スタートアップ企業にとって、資金調達は大きな課題の一つです。特に、設立直後は収益が安定しておらず、やりたいことをやるためには運転資金や成長資金の確保が急務でしょう。
そこで、注目したいのが「補助金」の活用です。
補助金とは国や地方自治体、民間団体から提供される、原則返済不要の資金援助であり、適切に利用することで事業の成長を加速させることができます。
しかし、補助金は日本には数千種類はあるとされ、選ぶことが非常に難しい現状となっています。
この記事では、スタートアップ企業にとって受給しやすく、得られるメリットも大きい補助金を選りすぐってご紹介します。
適切な補助金を活用し、企業を発展させていくためにもぜひ最後までお読みください。
※補助金とは、国や自治体が政策目標などに合わせて、事業に対して資金の一部を給付するものを指します。融資などとは異なり、お金を返済する必要がない補助制度です。ただし、補助金には審査があるため、申請したら必ずもらえるというものではありません。
助成金とは、主に厚生労働省が管轄するもので、補助金制度とは受給のしやすさが異なります。
助成金は、対象者や対象活動などの基準を満たしてさえいれば、ほぼ100%受給できます。さらに申請期間も長期間に渡るため、補助金よりも受給しやすいと言えます。
そのため、補助金について調べる際には、助成金についても検討すると良いでしょう。
目次
1.スタートアップ企業におすすめの補助金7選
この章では、スタートアップ企業に特におすすめの補助金をご紹介します。税理士がおすすめする補助金は以下の7つです。各補助金名をクリックしていただけますと、運営団体のHPへ移行できます。
1. 小規模事業者持続化補助金 | 持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取り組みや、業務効率化の取り組みを支援 |
2. ものづくり補助金 | 中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援 |
3. IT導入補助金 | 様々な経営課題を解決するためのITツール導入を支援 |
4. 事業再構築補助金 | ポストコロナ・ウィズコロナに対応するための事業再構築を支援 |
5. 事業承継・引継ぎ補助金 | 事業承継を契機として新しい取り組み等を行う中小企業等及び、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業等を支援 |
外部環境に挑戦し、成長過程での課題解決(戦略立案・事業提携・海外展開・組織整備等)に取り組む活動「スタートアップチャレンジ」の支援 | |
7. 起業支援金制度 | 効果的な起業等を促進し、地域課題の解決を通して地方創生を実現することを目的とした支援 |
では、上記補助金の特徴や利用方法について詳しく解説します。事業内容や目的があなたの企業に適しているか、確認してみましょう。
1-1.小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、経済産業省系の補助金です。主に小規模事業者の経営基盤強化を目的としている補助金です。業務効率化のための設備投資や販路拡大などに利用できます。広報やウェブサイトなど自社を宣伝することが多く、新商品の開発にも費用を使うことの多いスタートアップ企業におすすめできます。
●対象者
以下に該当する法人・個人事業主・特定非営利活動法人が対象となります。
商業・サービス業(宿泊業、娯楽業除く) | 常時使用する従業員の数:5人以下 |
宿泊業、娯楽業 | 常時使用する従業員の数:20人以下 |
製品業その他 | 常時使用する従業員の数:20人以下 |
●給付額
給付額は申請類型別に、以下の通りです。
事業類型 | 補助上限額 | 補助率 |
通常枠 | 50万円 | 2/3 |
賃金引上げ枠 | 200万円 | 2/3 (赤字事業者は3/4) |
卒業枠 | 200万円 | 2/3 |
後継者支援枠 | 200万円 | 2/3 |
創業枠 | 200万円 | 2/3 |
※インボイス特例対象事業者は、上記金額に50万円の上乗せする。
詳しくは以下のURLでご確認ください。
1-2.ものづくり補助金
ものづくり補助金は、経済産業省系の補助金です。製造業を中心とした中小企業、小規模事業者らが、新製品・新サービスの開発や試作品開発、生産プロセスの改善を行うための設備投資などを行う際に受けられる補助金です。新しい革新的な製品やサービスを生み出していくスタートアップ企業におすすめできます。
