スタートアップ企業で働く人口は、日本国内でも年々増加傾向にあります。しかし、スタートアップ企業を興す起業家にとって、資金調達は避けて通れない大きな課題です。
新しいビジネスモデルのアイデアを実現して短期間で急成長するためには、適切な資金を確保し、事業の成長の原動力とする必要があります。
ゆえに、資金調達は単なるお金集め以上の意味を持ち、ビジネスの将来を左右する戦略の一つであるといえます。
この記事では、スタートアップ企業の資金調達方法や、資金調達に必要な手順、準備しておきたいこと、注意点などを徹底解説します。
スタートアップ企業の成功のために、ぜひご一読ください。
目次
1.スタートアップ企業の資金調達方法は大きく分けて5種類
スタートアップ企業が成長するために、資金調達は不可欠です。以下に、主な資金調達方法を紹介します。
1-1.エクイティファイナンス
企業が所有権の一部を売却して株式交付と引き換えに出資を受けて資金調達をしたり、新株の発行をしたりといった行動により、エクイティ(株主資本)の増加をもたらす方法をエクイティファイナンスといいます。例えば、企業が株式を発行して投資家からの出資により資金を得る方法である、「出資による資金調達」が該当します。
この方法のメリットは、調達した資金を自己資本に充てられるため、返済義務がなく、資金繰りの負担が軽減されることです。
しかし、株式を発行するため、経営権の一部を投資家に譲渡することになります。株主がビジネスの運営方法について意見を持つことができるようになり、経営の自由度を失うリスクがあります。
1-2.デッドファイナンス
銀行借入や債権発行など、負債によって資金調達をする方法をデッドファイナンスといいます。融資や社債発行といった、銀行・金融機関や投資家などから資金を借りる方法がこれにあたります。
融資の場合は、審査に通過することで多額の資金調達が可能ですが、当然定期的な返済が必要な点がデメリットです。社債発行も同様に、言うならば投資家からの借金となるため、一定期間後に元本を返済する義務があります。また、自己資本における借入金の比率が多い状態が続くと、会社全体の信頼性の低下につながってしまいます。
1-3.アセットファイナンス
アセットファイナンスとは、会社あるいは経営者が所持している有形・無形の資産を現金化することで資金調達をする方法です。例えば、売掛金を売却するファクタリングや、不動産を売却して資金を得る方法、債券を回収し現金を得る方法などが含まれます。この方法は資産を有効活用する手段となりえますが、あくまで一時的な資金調達に過ぎないことがほとんどで、その点がデメリットといえるでしょう。
(※ただし、上記で例示した方法は長期的な資金調達の方法として定着するものではありませんが、アセットファイナンスには保険・株式などの金融資産や、特許、実用新案、意匠、商標といった知的財産権など、将来的にキャッシュフローを生む資産を用いた資金調達も含まれます)
1-4.補助金や助成金
補助金や助成金は、政府や自治体から提供される資金で、返済義務がありません。まだ収入が少なく、これから事業展開をする段階のスタートアップにとって非常に有益な方法です。ただし、申請手続きが複雑で、審査が厳しいといったデメリットがあります。また、後払いが原則であったり、受給までに時間を要するものが多いのもデメリットといえるでしょう。
1-5.クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを通じて多数の個人から小口の資金を集める方法です。
商品やサービスのプレセールスとして活用できるため、市場の反応を確認する手段としても有効です。
手軽に、迅速に資金調達できる点が大きなメリットとなるでしょう。出資や融資と違いさまざまな準備や手続きもなく、専用のサイトに登録してプロジェクトを立ち上げるだけで成り立つため、実行するハードルが低いです。
対して、目的の金額が集まらない可能性あるのがデメリットとして挙げられます。さらに、サービスによっては目標金額に達していない場合、出資者に返金となるケースもあります。その場合、クラウドファンディングに割いた手間や時間は無駄になってしまいます。
また、プロジェクトが成立した際には、支援金の中からサービスの運営側に対して約10〜20%程度の手数料を支払う必要があります。集まった金額のすべてを得られるわけではないことも理解しておいてください。
2.スタートアップ企業の資金調達先は資金調達ラウンドに合わせて選ぶべき
