると、最大で納税額の14.6%の延滞金が課される可能性があります。 住民税は確定申告で確定した所得をもとに計算されます。 所得税の確定申告をしないと、納付書が送られてこないので住民税も未納付となる可能性が高いです。

2-2.所得証明書を発行してもらえない

確定申告を行わないと、所得証明書を発行してもらうことができません。 所得証明書は、以下のような場面で必要になります。

  • 事業用融資を受ける場合
  • 住宅ローンを借りる場合
  • 各種助成金や補助金等を受ける場合

つまり、確定申告を行わないと、資金調達をするために事業用融資を検討したとしても、申し込みすらすることができなくなります。

2-3.国民健康保険料の減額を受けることができない

確定申告をしないと、国民健康保険料の減額を受けることができません。 国民健康保険料は所得の金額次第で減額や免除を受けることができます。 これは個人事業主で事業が赤字だった場合にはとてもありがたいシステムです。 しかし、確定申告をしないと所得証明書を発行してもらえず、保険料の減額や免除の手続きを行うことができません。


3.確定申告をしてないことが税務署にバレる5つの理由

確定申告をしていないことが税務署にバレる理由を5つ紹介します。

「自分一人くらい確定申告をしなくてもバレないのでないか」と考える人がいるかもしれません。 しかし、以下の5つの理由で税務署にバレてしまうことがあります。 「バレないのではないか…」という甘い考えは今すぐ捨てましょう。

3-1.税務署は税務調査を行っている

税務署の税務調査により、確定申告をしていないことがバレることがあります。 税務調査とは納税者が税務申告を正しく行っているかどうかを、税務署の調査官が調査することです。 個人事業主やフリーランスであっても、この税務調査を受ける場合があります。 また、ご自身が税務調査の対象とならなくても、取引先に税務調査が入った際に、ご自身が無申告であることがバレることもあります。

3-2.税務署は取引先の支払調書を確認している

税務署は取引先の支払調書を確認しているため、確定申告をしていないことが税務署にバレます。 支払調書とは個人事業主やフリーランスが取引先から支払を受けたときに受け取る書類です。 この支払調書を取引先は税務署に提出しています。 そして税務署は支払調書をもとに、支払先である個人を確認します。 その確認作業の過程で、確定申告をしていないことがバレることがあります。

3-3.税務署は無申告の疑いがある人の銀行口座をチェックしている

税務署は無申告の疑いがある人の銀行口座をチェックしているため、確定申告をしていないことが税務署にバレます。 税務署は我々には知らせずに銀行口座の取引内容をチェックすることができます。 銀行口座の取引内容を誤魔化すことは難しいため、税務署が銀行口座の取引内容をチェックした時点で、確定申告をしていないことがバレます。

3-4.税務署は無申告取り締まり調査を行っている

税務署は無申告取り締まり調査を行っているため、確定申告をしていないことが税務署にバレます。 税務署は日ごろから、無申告に目を光らせています。 この無申告取り締まり調査の対象は、毎回変わりますが、個人事業主やフリーランスに焦点が当たることもあるので、調査の結果、確定申告をしていないことがバレる可能性は十分にあります。

3-5.税務署へ知人がタレコミをする

税務署へ知人がタレコミをすることで、確定申告をしていないことが税務署にバレることがあります。 人の口に戸は立てられません。 思わぬ知人から税務署に情報が伝わることは往々にしてあります。


4.原則、個人事業主・フリーランスは確定申告しなければならない

原則、個人事業主・フリーランスは確定申告しなければなりません。 確定申告は所得税法120条から130条で国民に義務付けられており、確定申告が不要となる条件は、所得税法121条「確定所得申告を要しない場合」に記載されています。 個人事業主・フリーランスはこの所得税法121条に記載されている条件に基本的に該当しないため、確定申告を行わなくてはなりません。 また、確定申告をしなければ、青色申告特別控除を適用することもできません。 個人事業主・フリーランスは確定申告をしたことによって、メリットを得ることもできるのです。 ■申告が必要な方の詳細については、以下のHPをご確認ください。 申告の流れ、申告が必要な方 ■所得税法の条文をご覧になりたい方はこちら 所得税法


