医療法人化とは?メリット・デメリット・検討すべき開業医ケース5つ

「医療法人化すると、実際何がいいのだろう?」 「自分のクリニックはいつどんなタイミングで医療法人化をした方がいいのかな」   すでにクリニックを経営している、あるいは独立開業後の将来設計として「医療法人化」をご検討されているかと思います。

医療法人化とは
医療法人化とは、医療法で定められた手続きに従って都道府県知事の許可を得て、病院の事業主を「個人」から「法人」に変更することです。   個人病院が医療法人になる(=医療法人成り)ことで、節税のほか、診療所・病院以外の施設などが開設できるようになり、事業拡大することができます。

医療法人化することは、一般的な株式会社などの「法人化」と基本的には同じ考え方ですが、実際には異なる手続きが必要となります。

実は医療法人化では、一般的な企業の法人化と異なり、自治体の定める年に2回のスケジュールに従って手続きを行う必要があるのです。

さらに、医療法人化のための手続きだけでなく、法人化後の事務手続きもかなり煩雑になるために、医療法人化をためらう個人病院の方も多いのが現状です。

そこでこの記事では、医療法人化を検討しているあなたのために、医療法人化のメリットとデメリットをはじめ、実際に医療法人化をするために必要な手続きや、煩雑な事務手続きを代行してくれる会社についても、わかりやすく解説していきます。

本記事のポイント
◻︎ 医療法人化によってなれる医療法人とは何かを知ることができる
◻︎ 医療法人化の5つのメリットを知ることができる
◻︎ 医療法人化の3つのデメリットを知ることができる
◻︎ 医療法人化をした方がいい5つのケースを知ることができる
◻︎ 医療法人化に必要な法的要件を知ることができる
◻︎ 医療法人化の流れと手続きについて知ることができる
◻︎ 医療法人化の代行会社について知ることができる

この記事を読むことで、医療法人化すべきかの判断と、必要な手続きを見積もり、スムーズな医療法人化を進めることができるでしょう。   ぜひ最後までご覧ください。


目次

1.医療法人化によって設立できる医療法人とは

医療法人化とは、開業医として個人病院で行っている医療行為を、組織として行うために医療法人を設立することです。  

医療法人とは、医療法の定めに基づいて、医師や歯科医が常に勤務している病院や診療所、介護老人保健施設の開設を目的として設立される組織です。 (参考:厚生労働省 医療法人の基礎知識  医療法人になることで、実際にどのようなことができるようになるのか、まずは医療法人と個人病院との違い、続いて医療法人の種類について、詳しく見ていきましょう。

1-1.医療法人と個人病院の違い

  医療法人と個人病院の違いは、最も基本的な点として「事業を行う人格が異なる」ということです。   個人病院では、事業を行う主体は開業医である医師個人です。つまり、医師個人が事業を営み、患者との契約や報酬なども医師個人に直接関連します。  

一方、医療法人では、別の「法人格」という人格が事業を運営します。医療法人では個人と法人が分かれており、法人格が事業を行う主体となるのです。  

これにより、医療法人では契約や報酬など事業運営に関する要素は、明確に医師個人と法人で区別されます

たとえば、あなたはこれまで開業医として、売上から経費を差し引いた事業所得はそのまま自分個人の所得になっていたかと思います。しかし、医療法人化すると、個人と法人の財産が明確に分けられるため、医療法人の経営者となるあなた自身に医療法人から給与が支払われることになるのです。  

このような医療法人化により、節税効果が得られるほか、診療所・病院以外の施設などが開設できるようになり、事業の拡大が可能になります。  

◎医療法人と個人病院の違い

 医療法人個人病院
種類病院、診療所、介護老人保健施設、看護師学校、医学研究所、精神障害者社会復帰施設など病院・診療所
許認可都道府県知事の許可が必要届け出のみ
登記必要不要
診療所数複数の分院が開設可能1ヶ所のみ
報酬・所得役員報酬を規定する事業所得
退職金制度ありなし
社会保険加入義務あり5人以下の場合は加入義務なし
立入検査定期的にあるなし