●対象者
対象となる中小企業者は以下のように定義されています。
1.製造業、建設業、運輸業
2.卸売業
3.サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
4.小売業
5.ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
6.ソフトウェア業又は情報処理サービス業
7.旅館業
8.その他(上記以外)
対象となる小規模事業者は以下のように定義されています。
「常勤従業員数が、製造業その他・宿泊業・娯楽業では20人以下、卸売業・小売業・サービス業では5人以下の会社又は個人事業主」
●給付額
事業類型ごとの補助上限額、補助率は以下の表の通りです。
枠 | 補助額 | 補助率 |
---|---|---|
省力化(オーダーメイド型) | 750-8,000万円(人数によって上限額が異なる) ※大幅賃上げを行う場合は1,000万円ー1億円 | 2/3 ※補助金額が1,500万円を超える部分は1/3 |
セキュリティ対策推進枠 | 通常類型:750-1,250万円 成長分野進出型:1,000-2,500万円 (人数によって上限額が異なる) ※大幅賃上げを行う場合は 通常類型:850万円ー2,250円 成長分野進出型:1,100万円ー3,500万円 | 2/3 |
グローバル枠 | 3,000万円 ※大幅賃上げをする場合は3,100万円~4,000万円 | 2/3 |
※補助事業終了後、3〜5年で大幅な賃上げに取り組む事業者(給与支給総額を年平均成長率6%以上増加など)に対して、補助上限額を100〜2,000万円上乗せする。
詳しくは以下のURLでご確認ください。
1-3.IT導入補助金
IT導入補助金は経済産業省系の補助金です。中小企業、小規模事業者らがITツールを導入する際に受けられる補助金です。ITツールを用いて業務効率化や売上拡大を目指す企業に適しています。IT関連のスタートアップ企業はもちろん、ハードウェアやソフトウェアをツールとして多分に用いるスタートアップ企業にもおすすめです。
●対象者
対象となる中小企業者は以下のように定義されています。
1.製造業、建設業、運輸業
2.卸売業
3.サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)
4.小売業
5.ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
6.ソフトウェア業又は情報処理サービス業
7.旅館業
8.その他(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等も対象)
※また、従業員規模によっては、医療法人、社会福祉法人、学校法人、商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所、中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体、特別の法律によって設立された組合またはその連合会、財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益)、特定非営利法人も含まれる。
対象となる小規模事業者は以下のように定義されています。
1.商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)
2.サービス業のうち宿泊業・娯楽業
3.製造業その他
●給付額
事業類型ごとの補助上限額、補助率は以下の表の通りです。
枠 | 補助額 | 補助率 |
---|---|---|
通常枠 | 1プロセス以上:5-150万円未満 4プロセス以上:150-450万円以下 | 1/2以内 |
セキュリティ対策推進枠 | 5-100万円 | 1/2以内 |
インボイス枠 (インボイス対応類型) | ITツール:~350万円 PC・タブレット:~10万円 レジ・券売機:~20万円 | ITツール:4/5または3/4以内(50万円超では2/3以内) PC・タブレット:1/2以内 レジ・券売機:1/2以内 |
インボイス枠 (電子取引類型) | ~350万円 | 2/3以内(中小企業、小規模事業者等以外は1/2以内) |
複数社連携IT導入枠 | 経費によって異なるが、インボイス対応類型の対象経費は、 上記のインボイス対象類型と同じ |