5.個人事業主・フリーランス以外にも確定申告をしなければならない人がいる

個人事業主・フリーランス以外にも確定申告をしなければならない人がいます。 具体的には以下の①~④のいずれかに当てはまる人です。

給与を受け取っている人のうち、以下のいずれかに該当する人
a.給与の収入金額が2,000万円を超える場合
b.年末調整した給与以外に収入があり、給与以外の所得金額の合計額が20万円を超える(退職所得を除く)場合
c.給与を2ヶ所以上で受け、年末調整されなかった給与の収入金額と、それ以外の所得金額(退職所得を除く)との合計額が20万円を超える場合
d.同族会社の役員・その親族などが、その会社の給与以外に土地の賃貸料などの収入を得ている場合
e.災害減免法により、源泉徴収税額の徴収猶予などを受けている場合
f.国内の外国公館勤務の方や家事使用人の方などで、所得税等の源泉徴収を受けない場合
公的年金のみを受け取っている人で受け取った公的年金の金額が400万円以上の人
退職所得がある人で、源泉徴収されていない退職金がある人
①~③以外の人で、納める税金のある人(計算した税額から税額控除を差し引いても残額がある人)※公的年金とそれ以外の収入がある場合は、受け取った公的年金等による収入が400万円以下で、かつ、その他の収入の所得金額が20万円以下の場合は、納める税金があっても確定申告不要です。

■以下のページを参考に作成 国税庁HP 確定申告が必要な方 また、上記の表だけだと個人事業主・フリーランス以外で確定申告をしなければならない人のイメージを持ちにくいと思います。 そこで、個人事業主・フリーランス以外で確定申告をしなければならない人の代表的な属性を4つご紹介します。

ただし、この4つに該当していないからと言って、必ずしも確定申告をしなければならないわけではありません。 あくまでも参考としてご確認いただき、詳細は表をご覧ください。

5-1.サラリーマンだが副業などの所得が20万円以上あった人

サラリーマンだが副業などの所得が20万円以上あった場合には、確定申告をする必要があります。 副業などの所得として挙げられるのは、以下のようなものです。

  • 副業をして得た給料
  • 不動産売買による収入
  • 株や投資信託などの投資による収入

5-2.アルバイト・パートを掛け持ちしている人

アルバイト・パートを掛け持ちしている人は、確定申告をする必要があります。 年末調整を行えるのは1社のみであり、2つ以上のアルバイト・パートを掛け持ちしている場合は、すべてのアルバイト・パートの給与を合計して年間所得を計算する必要があるため、確定申告をする必要があります。 ただし、すべての給与を合わせても、年収が103万円を超えない場合は確定申告をする必要はありません。

5-3.年内に退職し、無職・無収入になった人

年内に退職し、無職・無収入になった人は、確定申告をする必要があります。 会社が行う年末調整は、12月31日時点に在籍している従業員のみが対象です。 12月31日以前に退職し、その後再就職していない人は、会社に年末調整をしてもらえないので確定申告をする必要があります。

5-4.年内に結婚し、専業主婦(夫)になった人

年内に結婚し、専業主婦(夫)になった人は、確定申告をする必要があります。 会社が行う年末調整は、12月31日時点に在籍している従業員のみが対象です。 12月31日以前に退職し、専業主婦(夫)になった場合、会社に年末調整をしてもらえないので確定申告をする必要があります。


6.確定申告をしていない方から実際いただいた質問

確定申告をしていない方からいただいた質問を紹介します。 繰り返しになりますが、確定申告は所得税法第120条に明確に記載されている「義務」です。 確定申告をしないと1章で紹介したペナルティ2章で紹介したデメリットが生じます。 確定申告を行う義務がある人は、確定申告は必ず行ってください。 しかし、中には確定申告をしていない状態で、税理士のところに相談にいらっしゃる方がいます。 その方々から実際いただいた質問を参考として紹介します。 みなさんは数年後このような質問を税理士にすることがないよう、しっかりと確定申告をしてください。

