創業融資の審査に通るための完全ガイド:2024年度最新版

起業を考えている多くの方々にとって、資金調達は避けて通れません。「創業融資」は、多くの起業家にとって魅力的な選択肢となっています。

しかし、創業融資を受けるためには厳しい審査を通過しなければなりません。審査に通らなければ、夢見た起業への道のりが遠のいてしまうかもしれませんよね。

この記事では、創業融資の審査に通過するための重要なポイントや、審査に通りやすい創業融資の種類、審査に必要な書類などを詳しく解説します。

あなたの創業時のサポートにお役立てください。


目次

1. 創業融資の審査で重視される4つのポイント

創業融資の審査に通るためには、以下の4つのポイントが特に重要です

1-1. 創業資金のうちの自己資金比率

自己資金比率、すなわち起業家が借入れ以外に自分達で用意した資金の割合が高いほど、融資機関はその事業に対する本気度とリスク管理能力を評価します。

自己資金は返済能力の証拠となり、審査において大きなアドバンテージとなります。

通常融資では自己資金比率は売上げの3分の1程度と言われているため、創業融資を受けたい場合は、借りたい額の半分から3分の1程度は自己資金で持っておくことをおすすめします。

1-2. 今までの業務経験や支払い能力

過去の業務経験や支払い能力も重要です。

業務経験については、関連する業界での経験が豊富であるほど、事業成功の可能性が高く見積もられます。

過去に経験した事業の分野や収めた成果、創業者がかつて会社として活動していた長さや取引先、仕入れ先、またそのネットワークなど、細かく、自身の特筆すべき部分を改めて調べておきましょう。

創業したい事業の分野についての経験が不足していると、審査を通ることができない場合もあります。新しい事業分野で創業したい場合には、その分野でいかに取引を成功させられるかに関わるデータを用意しておきたいですね。

また、過去の支払い履歴や預金通帳、クレジットスコアも評価の対象となります。創業者個人としても評価されますので、有利となる情報はしっかり金融機関側に伝えましょう。

1-3. 創業計画書・事業計画書などから見る返済可能性の高さ

創業計画書や事業計画書には、具体的なビジネスモデルや市場分析、収支計画が含まれます。これらの計画が現実的であり、返済可能性が高いことは重視されます。

さらに、創業者が預金や不動産などの資産をどれくらい持っているか、借入金はあるか、同居家族を含めて別収入はあるかなど、資産の有無や負債状況も含めて、返済可能性は判断されます。

特に借入金に関しては、たとえ隠したとしても金融機関側には知られてしまう可能性が高いです。注意しましょう。 

1-4. 見積書による資金の使用用途

見積書は、融資をどのように使用するかを具体的に示すものです。これにより、資金の使用用途が明確になり、融資機関から見た信頼度が向上します。

また、どのような事業にお金を使うのかだけではなく、資金が必要である信ぴょう性、金額の妥当性、投資後に見込まれる効果なども明確に伝えられるように準備しておきたいですね。


2. おすすめの創業融資制度5選

この章では、創業者の方に特におすすめしたい5つの創業融資制度をご紹介します。

2-1. 日本政策金融公庫による新規開業資金

対象者

新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方。

メリット

低金利であり、長期の返済期間が設定可能。

デメリット審査が厳しく、提出書類が多い。
審査の速さ中程度。
融資限度額最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)。
難易度中程度。

※難易度とは融資における審査の厳しさと要する手間の度合いを加味した度合いを指す。

詳しくは以下のURLでご確認ください。

新規開業資金

2-2. 日本政策金融公庫による生活衛生新企業育成資金(新企業育成・事業安定等貸付)<特例貸付>

対象者

生活衛生関係の事業を創業する方又は創業後おおむね7年以内の方。

メリット

生活衛生関係の事業者向けで特例措置がある。

デメリット対象業種が限定される。
審査の速さ中程度。
融資限度額業種によって異なるが、一般貸付の場合、設備資金 7,200万円~4億8,000万円。
難易度中程度。

詳しくは以下のURLでご確認ください。

生活衛生新企業育成資金

2-3. 日本政策金融公庫による挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)

対象者要件を満たす法人または個人企業。
メリット比較的返済が柔軟。
デメリット審査が厳しく、事業の成長性が求められる。
審査の速さ中程度。
融資限度額

最大7,200万円。

難易度高い。

詳しくは以下のURLでご確認ください。

挑戦支援資本強化特別貸付

2-4. 地方自治体による創業融資

対象者制度により異なる。
メリット地域密着型の支援が受けられる。
デメリット地域によっては支援が限定的。
審査の速さ速い。
融資限度額地域により異なる。
難易度中程度。