※2023年まではA類型とB類型に分かれていたが、2024年は統合された。現在は補助額で分類されている。
詳しくは以下のURLでご確認ください。
1-4.事業再構築補助金
事業再構築補助金は経済産業省系の補助金です。新たな事業への転換や業態、業種転換、また事業再編を図る企業を支援するための補助金です。コロナ禍で影響を受けた中小企業などにとって重要な支援策です。
一社あたりの補助額の上限は、100万円から1億円とかなり高額です。しかし、中堅企業、中小企業、小規模事業者のどの企業規模に該当するかによって、給付される金額が異なります。
思い切った事業の再構築や、新分野展開に至る必要もあるスタートアップ企業におすすめできます。
●対象者
以下の3つの基本要件を満たす必要があります。
また、事業累計ごとに別途、補助対象要件があります。
1.事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
2.事業計画について金融機関等や認定経営革新等支援機関の確認を受けること
3.補助事業終了後3-5年で付加価値額の年平均成長率3-5%(事業類型により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価額の年平均成長率3-5%(事業類型により異なる)以上増加の達成すること
●給付額
事業類型ごとの補助上限額、補助率は以下の表の通りです。
事業類型 | 補助上限額 | 補助率 |
---|---|---|
成長分野進出枠 (通常類型) | 3,000万円 | 中小1/2 中堅1/3 |
成長分野進出枠 (GX進出類型) | 中小:5,000万円 中堅:1億円 | 中小1/2 中堅1/3 |
コロナ回復加速化枠 (通常類型) | 2,000万円 | 中小2/3 中堅1/2 |
コロナ回復加速化枠 (最低沈金類型) | 1,500万円 | 中小3/4 中堅2/3 |
サプライチェーン強靭化枠 | 3億円 | 中小1/2 中堅1/3 |
詳しくは以下のURLでご確認ください。
1-5.事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金は経済産業省系の補助金です。事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業や、事業承継を契機として新しい取り組みなどを行う中小企業などを支援するための補助金です。事業の引き継ぎに関わる新規開拓などの支援が受けられます。新しい取り組み、新規開拓から始まることの多いスタートアップ企業におすすめできます。
●対象者
対象となる中小企業者は以下のように定義されています。
1.製造業
2.卸売業
3.小売業
4.サービス業
対象となる小規模事業者は以下のように定義されています。
1.製造業その他
2.商業・サービス業
3.サービス業のうち宿泊業・娯楽業
※「商業」とは、卸売業・小売業を指す。
●給付額
類型 | 補助率 | 補助下限額 | 補助上限額 | 上乗せ額(廃業費) |
買い手支援類型(Ⅰ型) | 補助対象経費の3 分の 2 以内 | 50万円 | 600万円以内 | +150万円以内 |
売り手支援類型(Ⅱ型) | 補助対象経費の2 分の 1 又は3 分の 2 以内 | 50万円 | 600万円以内 | +150万円以内 |
※廃業費の併用申請によって150万円まで上乗せされる。
詳しくは以下のURLでご確認ください。
1-6.スタートアップチャレンジ推進補助
スタートアップチャレンジ推進補助は経済産業省系の補助金です。中小企業やスタートアップ企業の成長過程での戦略立案や事業提携、海外展開、組織整備などの課題に取り組む活動をスタートアップチャレンジとして支援をしています。人材への成長機会を与え、スタートアップ企業の人材不足解消などを目標としています。成長性の高い事業に対して提供されます。
●対象者
事業ポートフォリオ組み替え等の担い手人材・次世代リーダーの育成に課題があり、社外での機会付与を検討している大企業等のうち、以下4つの要件を全て満たす事業者が対象となっています。
1.日本国内に登記し活動実績のある法人であること
2.予算決算及び会計令第70条及び第71条の規定に該当しないものであること
3.経済産業省所管補助金等交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置要領(平成15・01・29 会課第1号)別表第一及び第二の各号第一欄に掲げる措置要件のいずれにも該当しないこと