6-1.Q.確定申告を数年していない。どうしたらいいのか。

A.すぐに期限後申告をしましょう。 申告期限を過ぎれば過ぎるほど、延滞税として納める税額は大きくなります。 また、税務調査が入るリスクもあります。 国税庁HPにも確定申告をしていない場合は、すぐに期限後申告をするように明記されています。 早いに越したことはありません。すぐに期限後申告をしましょう。 ■国税庁HP No.2024 確定申告を忘れたとき

6-2.Q.やむを得ない事情で確定申告ができそうにない。どうすればよいか。

A.やむを得ない理由がある場合は期限延長申請をしましょう。 理由が解決した日から2ヶ月以内までを個別指定して、期限を延長することができます。 やむを得ない理由とは、以下のようなものが挙げられます。

  • 地震、防風、豪雨、豪雪、綱井、落雷、地滑りその他の自然現象の異変による災害
  • 火災、火薬類の爆発、ガス爆発、交通途絶その他の人為による異常な災害
  • 申告等をする者の重疾病他、自己の責めに帰さないやむを得ない事実

上記の理由一覧をご覧いただければわかる通り、期限延長申請ができるのは本当にやむを得ない理由です。 「確定申告の準備を失念しており、間に合わない…。」は通用しません。 ■詳細はこちら 災害による申告、納付等の期限延長申請


7.確定申告を自分ですることが難しいと感じたら、税理士へ相談しよう

確定申告を自分ですることが難しいと感じたら、税理士へ相談しましょう。 税理士は名前の通り国家資格を保有する税務の専門家です。 また、税務署等に対し、法律に基づき申請や申告などの提出、報告、申出などの行為を代行する税務代理は税理士の独占業務です。 税理士へ確定申告を依頼すると以下のようなメリットを享受することができます。

  • 時間を節約できる
  • 正確な内容で申告できる
  • 節税が期待できる
  • 手続きだけにとどまらず、今後の節税対策などの相談にも乗ってくれる

確定申告は明確な期限のある手続きです。 期限を過ぎてしまうと、ペナルティ・デメリットがあなた自身に生じます。 「確定申告、どのように手をつけたらいいか分からない…。」と悩んでいる人は早めに税理士に依頼しましょう。

7-1.確定申告のご相談は、年間実績14,361件の辻・本郷 税理士法人へ

確定申告のご相談は、辻・本郷 税理士法人にご相談ください。 確定申告はご自身で行うこともできますし、どの税理士事務所でも対応することができる業務です。 しかし、辻・本郷 税理士法人には年間実績14,361件という豊富な実績があるため、​税額控除・特例を適切に適用することで、お客様が納税すべき税額を最小限に抑えることができます。​ また、その他にも以下のような強みが、辻・本郷 税理士法人にはあります。

  • 所得税の確定申告件数は年間14,361件!豊富な実績と確かなノウハウがあります
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お気軽にお問合せください。 ■所得税の確定申告実績は2022年10月~2023年9月の累計です 辻・本郷 税理士法人 年間実績

7-2.辻・本郷 税理士法人へのご相談・お問い合わせはこちら

辻・本郷 税理士法人へのご相談・お問い合わせはこちらからお願いいたします。

■電話でご相談・お問い合わせ 0120-016-128 受付時間:24時間 年中無休で対応します。

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8.まとめ

確定申告をしようか、しないか迷っている方を対象に、確定申告をしないとどうなるかを解説してきました。 本記事の大切なポイントを6点、最後にもう一度紹介します。

みなさんが適切に確定申告を行い、ペナルティやデメリットを被ることなく、事業を安心して継続していくことを心から願っております。

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