なお、医療法人と個人との財務がしっかり分離されているかどうかは、設立前だけでなく、設立後もチェックが行われるようになるので注意が必要です。  

1-2.医療法人には社団法人と財団法人の2種類がある

  医療法人には、以下の2種類があります。  

◎医療法人の種類

社団医療法人病院や診療所などを開設する目的を持った人が集まって設立されたもの
財団医療法人個人または法人が無償で寄附する財産を使って設立されたもの

実数としては、社団医療法人が全国で56,774件あるのに対し、財団医療法人は367件と、99%以上を社団医療法人が占めています。 参考:厚生労働相 種類別医療法人件数の年次推移  

この記事では、大多数を占める社団医療法人になることを前提として解説を進めていきますので、その前提でお読みください。   ※なお、社団医療法人は病院や診療所などを開設する目的を持つ人々が集まって設立される組織ですが、その中には常勤する医師または歯科医が1人か2人だけの「一人医師医療法人」と呼ばれる形態も含まれており、医療法人全体の82.7%存在します。


2.医療法人化の6つのメリット

医療法人化をすることのメリットとして、以下の6つが挙げられます。  

◎医療法人化のメリット

◻︎ 【節税】個人開業医でいるよりも節税効果が高い
◻︎ 【事業拡大】分院や介護事業所など複数の事業所を経営できる
◻︎ 【社会的信用性の向上】融資を受けやすくなる
◻︎ 【社会的信用性の向上】優秀な人材の採用・確保が容易になる
◻︎ 【将来の備え】退職金を受け取れる
◻︎ 【将来の備え】事業承継・相続対策ができる

それぞれ具体的に見ていきましょう。  

2-1.【節税】個人開業医でいるよりも節税効果が高い

  医療法人成りのメリットとしてもっともよく言われるのが、個人開業医のままでいるよりも節税効果が高いということです。   実際、一定の事業所得(売上経費)がある開業医の場合、個人病院のままでいるよりも、医療法人化した方が払うべき税金が安く収まるケースが多くあります。  

そもそも開業医では、売上から経費を差し引いた事業所得に対して、最大税率45%の所得税がかけられます。

  ◎個人事業の所得にかけられる所得税率

課税される所得金額税率控除額
1,000円から1949,000円まで5%0
195万円から3299,000円まで10%97,500
330万円から6949,000円まで20%427,500
695万円から8999,000円まで23%636,000
900万円から1,7999,000円まで33%1536,000
1,800万円から3,9999,000円まで40%2796,000
4,000万円以上45%4796,000

参考:国税庁 所得税の税率  

このように、所得金額が高くなるほど税率も高くなるため、所得が増えるほど納税額が高くなり、損をしたような気がしてしまいますよね。   所得税以外に住民税も、同じ課税所得に対して10%かけられるため、4,000万円以上の所得があると税率は55%と、半分以上も税金として支払わなければいけないのです。  

一方、医療法人化した場合、法人にかけられる税率は以下のようになります。

  ◎法人税の税率 参考:国税庁「法人税の税率」  

仮に事業所得が年800万円だった場合でも、開業医では個人所得として税率23%、医療法人では法人税が適用されて税率15%と、単純計算して8%=64万円も、納税額が変わることになるのです。  

実際には、開業医の場合は社会保険診療報酬の「概算経費」を活用できたり、医療法人の場合には雇用保険や健康保険などの社会保険負担が発生したりするなど、比較するにあたって考慮すべき要素はほかにもありますが、単純に事業所得にかかる税金は安く抑えることができます。  

このほか、医療法人化して報酬を給与として受けることによって、大きく以下の節税効果が望めるでしょう。  

◎医療法人化で役員報酬を受け取ることの節税効果

・給与所得控除が受けられる
・報酬を家族役員に分散することによってトータルの課税額を抑えられる

2-2.【事業拡大】分院や介護事業所など複数の事業所を経営できる

  医療法人化することで、分院の設立や介護事業施設などの経営をすることができるようになります。   分院や複数事業所の展開をすると、売上自体を増加させることができるほか、スケールメリットを利用して医薬品や消耗品、検査費用などを割安で入手することができます。  