4.常時雇用する従業員数が300人以上の企業であること、または従業員に新規事業を機動的に動かす機会を提供できない個別の理由が存在すること
●給付額
類型 | 補助上限額 | 補助率 |
類型A:武者修行・人材育成型 | 500万円/事業者 | 1/2以内 |
類型B:スタートアップ採用支援型 | 500万円/事業者 | 2/3以内 |
類型C:人材直接受入型 | 1,000万円(受け入れ人材1人あたりの補助上限額は500万円) | 2/3以内 |
類型D:人材プール形成型 | 2,000万円/事業者 | 1/2以内 |
詳しくは以下のURLでご確認ください。
1-7.起業支援金制度
起業支援金制度は、地方自治体や独立行政法人などが提供する、起業時の資金調達などを支援する補助金です。地域ごとに異なる要件があります。
事業分野は、子育て支援や地域産品を活用する飲食店、買い物弱者支援、まちづくり推進など地域の課題に応じて幅広く想定されています。スタートアップ企業においても、十分狙っていける制度だといえるでしょう。
●対象者
新たに起業する場合の事業者は、次の3つすべてを満たすことで対象者となります。
1.東京圏以外の道府県又は東京圏内の 条件不利地域において社会的事業の起業を行うこと
2.国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに、個人開業届又は法人の設立を行うこと
3.起業地の都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること
事業承継又は第二創業する場合の事業者は、次の3つすべてを満たすことで対象者となります。
1.東京圏以外の道府県又は東京圏の 条件不利地域において、Society5.0関連業種等の付加価値の高い分野、社会的事業を 事業承継又は第二創業により実施すること
2.国の交付決定日以降、補助事業期間完了日までに、事業承継又は第二創業を行うもの
3.本事業を行う都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること
●給付額
補助上限額は200万円。
詳しくは以下のURLでご確認ください。
2.スタートアップ企業におすすめの助成金2選
助成金は、特定の条件を満たした企業に対して返済不要の資金援助を行う制度です。以下の2つは、スタートアップ企業に特におすすめです。各助成金名をクリックしていただけますと、運営団体のHPへ移行できます。
中途採用者の雇用管理制度を整備した上で中途採用の拡大を図る事業主に対しての支援 | |
2.キャリアアップ雇用奨励金 | 有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して支援 |
2-1.早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)
早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)(旧、中途採用等支援助成金)は厚生労働省系の、中途採用を拡大し、雇用を促進するための助成金です。新たに中途採用を行う際の費用負担を軽減し、企業の成長を支援します。中途採用により、経験者や資格取得者の力を借りたいスタートアップ企業におすすめできます。
●対象者
支給対象の労働者を雇い入れるとともに以下の全ての措置をとることで対象になります。
1.中途採用計画を作成し、管轄の労働局に届け出ること
2.中途採用計画期間に、次の(1)から(4)までの取組を実施すること
(1)中途採用計画期間中に対象労働者を2人以上雇い入れること
(2)中途採用計画期間中の中途採用率を、計画期間前3年間と比較して20ポイント以上向上させること
(3)中途採用計画期間中の45歳以上の中途採用率を、計画期間前3年間と比較して10ポイント以上向上させること(「(B)45歳以上の中途採用率拡大」の場合のみ)
(4)45歳以上の対象労働者全員の雇い入れ前事業所において支払われていた賃金と、雇い入れ後6か月間の賃金支払日ごとに支払われる賃金とを比較して、いずれも5%以上上昇させたこと(「(B)45歳以上の中途採用率の拡大」のみ)
●給付額
達成条件 | 助成概要 | 助成額 |
(A)中途採用率の拡大 | 中途採用率を20ポイント以上上昇させた事業主に対する助成 | 50万円 |