2-5. 民間金融機関による創業融資

対象者制度により異なる。
メリット手続きが迅速であり、金利も競争的で有利なこともある。
デメリット逆に金利が高くなる場合がある。
審査の速さ速い。
融資限度額金融機関により異なる。
難易度中程度。

3.創業融資の審査に受かるためのコツ

3-1.創業融資の審査の申し込みは創業2〜3ヶ月前に行う

創業融資の審査を成功させるためには、創業の2〜3ヶ月前に申し込みをするのが理想的です。

創業前のタイミングでの申し込みをすると、創業後の申し込みよりも審査通過しやすくなります。なぜなら、創業前であれば、創業計画書の出来のみで評価をしてもらえるからです。

一方で、創業後の申し込みでは、実績や決算書なども加味されるため、実績が振るわなかった会社では創業融資が受けづらくなってしまいます。

また、創業してすぐに創業融資を利用したい場合を考えると、創業融資の審査前には創業計画書の作成や法人登記が済んでいる必要があるため、創業2〜3ヶ月前の申し込みが現実的でしょう。

その他に創業2〜3ヶ月前に申し込みをするべき理由としては、審査に時間がかかることもあるためという理由が挙げられます。なるべく早めに準備をしていきましょう。

3-2.事業計画書に説得力を持たせる

事業計画書に根拠がきちんと明記されていて説得力があると、希望している金額を融資する理由として納得できるため、融資希望額の妥当性が伝わりやすいでしょう。

記載事項として必須である、資金の使い道については、設備資金と運転資金の二つに分けて示しましょう。

たとえば、設備資金について、機材や設備購入などに用いる場合、どのくらいの数や大きさの設備を用意するのかという面も記載すると良いです。

他にも、市場調査や競合他社の動向、主要となる顧客層の選定なども行うことで、具体的に事業が発展していく根拠の一つとなり得ます。
収支計画や社内の体制など、説得力を増す情報を盛り込んで事業計画書を作成していきましょう。

3-3.返済計画書に根拠を持たせる

融資は単なる給付金ではないため、金融機関側として融資先に求めることは、融資額を確実に返済できるかどうかです。

どのようにしてお金を返済するのか、漠然とした内容ではなく、考えられるリスクや、いつごろまでにいくら返済できるといった具体的な計画なども計算して、実現可能かつ根拠のある返済計画書を提出しましょう。

3-4.自己資金比率を上げる

1-1でご紹介したように、創業融資において自己資金の比率は重要で、高ければ高いほど審査に通りやすくなります。

自己資金が少ない代わりに、同様の事業分野での経営者経験がある、売上の見通しがすでに立っているなどの有利な条件があれば審査に通る場合もありますが、そうでない場合には特に、自己資金は集めておきたいですね。

可能ならば融資額の3分の1程度は自己資金として集めるようにするのが融資を受ける企業の間では一般的とされています。

3-5.審査担当者との面談でアピールする

創業融資を受ける際には、金融機関の審査担当者との面談を受けることになります。このときに、融資に有利な情報をアピールすると、審査に通る可能性は高くなります。面談はだいたい30分~1時間程度です。

また、審査に関わる面談ですので、当然、常識的な服装や態度を心がけましょう。

担当者の質問に対しても、誠実に、自身の創業する事業について明確な情報を伝えましょう。

3-6. 認定支援機関や専門家に相談する

認定支援機関である公認会計士事務所や税理士事務所に相談する、あるいは税理士法人や、辻・本郷会社設立センターのような、融資や創業融資に特に詳しい専門家にアドバイスを仰ぐこともおすすめです。

創業融資の申請におけるポイントや改善策を具体的に提案してくれます。

また、創業者が単独で数字に根拠を持たせようとしても限界があり、審査に通る確率は専門家に任せている場合と比べて確実に下がってしまいます。もし一度審査に落ちてしまうと、同じ事業で次回融資を受けるためには最低半年間は期間を空けなくては審査に通過できません。できる範囲で専門家に相談しておきましょう。


4.まずは日本政策金融公庫による新規開業資金がおすすめな理由

日本政策金融公庫では、個人事業主や創業者など民間金融機関からの融資を受けにくい方への融資を積極的に行っています。無担保・無保証人融資が特徴的です。

また、創業者・個人事業主に対して低金利で長期の借入れを行っています。

そのため、まずは日本政策金融公庫の創業融資を受けてみることをおすすめします。

中でも「新規開業資金」は、低金利で長期返済が可能であり、創業者にとって非常に有利な条件が揃っています。事業の分野によらず受けられるため、初めて創業融資を受ける場合にはおすすめできます。