また、優秀な人材を職場の人間関係や地理的理由で失う機会が少なくなるため、安定した経営を維持することができるのもメリットです。  

2-3.【社会的信用性の向上】融資を受けやすくなる

  医療法人化すると、開業医でいた時よりも社会的な信用性が上がり、金融機関からの融資を受けやすくなります。

  医療法人の設立にあたっては、都道府県知事の厳格な審査を受ける必要があり、また個人資産と法人資産を明確に分離することも求められます。  

これらの要件が、社会的信用性の裏付けとなる役割を果たすのです。  

2-4.【社会的信用性の向上】優秀な人材の採用・確保が容易になる

  医療法人化すると、優秀な人材の採用・確保がしやすくなります。

融資と同じく社会的な信用が上がるため、個人病院と比較して優秀な人材が集めやすくなるのです。     事業を拡大して分院や介護事業などに進出すると配置転換を行えるようになるため、優秀な人材のライフスタイル変化に合わせた働き方に、柔軟に対応することができるようになります。また、狭い空間での人間関係のトラブルを回避することも可能です。  

これにより、獲得した優秀な人材を失うリスクが大幅に減ります。  

2-5.【将来の備え】退職金を受け取れる

  医療法人化をすると、退職金を受け取ることができるようになります。法人組織では、役員に退職金を支給する制度を設けることができるためです。  

退職金として支給できる内容は以下の通りです。

 退職時死亡退職時
受取人本人遺族
内訳◾️退職慰労金:最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率(3倍程度)
◾️特別功労金:特別功労者には退職金の30%を超えない範囲で特別功労金を加算
◾️死亡退職医療金:最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率(3倍程度)
◾️特別功労金:特別功労者には退職金の30%を超えない範囲で特別功労金を加算
◾️弔慰金:業務上の死亡の場合:最終報酬月額×36ヶ月、業務外の死亡の場合:最終報酬月額×6ヶ月

役員報酬として月額200万円を支給されていた場合、役員を20年間勤めていると、退職慰労金と特別功労金は、おおよそ以下の金額になります。 退職金所得は一般的な給与所得よりも税率が優遇されているため、個人の所得税を抑えられることができます。  

さらに、適正額の範囲内であれば、退職金を支払った法人側も全額経費として計上できるため、法人税の面でも節税効果があります。  

2-6.【将来の備え】事業承継・相続対策ができる

  医療法人化すると、事業承継を行う際には、理事長の変更のみで承継することができます。

一方、個人病院を経営する開業医の場合、事業承継の際にはその事業規模や収益に応じて多額の相続税や贈与税が課されます。  

将来的に事業を子どもに引き継ぐことを考えているのであれば、医療法人化して事業継承や相続の対策をすることがおすすめです。  

なお、その場合は「持ち分なし医療法人」となります。

「持ち分なし医療法人」とは?  
持ち分なし医療法人とは、財産権を持つ人がだれもいない医療法人のことです。   「持ち分」とは、医療法人の財産権のことで、医療法人化の際に出資をした人の財産権の割合を指します。   医療法人の財産権をだれかが所有していると、その人物が医療法人を退職や引退、死亡した際に、医療法人の財産を持ち分に応じて支払う義務が生じるのです。   上図のように医療法人が成長して法人資産が増えていた場合、退職や引退、死亡した出資者に対して持ち分に応じた支払いの義務があると、最悪の場合、医療法人が解散するしかない事態に陥ります。   医療法人がなくなると、医業の提供ができなくなり、周辺住民の生活にも大きな影響を与えるため、平成1941日以降、医療法人化をする場合には、例外なく「持ち分なし医療法人」となることが定められています。   医療法人の中でだれも財産権を持っていないことで、事業承継する際にも贈与税や相続税がかからないため、医療法人を維持していくことができます。  

参考:厚生労働省 「持分なし医療法人」への移行に関する手引書

3.医療法人化の3つのデメリット

医療法人化をすることのデメリットとして、以下の3つが挙げられます。  

医療法人化のデメリット

◻︎ 医療法人化の手続きが煩雑
◻︎ 医療法人化後の事務手続きが煩雑
◻︎ 社会保険の加入が必要になる

それぞれ具体的に見ていきましょう。  

3-1.医療法人化の手続きが煩雑

  後ほど詳しく解説しますが、医療法人化の手続きは、とても煩雑で手間のかかるものです。  

必要書類を提出するだけでなく、説明会への参加や法人定款の作成、自治体による面談や保健所の実地審査などが、日常業務に加えて発生します。  

自治体での手続きのほか、法務局での登記手続きや、保健所への提出書類などもあります。  

医療法人化のメリットは理解していても、手続きの煩雑さを理由に、一歩踏み出せずにいる開業医の方も多いのが実情です。  

3-2.医療法人化後の事務手続きが煩雑

  医療法人化した後にも、事務手続きが増えます。  

都道府県等による指導や監督責任等が強化され、以下の書類や手続きが発生します。  

医療法人化後の都道府県等による指導や監督への対応業務

【毎年】決算終了後3ヵ月以内に必ず都道府県知事へ事業報告書等一式を提出する
2年ごと】法務局に対して役員変更の手続き
【適宜】事業報告書等や監査報告書等の閲覧請求への対応