(B)45歳以上の中途採用率の拡大 | 以下のすべてを満たす事業主に対する助成 ・中途採用率を20ポイント以上上昇させた ・うち45歳以上の労働者で10ポイント(45歳以上中途採用率拡大目標値)以上上昇させた ・当該45歳以上の労働者全員の賃金を前職と比べて5%以上上昇させた | 100万円 |
詳しくは以下のURLでご確認ください。
2-2.キャリアアップ雇用奨励金
キャリアアップ雇用奨励金は厚生労働省系の助成金で、非正規雇用から正規雇用への転換を図る企業に対して支給されます。人材の定着とキャリアアップを目指すスタートアップにとって有用です。
●対象者
次の4つのすべてに該当し、かつ、該当するコースの支給対象事業主の要件に該当する者を支給対象者としています。(※支給対象事業主には、民間の事業者のほか、民法上の公益法人、特定非営利活動促進法(平成 10 年法律第7号)上の特定非営利活動法人、医療法(昭和- 12 – (R6.4.1)23 年法律第 205 号)上の医療法人、社会福祉法(昭和 26 年法律第 45 号)上の社会福祉法人等も含まれる。)
1.適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を配置した事業主であること。
2.適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画書を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること。なお、「キャリアアップ計画書」の内容(実施するコース)に支給申請を検討している「講ずる措置」を記載していない場合は、取組実施日の前日までに当該措置について記載した「キャリアアップ計画書(変更届)」を提出している事業主であること。
3.該当するコースの措置に係る対象労働者に対する労働条件、勤務状況及び賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主であること。
4.本助成金の趣旨を十分理解し、当該趣旨に沿った取組を実施している事業主であること。
⚫︎給付額
コース | 中小企業の助成上限額(対象労働者1人あたり) | 大企業の助成上限額(対象労働者1人あたり) |
正社員コース | 80万円 | 60万円 |
障害者正社員化コース | 120万円 | 90万円 |
賃金規定等改訂コース | 6万5,000円 | 4万3,000円 |
賃金規定等共通化コース | 60万円 | 45万円 |
賞与・退職金制度導入コース | 40万円 | 30万円 |
短時間労働者労働時間延長コース | 23万7,000円 | 17万8,000円 |
社会保険適用時処遇改善コース | 30万円 | 30万円 |
※一定の条件を満たすことで上乗せされる加算措置制度あり。
詳しくは以下のURLでご確認ください。
3.スタートアップ向け補助金申請 に必要な書類
補助金申請には、事業計画書や財務諸表、申請書類などが必要です。事前に必要な書類を確認し、適切に準備しましょう。
書類の種類としては、申請する補助金の種類や申請者の状況により異なりますが、一般的には以下のようなものが必要です。
事業計画書 | 事業計画書は、補助金申請の最も重要な書類の一つです。 事業の目的と概要、市場分析、具体的な事業内容、収益計画、リスク管理といった項目を含むことが求められます。 |
申請書 | 補助金ごとに指定された形式の申請書を記入します。申請書には基本的な企業情報や申請者情報、事業内容の要約などを記載します。 |
財務諸表 | 最新の財務諸表がある場合には(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書など)提出します。過去3年間分の財務諸表が求められる場合が多いです。 |
資金計画書 | 補助金を活用した資金の使途を具体的に記載した計画書です。どのような目的でどのように資金を使うかを明確にします。 |
事業内容証明書類 | 事業の実態や進捗状況を証明するための書類です。契約書、納品書、請求書などが含まれます。 |
認定証明書 | 事業の実態や進捗状況を証明するための書類です。契約書、納品書、請求書などが含まれます。 |
登記簿謄本 | 企業の登記簿謄本(現在事項全部証明書)を提出します。これは、企業の正式な登録情報を確認するための書類です。 |
納税証明書 | 過去の納税状況を確認するための書類です。国税や地方税の納税証明書を提出することが求められることがあります。 |