スタートアップ企業は、成長段階に応じて適切な資金調達先を選ぶことが重要です。各企業の現状は、企業の発展段階ごとに分類した『資金調達ラウンド(投資ラウンド)』というステージによって分けられます。
以下に、各資金調達ラウンドごとにおすすめの資金調達先を紹介します。
2-1.ラウンド①:シード期におすすめの資金調達方法
2-1-1.シード期とは
シード期とは、ビジネスの大枠が決まったくらいの、アイデアやプロトタイプの開発段階の企業の状態を指します。
シード期の資金調達では「少額ずつ幅広く集める」ことがポイントとなります。複数の調達先から少しずつ調達することで、堅実に一定額を集めていくことができます。
また、シード期では大規模な売上を見込むことがまだ難しいため、返済の必要がない調達方法を選ぶことも優先してよいといえます。
シード期の調達額の相場は、数百万円~数千万円程度とされています。
2-1-2.シード期におすすめの5つの資金調達先
エンジェル投資家 | 将来性を示すことで出資してもらえる可能性が高い。 |
ベンチャーキャピタルからの出資 | ベンチャー企業同様、スタートアップ企業も支援してもらえることが多い。 |
クラウドファンディング | 簡単に今すぐにでも、サイトに登録するだけで始められる。 |
自治体の制度融資や日本政策金融公庫からの融資 | 前職の経歴や自己資金などがある場合、有効に用いることができる。 |
助成金・補助金 | 特に創業当初には「創業補助金」などがあるため、事業内容に適したものに応募するとよい。 |
※エンジェル投資家とは
まだ実績があまりなく、起業して間もない企業に資金を出資する個人投資家を指す。実績ではなく将来性や新規性、ビジネスモデルなどから判断し、出資する。金額は数百万円から数千万円規模までさまざまで、初期段階の事業には有効な資金調達先だといえる。
ベンチャーキャピタルは主にベンチャー企業を対象に出資を行う投資会社などの組織を指し、個人ではないためエンジェル投資家とは分けて考えられる。
2-2.ラウンド②:アーリー期におすすめの資金調達方法
2-2-1.アーリー期とは
アーリー期は、製品やサービスを市場投入し、適切な市場に受け入れられ、収益を得ることを目指す段階です。製品を市場に届けるための最低限のエンジニアや、それを販売して顧客対応を行う営業スタッフなどの増員が必要になるため、資金は主にそうした部分に用いられるでしょう。
より多くの資金が必要になるため、アーリー期からは株式を特にうまく使っていく必要があります。配当や残余財産の分配において優先権のある「優先株式」等といった種類株式を発行することで、投資家に対して有利な条件を与えて次なる投資を促し、上手に資金調達していきましょう。
アーリー期の調達額の相場は、数千万円程度とされています。
2-2-2.アーリー期におすすめの4つの資金調達先
エンジェル投資家 | アーリー期よりも種類株式を発行し、うまく活用しながら資金調達をするとよい。 |
ベンチャーキャピタルからの出資 | アーリー期よりも種類株式を発行し、うまく活用しながら資金調達をするとよい。 |
クラウドファンディング | 継続的に広告宣伝をしていくことで大量に資金が集められる可能性がある。 |
日本政策金融公庫からの融資 | 会社の成長や実績によっては融資を狙うことも有効である。 |
※種類株式とは
会社法で発行が認められている、普通株式以外の9種類の株式を指す。株式の種類ごとに、普通株式とは異なる権利内容を設定できるようになっている。
種類株式には、剰余金の配当が優先される株式、株主総会において議決権を行使できる内容を制限する株式などがある。それぞれを活用することで資金調達をしやすくなるというメリットがあるが、種類株式の取り扱いが複雑になる、種類株主総会を開催しなければならない場合があるなどのデメリットも存在する。
2-3.ラウンド③:シリーズAにおすすめの資金調達方法
2-3-1.シリーズAとは
シリーズAとは、ビジネスを開始した直後で、事業拡大のための資金調達段階を指します。
アーリー期に引き続き、シリーズA以降は、種類株式を活かした資金調達をしていく必要があります。
種類株式のひとつである優先株式は、初回の資金調達には「A種優先株」、2回目には「B種優先株」のようにアルファベットで順序立てた名称で発行される場合が多く、「シリーズA」はこのアルファベットのAが由来です。資金調達回数が増え、企業が発展していくにつれてアルファベットが進んでいきます。