医療法人化すると、経営者は書類作成に多くの時間を割くことになります。

そのため、本分である医療行為に割くことのできる時間が減ってしまう可能性もあるのです。

 医療行為に集中するため、税理士や会計士などに依頼して、医療行為の時間を確保する医師も多く見られます。  

3-3.社会保険の加入が必要になる

  医療法人化して経営者になると、各種社会保険への加入義務が発生します。  

社会保険の内訳

◻︎ 健康保険・介護保険
◻︎ 厚生年金保険
◻︎ 労災保険
◻︎ 雇用保険

上記の社会保険料の掛け金は給与のおよそ30%で、そのうち1/2は法人負担になります。   従業員に月額給与100万円を支払う場合には、30万円の社会保険料が発生しますが、社会保険料は、従業員と会社とで折半して半額ずつ支払うものです。 給与を受け取る従業員と、給与を支払う医療法人とで、この社会保険料を折半して支払うため、医療法人としては従業員ごとに社会保険料の負担が増えることになります。

【保険料が割安な医師国保の継続ができる!】  
社会保険料のうち、健康保険・介護保険については、「適用除外承認申請」を行うことで、保険料が割安な医師国保を継続して利用することができます。   医師国保は勤続年数や勤務形態によって収入が増加した場合であっても保険料が一定なので、個人開業医の時のものを継続することで、支払い金額を抑えることができるのです。   ただし、医師国保の継続のための「適用除外承認申請」の手続きは期限が決まっているため、医療法人化したらできるだけ早く着手する必要があることを覚えておいてください。

4.医療法人化を検討すべき5つのケース

医療法人化の検討をした方が良い5つのケースは、以下の通りです。  

◎医療法人化を検討すべき5つのケース

◻︎ 年間事業所得が1,800万円を超えている
◻︎ 社会保険診療報酬が5,000万円(社会保険診療報酬と自由診療報酬を合わせて7,000万円)を超えている
◻︎ 開業7年目を迎える
◻︎ 事業承継を検討している

それぞれ詳しく見ていきましょう。  

4-1.年間事業所得が1,800万円を超えている

  開業医としての年間事業所得が1,800万円を超えている場合、医療法人化することで個人の所得に対して大きな節税効果を望むことができます。

  2-1.【節税】個人開業医でいるよりも節税効果が高いで解説したように、開業医の事業所得にかかる税金と、医療法人化して給与所得者になった場合では、給与所得者としての納税額の方が安く抑えられます。  

開業医としての年間事業所得が1,800万円で、同じ金額を医療法人化後に役員報酬として給与でもらう場合では、以下のように納税額に大きな差が出ます。

 開業医としての事業所得医療法人化後の役員報酬
給与収入額1,800万円
給与所得控除額195万円
課税額1,800万円1,605万円
所得税率40%33%
所得控除2796,0001536,000
所得税額4404,000376500
個人住民税額(10%1524001605,000
個人事業税額(5%76200なし
合計税金額6684,6005365,500
差額1319,100

参考:国税庁 No.2260 所得税の税率No.1410 給与所得控除  

税金を抑えたいと考えている場合は、年間所得が1,800万円を超える辺りを目安に、医療法人化を行うと効果的です。  

4-2.社会保険診療報酬が5,000万円を超えている

社会保険診療報酬が5,000万円を超えている場合、医療法人化を検討しても良いでしょう。

社会保険診療報酬が5,000万円を超えると、「概算経費」の利用ができなくなります。  

概算経費とは、開業医に認められている特例措置で、実際に使った経費ではなく社会保険診療報酬の額によって決められた分を、経費として計上することのできるものです。  

待合室用にと毎月購入している雑誌代や生花代、水槽の維持費などについて、医師が毎月の細かい事務作業に煩わされることなく医療行為に専念できるように配慮した制度です。  

実際にかかった費用よりも経費として多く計上することで、収益を減らし、課税額を抑えることができます。  

この制度は社会保険診療報酬が5,000万円以下(社会保険診療報酬と自由診療報酬を合わせた場合は7,000万円)のケースでしか使うことができないため、社会保険診療報酬が5,000万円を超えたタイミングで医療法人化を考えるのもひとつの手です。  