会社概要書 | 企業の基本情報(設立年月日、所在地、資本金、従業員数、事業内容など)をまとめた書類です。簡潔に企業の全体像を把握できるようにします。 |
その他の証明書類 | 補助金の種類や要件によっては、その他の証明書類が必要となることがあります。例えば、特許証明書、環境認証証明書、ISO認証書などが該当します。 |
注意事項として、各書類のフォーマットや提出方法については、申請する補助金の公募要領を必ず確認し、それに従って準備を進めてください。書類の不備や記載ミスは申請の却下理由となることが多いため、細心の注意を払って作成しましょう。ミスや漏れを防ぐために、事前に税理士など、各種専門家のアドバイスを受けることも有効です。
4. スタートアップ向け補助金申請の手順
申請手順は補助金の種類によって異なりますが、一般的には以下の流れになります。
1.公募情報の確認
補助金の公募情報は、政府機関や地方自治体のウェブサイトなどで応募時期が近くなると公開されます。最新版の公募情報を確認し、補助金の内容、対象者、補助上限額、応募条件、締め切りなどを把握しておきましょう。
※注意点
公募期間は限られているため、早めの確認、応募準備が必要です。また、補助金の対象となる事業内容や企業規模などの条件をしっかりと確認することが重要です。
2.必要書類の準備
公募要項に基づいて、事業計画書、経営計画書、予算書、会社概要、過去の実績資料などの必要な書類を揃えていきましょう。
※注意点
書類の内容が不備や不明瞭な場合、申請が却下されることがあります。必要書類はすべて最新の情報で、内容についても正確かつ具体的に記載したものを用意してください。
3.申請書の作成
指定されたフォーマットをウェブサイトなどからダウンロードして、申請書を作成します。事業の目的、実施計画、期待される効果などを明確に記述しましょう。
※注意点
申請書の内容は審査に大きく影響します。可能であれば、専門家のアドバイスを受けながら作成することをお勧めします。また、誤字脱字や記載漏れがないように、作成後は十分にチェックしておいてください。
4.申請書の提出
指定された提出方法(オンライン、郵送、直接提出など)に従い、申請書を提出します。
※注意点
提出期限は厳守しましょう。オンライン提出の場合、システムトラブルが起こってしまうことも想定して、早めに提出することが望ましいです。
5.審査結果の採択通知
審査結果は通常、メールや郵送で通知されます。採択された場合には、補助金の交付決定通知が送られてきます。
※注意点
結果が通知されるまでには、補助金の種類によって時間がかかる場合があります。結果待ちの間に、次のステップの準備を進めておくと良いでしょう。
6.補助事業実施
採択後、実際の事業を開始します。事業計画に沿って、予定された活動を実施します。その間にかかった経費を後ほど補助金として受け取ることができます。領収書、経費の内訳や事業成果など、報告できる事柄はきちんと記録しておきましょう。
※注意点
事業の進捗を記録し、必要な証拠(領収書や報告書)を保管することが重要です。補助事業の進捗が遅れる場合には、担当機関に連絡して指示を仰ぐ必要があります。
7.実績報告
事業完了後、実績報告書を提出します。報告書には、事業の成果、使用した経費の内訳などを詳述します。
※注意点
実績報告書の内容が不十分な場合、補助金の支給が遅れる可能性があります。計画通りに進捗したか、予算通りに経費を使用したかなど、明確に報告しましょう。
8.補助金の請求
実績報告が承認されると、補助金の請求手続きを行います。所定の請求書を提出し、補助金の支払いを受けましょう。
※注意点
請求書の内容が正確であることを確認し、不備がないように提出してください。また、支払いスケジュールを確認し、事業の資金繰りに問題がないように計画を立てることが大切です。
9.補助金支給
請求が承認されると、補助金が指定の口座に振り込まれます。
※注意点
補助金が振り込まれたら、領収証を保管して資金の使用状況をしっかり管理します。補助金は指定された用途以外に使用しないよう注意が必要です。
10.事業の定期進捗報告(補助金により定められた所定年数)
補助金によっては、所定の期間内に定期的な進捗報告を求められることがあります。事業の進捗状況や成果を報告しましょう。
※注意点
定期報告の期限を守り、必要な情報を適切に提供することが求められます。進捗報告が遅れると、次回以降の補助金申請に影響を及ぼす可能性があります。