シリーズAでは、まだ手元の資金は少ない上に、想定外のコストが発生してしまい資金繰りが苦しくなる可能性も高いです。さらに、規模が大きくなる分必要な金額も増えてしまいますので、契約時の交渉に関しては特に慎重に、不利な条件で契約をしてしまわないようにしましょう。
シリーズAでの調達額の相場は、数千万円~数億円とされています。
2-3-2.シリーズAにおすすめの3つの資金調達先
ベンチャーキャピタルからの出資 | 種類株式を発行し、うまく活用しながら資金調達をするとよい。 |
コーポレート・ベンチャーキャピタルや大企業からの出資 | 規模の拡大に従って、交渉や広報活動などに力を入れていくとよい。 |
日本政策金融公庫からの融資 | 実績によっては融資を狙うことも有効である。 |
※コーポレート・ベンチャーキャピタルとは
事業会社が自己資金でファンドを組成し、主に未上場のベンチャー企業などに出資や支援を行う活動組織を指す。自社の事業内容と関連のある他企業に投資し、本業としている事業が相乗効果を得ることを目的として運営されている。
コーポレート・ベンチャーキャピタルは、あらゆる分野のベンチャー企業に投資を行う一般的なベンチャーキャピタルと異なり、あくまで自社の事業内容と関連性があり、本業の収益につながると思われる企業に投資するのが特色である。
既存事業を拡大するために投資を行うため、コーポレート・ベンチャーキャピタルの設立元である事業会社は規模が大きく、信頼性の高い企業であることも多い。こうした企業とのつながりを出資によって得られることはメリットのひとつとなる。
2-4.ラウンド④:シリーズBにおすすめの資金調達方法
2-4-1.シリーズBとは
シリーズBラウンドは、製品やサービスが評価され、ビジネスが軌道に乗り始めた頃に大規模な事業拡大を目指す段階です。
シリーズBの由来は、シリーズA同様に優先株式の名称によるものです。優先株式は、先に発行した「A種優先株」と、後から発行した「B種優先株」を比較すると、後から発行したB種優先株の方が優先されるのが一般的です。より有利な取引ができるように優先株式を活用しましょう。
シリーズB以降は事業が比較的安定してきますが、さらに売上を伸ばしていくために、マーケティング費や人件費、人材採用費、研究開発費などに必要資金がかかります。
シリーズBでの調達額の相場は、数億円程度とされています。
2-4-2.シリーズBにおすすめの3つの資金調達先
ベンチャーキャピタルからの出資 | B種優先株なども発行し、うまく活用しながら資金調達をするとよい。 |
コーポレート・ベンチャーキャピタルや大企業からの出資 | 規模の拡大に従って、大規模会社との関係性を築くことにも力を入れるとよい。 |
日本政策金融公庫からの融資 | 実績によっては融資を狙うことも有効である。 |
2-5.ラウンド⑤:シリーズCにおすすめの資金調達方法
2-5-1.シリーズCとは
シリーズCラウンドは、黒字経営が安定化し始め、事業の安定化とさらなる成長を目指す段階です。
シリーズC以降になると、海外展開を行う企業も増えてきます。
資金調達方法としては、シリーズB以前の方法のほか、IPO(新規公開株式)が加わります。IPOとは、少数の株主にのみ株式が所有されていた未上場会社が、新たに証券取引所に株式を上場して、一般の投資家に向けて株式を売り出すことを指す言葉です。IPOを活用することで、さらに多くの投資家から幅広く資金調達ができるようになるだけでなく、知名度や社会的信用度が向上していきます。
シリーズCでの調達額の相場は、数億円〜数十億円とされています。
2-5-2.シリーズCにおすすめの4つの資金調達先
ベンチャーキャピタルからの出資 | 上場して一般の投資家からの出資も狙っていける時期。 |
コーポレート・ベンチャーキャピタルや大企業からの出資 | 規模の拡大に従って、大規模会社との関係性を築くことにも力を入れるとよい。 |
民間銀行からの融資 | 実績も拡大してきている時期なので、都市銀行などからの融資を狙うことも有効である。 |
プライベート・エクイティ・ファンドからの出資 | 上場する前に、プライベート・エクイティ・ファンドによる投資を受けて資金調達をするとよい。 |
※ プライベート・エクイティ・ファンドとは
未公開株式を取得し、成長させて株式公開や第三者に売却することで利益を得る目的のファンドを指す。具体的には、複数の機関投資家や個人投資家から集めた資金を未上場企業に投資することで経営に関与する支援などを行い、企業価値を高め、IPO (新規公開株式)の活用や売却によって最終的に利益を得る。ベンチャーキャピタルも広義ではプライベート・エクイティ・ファンドの一種と考えられる。