4-3.開業7年目を迎える

 個人開業医のままでいると、開業7年目からは課税対象額が上がるため、医療法人化の検討タイミングと言えます。  

開業時に導入した医療機器は、償却期間が6年目までと定められています。6年かけて減価償却分として毎年経費計上することができていたものが、7年目からは経費計上することができなくなるのです。  

医療機器の償却期間外になり、減価償却を利用することができなくなると、収入から差し引くことのできる経費が大幅に減り、収益が大きくなることで課税対象額が上がります。

前年までと同じ事業活動をしていても、減価償却ができないことで課税対象額が増えればもちろん税金も高くなるため、医療機器の償却期間内に医療法人化するのもひとつのタイミングです。  

4-4.事業拡大を検討している

将来的に事業拡大を検討しているのであれば、医療法人化をするべきと言えます。

なぜなら、開業医と医療法人では、開設できる施設数や参入できる事業範囲に大きな違いがあるからです。  

開業医では、施設はひとつしか展開できませんが、医療法人であれば、分院の設立はもちろん、介護事業施設やリハビリテーション施設の展開もできます。

 医療法人個人病院
種類病院、診療所、介護老人保健施設、看護師学校、医学研究所、精神障害者社会復帰施設など病院・診療所
診療所数複数の分院が開設可能1ヶ所のみ

積極的な事業戦略で事業を拡大したいと考えている方は、医療法人化するべきと言えるでしょう。  

4-5.事業承継を検討している

  事業承継の予定がある方も、医療法人化をしておくべきと言えます。   2-6.【将来の備え】事業承継・相続対策ができるでもお伝えしましたが、これから医療法人化する場合は「持分なしの医療法人」になるため、事業承継の際には理事長を変更するだけで承継することができます。   近い将来、事業承継の予定があったり、事業承継を検討している方は、医療法人化を検討した方が良いでしょう。


5.医療法人化の人的要件・資産要件

医療法人化には、大きく以下の法的要件があります。

◻︎ 人的要件
◻︎ 資産要件

要件の内容は医療法人の設立にあたって妥当なものです。  

ただし、医療法人は事業の永続性を確保することが求められるため、「開業医としての経営が安定していること」という大前提が存在します。  

したがって、要件を満たしている場合であっても、開業直後に医療法人を設立しようとすると、審査でふるい落とされてしまうケースも存在します。   そのことについて十分に留意した上で、要件を詳しく見ていきましょう。  

5-1.人的要件

  医療法人化の人的要件は、大きく以下の通りです。  

医療法人化の人的要件

□ 社員3名以上
□ 役員として理事3人以上、監事1人以上を置く(一人医師法人の場合は都道府県知事の認可が必要)

参考:厚生労働省 医療法人運営管理指導要綱  

社員というのは、株式会社における株主のようなもので、社団医療法人において経営の意思決定をする際の議決権を持つ人で、社団医療法人の実質的なオーナーとなる人のことを指します。   一般的な企業の「社員=従業員」とは異なる点に注意してください。  

5-2.資産要件

  医療法人化の資産要件は、おおよそ以下の通りです。  

医療法人化の資産要件

□ 年間支出予算の2か月分の運転資金があること
□ 個人時代の設備を買い取る場合は別途そのための資金があること

参考:厚生労働省 医療法人運営管理指導要綱  

開業医の時に使用していた設備などは、設立した医療法人が買い上げる形になります。また、個人で契約していた土地建物の賃貸借契約や医療機器のリース契約なども、法人名義に変更します。   医療法人化後にかかるこれらの資産についても確保しておく必要があることを注意してください。