以上の手順、各注意点を守り、適切な方法で補助金の申請を行ってください。
5. スタートアップ向け補助金申請のタイミング
補助金申請は各補助金の公募期間内に行う必要があります。公募開始時期や締切日を把握し、余裕を持って準備しましょう。
特に創業補助金の場合、受付期間は、毎年春頃に1ヵ月程度設定されています。助成金と比べて期間が短いため、事前確認が重要です。
6. 補助金の審査のために押さえておきたいポイント
スタートアップ企業が補助金審査を通過するために、以下のポイントを押さえておくことをおすすめします。
6-1.補助対象事業の計画が明確に実現可能かどうか
事業計画が具体的であり、実現可能性が高いことを示すことが重要です。補助金は目的の達成を目標として給付されるものですので、自社では確実に目的を達成しますとアピールすることが大切なためです。具体的な目標やスケジュールを明示しましょう。
6-2.補助対象事業の目的が該当する補助金に合っているかどうか
申請する補助金の目的と事業の目的が合致した事業計画であることを確認しましょう。補助金欲しさに、事業分野や目的の異なる補助金制度に申し込んでも審査を通過できません。
6-3.補助対象事業の目的の達成確率が高いかどうか
6-1でお伝えしたように、実現可能であることを示すことは重要です。そのため、事業計画の実現可能性を高めるために、具体的な達成手段や根拠となる数字などを明確に示しましょう。過去の実績や経験もアピールポイントになります。
6-4.補助対象事業が収益を見込めるものかどうか
補助金を受けた事業が将来的に収益を生むかどうかも審査のポイントです。補助金制度では、少なくない金額を給付するため、当然、将来性、持続性のある事業が優先的に支援を受けられるからです。収益見込みや市場分析を具体的に示しましょう。
6-5.補助対象事業者に経営能力があるかどうか
経営者の能力やチームのスキルも重要な評価項目です。補助対象事業が成功するかどうかは経営者の手腕にかかっているためです。経営陣の経歴や過去の実績を明示しましょう。できる限り補助を受ける事業分野にかかわりの深い経歴や実績を示していけると良いです。直接的な事業分野へのかかわりを示すことが難しい場合には、取得資格や研修経験、関連のあるスキルを持つ共同経営者や従業員の存在などもPRに用いると良いでしょう。
6-6.補助対象事業者の現在の財務状況が良好かどうか
補助金を受ける企業の財務状況が健全であることも、当然審査の対象です。現時点で財務状況が悪いようでは、事業の成功する未来を想像できなくなってしまいます。最新の財務の分かる表などを提出し、財務状況を明示しましょう。
7. 補助金を申請する際の注意点
補助金を申請する際には、以下の点に注意する必要があります。
7-1.申請しても必ず受給できるわけではない
補助金は競争率が高いため、申請しても必ず受給できるわけではありません。複数の補助金に応募することを検討しましょう。
7-2.複数の補助金は受給できない
一つの事業に対して複数の補助金を同時に受給することはできません。どの補助金を優先するか慎重に検討しましょう。
7-3.廃止される制度もある
補助金制度は変更や廃止が行われることがあります。最新の情報を常にチェックして柔軟に対応しましょう。たとえば、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は令和6年以降廃止となりました。有名な補助金制度ですので、間違えて応募することがないように覚えておいてください。
7-4.原則として後払いである
補助金・助成金は原則として後払いです。まずは自己資金で事業を開始し、後で補助金を受け取ることを前提に計画を立てましょう。
8.スタートアップの会社設立にお悩みの際は辻・本郷会社設立センターへご相談を
会社設立に関するお悩みやご質問がある場合は、専門的な知識や会社設立にまつわる実績を持つ辻・本郷会社設立センターへご相談ください。補助金の申請や事業計画の作成など、経験豊富な専門のスタッフが親身になってサポートいたします。
この記事が、あなたの会社設立の一助となることを願っています。
9.まとめ
スタートアップ企業にとって補助金・助成金は貴重な資金源です。
スタートアップ企業が活用できる適切な補助金を選び、効果的に活用することで事業の成長を加速させましょう。本記事を参考に、ぜひ補助金申請に挑戦してみてください。補助金の受給には準備が必要ですが、成功すれば大きな支援が期待できます。
綿密な計画を立て、しっかりと準備を進めてください。