2-6.ラウンド⑥:シリーズDにおすすめの資金調達方法
2-6-1.シリーズDとは
シリーズDラウンドは、安定的な収益を出せるようになったのちに、IPO(新規公開株式)のほか、M&A(合併・買収)も視野に入れる最終段階です。
資金は、新規事業の開発、市場拡大などに主に用いられます。
シリーズDでの資金調達額の相場は、数十億円〜とされています。
2-6-2.シリーズDにおすすめの4つの資金調達先
ベンチャーキャピタルからの出資 | 海外などの企業からの出資も狙っていける時期。 |
コーポレート・ベンチャーキャピタルや大企業からの出資 | 安定的な大規模会社との関係性を築き、取引を有利に進める時期。 |
民間銀行からの融資 | 実績も拡大してきている時期なので、都市銀行などからの融資を狙うことも有効である。 |
プライベート・エクイティ・ファンドからの出資 | 上場後は自社の成長に投資してもらえるように立ち振る舞うとよい。 |
3. スタートアップ企業が資金調達する上での注意点
各資金調達方法には独自のリスクと注意点があります。以下に、資金調達方法による主要な注意点をまとめます。
3-1.出資における注意点:経営の自由度が制約される可能性がある
出資を受ける際、場合によっては経営の自由度が制約されるリスクがあります。そのため、複数の投資家からの条件をそれぞれ慎重に比較し、経営に支障をきたさない程度に出資を受けることが重要です。
なぜ自由度に制約がかかるのかというと、出資を受けると投資家に株式を握られてしまうため、経営権の一部を投資家に譲渡する形になります。その結果、経営の自由度が制約され、重要な決定をする際に投資家の意向を考慮しなければならなくなる可能性があるためです。
注意すべき例として、複数の投資家から異なる条件を提示されるというケースがあります。この場合、自社にとって最良の条件を提示する投資家を選ぶ必要があります。
このように、出資を受ける際には経営の自由度が制約されるリスクがあるため、投資家からの条件を慎重に比較し、経営に支障が出ないように出資を受けましょう。
3-2.融資における注意点:返済能力と資金計画が重要となる
融資を受ける際は、自社の返済能力を確認すべきです。また、資金が手元に届くまでの時間を考慮した資金計画も重要です。
まず、返済能力について述べていきます。融資にはもちろん返済義務があり、審査を通過するためには十分な返済能力が求められます。よって、返済能力がない状態で融資を受けることは困難である点に留意しておいてください。
次に資金計画について述べます。融資では、資金が実際に手元に届くまでに時間がかかることが多いので、適切な資金計画を作成しないと資金繰りがうまくいかなくなってしまいます。
融資だけを資金の当てにしていると、資金が必要なタイミングに間に合わずに事業の進行が遅れてしまう可能性もあります。
このように、融資を受ける際には自社の返済能力が十分にあるかどうかを確認すること、また、資金が手元に届くまでの時間を考慮した資金計画を組めていることが重要です。
3-3.ファクタリングにおける注意点:手数料と回収額の減少に注意する
ファクタリングを利用する際には、手数料が発生することと、それにより回収額が減少する場合がほとんどであることが注意点です。
ファクタリングは一般的に、売掛金を早期に現金化する方法として利便性がありますが、仲介する会社で手数料が発生し、最終的に受け取る金額が少なくなることがほとんどです。
このようにファクタリングを利用する際には、手数料による回収額の減少を考慮し、慎重に判断することが必要です。
3-4.助成金や補助金における注意点:申請条件とタイミングを見極めて資金繰りを行う
助成金や補助金を受ける際には、申請条件とタイミングの2点をよく考えることと、受給時期をふまえて事前に資金繰りを計画することが重要です。
助成金や補助金には申請条件や募集期間があり、条件を満たしていない場合や募集期間を逃してしまった場合は申請が通りません。
また、補助金・助成金は後払い制が基本であるため、受給できるまでの資金繰りが必要です。
このように助成金や補助金を受ける際には、申請条件とタイミングが自社に合っているかを見極めること、事前に資金繰りを計画することが重要です。
3-5.クラウドファンディングにおける注意点:マーケティングと情報拡散を積極的に行う
クラウドファンディングでは、マーケティングと情報拡散をしっかり行うことが成功の鍵です。