借入れ期間に関しても、一般的な借入れの返済期間は約1~5年、設備資金の場合でも7年程度なのに対して、新規開業資金では設備資金20年まで、運転資金原則10年以内といった対応をしています。


5.日本政策金融公庫の審査に必要な書類

日本政策金融公庫の審査に必要な書類は以下の通りです。

5-1. 申し込みに必要な主な書類

    •    借入申込書

    •    創業計画書

    •    法人の場合、履歴事項全部証明書、または登記簿謄本の原本

    •    設備資金を申し込む場合、見積書

    •    不動産担保を希望する場合、登記簿謄本または登記事項証明書

    •    生活衛生関係の事業では、都道府県知事の推せん書

    •    代表者の本人確認書類(運転免許証(両面)またはパスポート、マイナンバーカード)

    •    飲食店などの許可・届出等が必要な事業では、許認可証

日本政策金融公庫の場合には、以下のURLを参考にしてください。各書類のフォーマットのダウンロードができます。

日本政策金融公庫での融資申請に必要な書類

5-2. 公庫の融資担当者との面談の際に必要な主な書類

日本政策金融公庫で創業融資を受ける際には、融資担当者が決まった後に面談が行われ、追加で必要になる書類がいくつかあります。

代表的なものを以下でご紹介します。

・預金通帳(代表者の銀行口座の入出金明細書6か月分が分かるもの)

・代表者の勤務時の前年度分源泉徴収票または確定申告書

・借入金の返済予定表

・公共料金の領収書

・税金(住民税等)の領収書

・固定資産税課税明細書及び固定資産税の領収書

・不動産の賃貸借(予約)契約書または物件の説明書

・代表者の本人確認書類(運転免許証(両面)またはパスポート、マイナンバーカード)の原本

・代表者の本人確認書類(運転免許証(両面)またはパスポート、マイナンバーカード)の原本

上記のような書類を揃えることで、審査担当者に対して確実な情報提供ができ、審査の通過可能性を高めることができます。

また、その他にも、創業予定の事業で実際に取り扱う商品なども、持参可能であれば持っていきましょう。審査基準の一つになり得ます。

たとえば、アプリ開発事業の場合は、実際の制作物をスマートフォンやPCから見せられるように準備する、飲食業の場合は、メニュー表や商品写真などを用意する、コンサルティング業の場合は、営業で利用するパンフレットやポートフォリオなどを持参するといった工夫ができます。


6.審査に落ちた場合の対処法

創業融資の審査に落ちてしまったという場合でも、以下の対処法を実行することで再挑戦の準備を整えることができます。冷静に対処していきましょう。

6-1. 最低半年は期間を空けて、再審査に挑む

一度審査に落ちた場合、すぐに再申し込みを行うのではなく、最低半年は期間を空けることが重要です。一般的な金融機関では、一度審査に落ちると半年間は審査には通りません。その間に、事業計画の改善や自己資金の増加など、次の審査に通るための準備をしっかりと行いましょう。

6-2. 認定支援機関に相談する

認定支援機関である公認会計士事務所や税理士事務所に相談することで、専門的なアドバイスを受けることができます。創業融資の申請におけるポイントや改善策を具体的に提案してくれます。自分だけで審査に挑んだ方にとっては特に、別の視点が加わることになりますし、融資申請に慣れた専門家からの意見は仰いでおいて損はありません。


7. まとめ

創業融資の審査に通るためには、自己資金の比率や業務経験、事業計画書の高い精度、資金使用用途の明確化などが重要です。

また、自身の事業に適切な融資制度を選び、必要書類をしっかりと揃えることも、審査通過の鍵となります。

もし仮に審査に落ちた場合にも、冷静に対処し、再挑戦のための準備を怠らないようにしましょう。


8.創業融資の審査にお悩みの際は辻・本郷会社設立センターへご相談を

創業融資の審査に関するお悩みやご質問がある場合は、専門的な知識と創業融資にまつわる豊富な実績を持つ『辻・本郷会社設立センター』へご相談ください。あなたの創業を全力で支えます。

創業融資の審査は厳しいものですが、正しい準備と知識があれば必ず乗り越えることができます。この記事が、あなたの創業の一助となることを願っています。

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