6.医療法人化の流れと手続き

冒頭でもお伝えしましたが、医療法人化は医療法人を設立する都道府県知事の認可が必要で、それぞれの自治体が定めるスケジュールに従って手続きを行います。  

自治体によって、書類作成前の面談や、説明会・動画視聴などが必須のところがあります。  

自治体によって多少スケジュールは異なりますが、東京都の医療法人設立スケジュールでは、おおよその流れは以下の通りです。

それぞれどんなことをするのか、具体的に見ていきましょう。  

6-1.「医療法人設立の手引き」の入手

  「医療法人設立の手引き」とは、医療法人制度の概要と、医療法人の設立手続きについて書かれたものです。   自治体によって少しずつ内容が異なるため、必ず医療法人を設立する自治体のものを確認してください。  

【都道府県別】医療法人設立の手引き・様式・スケジュール等

北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨城県栃木県群馬県埼玉県千葉県東京都神奈川県新潟県富山県石川県福井県山梨県長野県岐阜県静岡県愛知県三重県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県鳥取県島根県岡山県広島県山口県徳島県香川県愛媛県高知県福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県

6-2.社員・理事・監事の決定

  医療法人の健全で永続的な運営のために、以下の役員を設置します。  

社員株式会社で言うところの株主。法人の最高の意思決定機関である社員総会において議決権を持つ者。原則3名以上。
理事株式会社で言うところの経営者。対外的に法人を代表し、対内的には定款や社員総会の決議に従って法人を運営する者。医師または歯科医師であることが必要。原則3名以上し、1人を理事長に選任する。
監事株式会社で言うところの監査役。理事の業務執行の状況や法人の財産の状況を監査する者。1名以上。

理事は社員と兼任もできますが、実際に法人の運営を担うことのできる人物に限ります。   監事は理事ならびに理事の6親等以内親族、法人の利害関係者などが就任することはできません。  

6-3.定款等の作成

  3名以上の設立者が集まり、医療法人の組織や運営等に関する基本事項を定めた「定款(案)」を作成します。  

自治体のほとんどが定款のサンプルを用意しているため、その内容に沿って作成していきます。   医療法人定款の記載内容は、医療法で以下のように定められています。

医療法人を設立しようとする者は、定款又は寄附行為をもつて、少なくとも次に掲げる事項を定めなければならない。   一 目的 二 名称 三 その開設しようとする病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院(地方自治法第二百四十四条の二第三項に規定する指定管理者として管理しようとする公の施設である病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院を含む。)の名称及び開設場所 四 事務所の所在地 五 資産及び会計に関する規定 六 役員に関する規定 七 理事会に関する規定 八 社団たる医療法人にあつては、社員総会及び社員たる資格の得喪に関する規定 九 財団たる医療法人にあつては、評議員会及び評議員に関する規定 十 解散に関する規定 十一 定款又は寄附行為の変更に関する規定 十二 公告の方法

出典:医療法第四十四条第2項  

ひとつ一つの内容そのものはさほど難しくありませんが、不備や記載漏れなどがあると修正に相応の時間を割かれるため、専門家に依頼するとスムーズで安心です。  

6-4.設立総会の開催

  設立時に決定すべき事項について、設立者が集まり、意見を述べて決議します。  

ここでの決議事項・内容は議事録に残し、「設立総会議事録」として設立認可申請書に添付します。   決議するべき項目は、以下の通りです。  

◎設立総会議事録に記載する事項

◻︎ 医療法人設立趣旨の承認
◻︎ 社員の確認
◻︎ 定款の承認
◻︎ 基金拠出申込および設立時の財産目録の承認
◻︎ 役員および管理者の選任 ◻︎ 設立代表者の選任
◻︎ 診療所の土地、建物を賃借する場合の契約の承認
◻︎ リース契約引継の承認
◻︎ 会計年度、初年度分の事業計画および収支予算の承認
◻︎ その他の必要事項

6-5.設立認可申請書の作成、提出(仮申請)

  設立認可申請書を様式に則って作成します。   様式は、6-1.「医療法人設立の手引き」の入手で紹介した各自治体のホームページに掲載されていますので、それぞれダウンロードしてお使いください。  

そのほか、各自治体で定められている仮申請に必要な書類一式を揃え、期日に遅れることなく提出します。  なお、仮申請書類は返却されないため、各種書類は原本ではなく写しを提出するようにしてください。  

6-6.設立認可申請書の審査・補正指示

  審査にはおよそ3ヶ月ほどかかります。提出した書類内容に不備や記載漏れがあった場合は、この期間に補正指示が出るため、指示に従って修正や情報の追加提出を行います。  

内容に著しい不備がある場合には申請が取り下げられることもあるため、できるだけ早いタイミングで専門家に助けを求めることをお勧めします。   また、保健所などの関係機関への照会や、実地調査、代表者の面接などもこの期間に行われます。  