なぜなら、クラウドファンディングは不特定多数の個人から資金を集める方法であるため、希望金額に達しないという結果になる可能性もあるからです。十分な資金を集められなければ、もちろん事業は進められなくなります。
十分な資金を集めるための出資者を募るには、ターゲット層に効果のあるマーケティングが対策として必要です。
SNSやメディアでの告知をまめに行うことが重要となります。話題性のある広告を打ち出したり、ターゲット層の方が出資するに値する事業内容であることを伝え続けましょう。
このように、クラウドファンディングではマーケティングと情報拡散をしっかり行うことが大切です。
4.スタートアップ企業が資金調達を成功させるための4つのコツ
資金調達を成功させるためには、以下の4つのポイントを押さえることが重要です。
4-1.自社の資金調達ラウンドを把握し、適切な資金調達先を選ぶこと
自社の成長段階に応じた資金調達先を選ぶことで、最適な資金を確保しやすくなります。
成長段階によって資金の用途が異なり、資金調達先からの見え方も変動します。自社がどのような内容に資金を優先的に使うべきなのか把握するため、そして、自社の成長状況から見た時にどのような資金調達先ならば自社に出資等をしてくれるか把握するために、現在自社の位置する資金調達ラウンドを知っておくことは重要です。
2章を読んで、自社がどの資金調達ラウンドにいるか把握し、適切な資金調達先を選びましょう。
4-2.事業計画をしっかり組み、経営権を譲らないこと
堅実な事業計画を立てることで、投資家や金融機関からの信頼を得やすくなります。また、3-1でも述べましたが、株式の大半を出資者に握らせてしまった場合、経営の自由度が下がるどころか、最終的に経営権を譲ることになってしまうといったケースに至る可能性もあります。こうしたケースを避けるための工夫も必要です。
4-3.投資信託による出資を受ける場合、償還期限(しょうかんきげん)に合わせて事業を行うこと
出資のなかでも、投資信託による出資を受ける場合には償還期限が生じます。出資者との信頼関係を維持するためにも、きちんと償還を行うことが重要です。
過去に償還期限を守った実績があると、新たな出資者や金融機関からの信頼が高まり、将来的な資金調達がさらにスムーズに進む可能性が高まります。
4-4.弁護士など専門家に相談して、株主構成や持株比率を把握しておくこと
各士業など専門家の助言を受けることで、出資を受ける際などに法的リスクが軽減されます。株主構成や持株比率を正確に把握でき、4-2で述べた、経営権を譲らないような工夫をすることができるようになります。
5.スタートアップ企業の資金調達にお悩みの方は辻・本郷会社設立センターへご相談を
スタートアップ企業の資金調達は、多岐にわたる方法と手続きが必要です。また、それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、慎重な判断が求められます。辻・本郷会社設立センターでは、法務・税務に関する総合的なアドバイスや助成金・補助金の申請手続き支援、出資者や金融機関との交渉サポートなど、多くのサポートを行うことができます。
スタートアップ企業の成長を支えるために、豊富な経験と専門知識を持つスタッフが丁寧に対応いたします。お気軽にお問い合わせください。
6.まとめ
① スタートアップの資金調達方法は大きく分けて5つ
スタートアップ企業が資金を調達するためには、以下の5つの方法があります。
• エクイティファイナンス
• デッドファイナンス
• アセットファイナンス
• 補助金や助成金
• クラウドファンディング
② 自社の資金調達ラウンドに合わせた資金調達先を選ぶべき
各ラウンドに応じた適切な資金調達先を選ぶことで、事業の成長を加速させることができます。シード期からシリーズDまで、各段階での最適な資金調達方法を選びましょう。
③ それぞれの資金調達方法には注意点がある
各資金調達方法にはリスクと注意点があります。出資や融資、ファクタリング、助成金、クラウドファンディングなど、それぞれの方法の特性を理解し、適切な対策を講じることが大切です。
結論
スタートアップ企業にとって、資金調達は避けて通れない重要な課題です。
自社の状況にマッチしている適切な資金調達方法と資金調達先を選び、事業計画をしっかりと立てることで、事業の成長の原動力とすることができます。この記事で紹介した方法や注意点を参考にして、資金調達を成功させましょう。
さらに専門的なアドバイスや支援が必要な場合は、辻・本郷会社設立センターにご相談ください。成功するスタートアップ企業を目指して、一歩一歩着実に進んでいきましょう。