6-7.本申請書類の提出

  仮申請が通り、本申請への許可が降りたら、仮申請で提出した書類に実印で押印し、正本と副本の2部を提出します。   押印は、役員、社員、金融機関、テナントの賃主、リースの契約先など、提出する書類に合わせて多数の人にお願いすることになります。

各方面に事前に連絡をして、スムーズに進められるよう準備しておくことが大切です。   この本申請書類を元に、医療審議会による審議が行われます。   医療審議会は、医療法に基づいて都道府県下に設置されている、医療法人の設立・解散の認可などを知事の諮問に応じて審議する機関です。  

6-8.設立認可書の交付

  医療審議会による審議が滞りなく終わると、「設立認可書」が交付されます。   医療法人設立認可が下りたら、2週間以内に、事務所の所在地である法務局で設立登記申請を行います。   登記が完了し、都道府県に登記事項の届出をすることで、医療法人設立が完了します。  

6-9.開設・廃止届

  管轄の保健所に対し、医療法人としての診療所の「開設許可申請」を提出します。  

保健所の許可が下りないと診療を始めることができないため、設立認可書の交付を受けたら早めに開設許可申請を提出しましょう。  

開設が許可され、医療法人としての診療所の開設をしたら、その10日以内に今度は医療法人としての「開設届」と個人診療所の「廃止届」を、同じ保健所に提出します。  

6-9.保険医療機関指定申請

  保険医療機関の指定を受けるため、地方厚生局に申請します。  

保険診療を行う診療所では、早急に保険診療報酬の請求ができる状態にすることが重要です。   管轄の厚生局の直近の申請締切日を厚生局のwebページ等で確認し、必ず間に合うように保険医療機関指定申請を済ませる必要があります。  

厚生労働省 地方厚生(支)局所在地一覧  

保健所へ開設届を提出してから厚生局の申請期限日までは、あまり日数がないので注意が必要です。   保健医療機関指定申請をする際には、個人診療所の「保険医療機関廃止届」も一緒に提出します。   保健所への開設・廃止届の提出が完了した時点で、保険診療報酬の請求権は個人から法人に移っているため、「期日を遡及」して保険診療報酬の請求をすることも、忘れないようにしましょう。

  関東信越厚生局 指定期日の遡及の取扱いについて  

6-10.その他の届出

  医療法人の設立後に発生する主な手続きや届出は、以下の通りです。

◻︎ 銀行口座の開設
◻︎ 税務署への税務関連の手続き
◻︎ 都道府県税務署への地方税の手続き
◻︎ 労働保険、社会保険関連の手続き

書類の数が多く、提出先も多岐にわたるうえ、日々の医療行為と同時進行で行わなければいけない慣れない事務仕事であるため、相当な手間がかかることが想像されると思います。   とはいえ、どれも医療法人の運営において必要な手続きなので、税理士などの専門家に相談しながら進めていくことをお勧めします。    


7.タイミングは年2回!手続きに手間取ると法人化失敗の恐れがある

  これまでにもお伝えしていますが、医療法人の設立タイミングは、自治体の定めにより年に2回しかありません。  

そのため、提出書類に不備があると修正に時間を取られ、希望のタイミングで法人化ができなくなる恐れがあります。  

一般的な株式会社などの法人化と比較して見ると、医療法人化の手続きがどれだけ煩雑で手間のかかるものだということが、お分かりいただけるでしょう。  

◎法人化手続きの流れと違い

一般的な法人設立の流れ医療法人設立の流れ
 「医療法人設立の手引き」の入手
株主・経営者・監査役の決定社員・理事・監事の決定
定款等の作成と認証定款等の作成
株主総会の開催設立総会の開催
 設立認可申請書の作成、提出(仮申請)
 設立認可申請書の審査・補正指示
 本申請書類の提出
登記申請書の作成と申請設立認可書の交付
 開設・廃止届
その他の届出その他の届出

実際、株式会社の設立は1~2週間程度で行うことができますが、医療法人の設立には通常710カ月程度の期間を要します。この過程が長いことからも、医療法人化の道のりが困難であることが分かるかと思います。  

さらに、個人開業医として開業時に行ったすべての届け出や申請についても、医療法人として新たに新たに行う必要があります。

これも医療法人化に踏み切るのをためらう要因となるでしょう。   煩雑な事務手続きを乗り越え、希望のタイミングで確実に医療法人化を進めるためには、専門家や代行会社の助けを借りることをおすすめします。  


8.医療法人化の手続きを専門家に代行依頼するべき4つの理由

この記事の冒頭でもお伝えしましたが、医療法人化のための手続きは、提出すべき書類の多さや慣れない作業から、かなりストレスの高いものであると言えます。

  医療行為という、失敗の許されない緊張感の高い業務を日常的に行いながら、医療法人化の手続きや法人化後の病院経営を同時進行で進めていくことは、さまざまなリスクが伴います。

  ご自身と患者様の心身の健康を守るため、医療法人化の手続きは、専門家である代行会社に依頼することをお勧めします。

それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。  

8-1. 会社設立について自分で一から情報収集する必要がない

医療法人化を代行すれば、会社設立についての知識をあなた自身が身につける必要はありません。

  一般的に、自分の手で法人化を行うにあたっては、以下の手続きについて必要書類を集めたり、情報収集して知識を身につける必要があります。  

医療法人化の手続きで調べるべきこと

◻︎法に基づいた定款の作成と認証方法
◻︎定款に記載しなければいけない要項
◻︎設立登記申請に必要な申請書・同意書・就任承諾書などの作成方法
◻︎税金や社会保険、労働保険等の手続きなど

失敗しないようにと確実に進めなければいけないプレッシャーの中、慣れない作業や単語が多いこともあり、作業が思うように捗らないことが多いのが法人化の手続きです。  

加えて、医療法人の場合は、自治体の定めるスケジュールに従って手続きを進める必要があるため、決められた時間の中で追われるように情報収集をして、正確な書類を作成して提出することが求められます。  

人生で一度しか必要にならないかもしれない「会社設立のための知識」を、多大なプレッシャーと不安の中で自分で行うよりも、医療法人化の専門知識を持った代行会社に依頼する方が、会社設立を安心して確実に進めることができます。  

8-2. 書類収集や関係者の押印集めなどの時間を省ける

自治体にもよりますが、医療法人化においては、医療法人の設立者である医師本人が直接自治体に出向いて面談などをしなければいけない機会が数回あります。  

ただでさえ多忙な日々の医療行為をしながら、医療法人の設立者である医師本人が外に出向かなければいけない手続きは、極力減らしたいものです。  

代行会社に依頼することで、申請に必要な同意者や承認証、関係者の押印集めなど「あなた自身が手続きをしなくても良いこと」を、人に頼むことができます。  

なお、医療法人の設立手続きの中で時間がかかるものとして、主に以下のものが挙げられます。  

医療法人の設立手続きにかかる主な時間 

◻︎提出書類に補正指示が出た際の修正対応
◻︎自治体、保健所、法務局、厚生局などとの面談や検査の予約・調整
◻︎提出する書類に合わせた多数の関係者への押印依頼

ひとつ目の書類の修正は、最初から専門家である代行会社に依頼していれば、まず発生することのない事案です。   そしてみっつ目の関係書類への押印依頼は、あなた自身が出向かなくても良い作業です。   書類の修正を回避し、あなたでなくてもできる作業は、あなたの代わりに手続きにしてくれる代行会社を利用することは、もっとも効率が良いと言えます。  

8-3. 設立手続きにおける間違いを防げる

会社設立の専門家が手続きを代行することで、会社設立で起こしがちな間違いや失敗を回避できます。   専門知識がない人が書籍やネットで集められる情報を元に手続きを進めることで、失敗してしまうことは少なくありません。  

医療法人設立の前後で起こしがちな間違いや失敗は、主に以下のような内容です。  

◎医療法人設立でよくある失敗事例

◻︎個人開業医時代の借入返済を医療法人に引き継げないことを知らず、資金繰りが悪化した
◻︎手続きに手間取り、認可を受けるタイミングを逃して余計な税金を支払った
◻︎社会保険料の法人負担の見積もりが甘く、医療法人の採算が合わなくなった
◻︎素人判断で登記書類を作成したところ、税金の面で損をする内容になっていた
◻︎非常勤役員への報酬が「不当である」とされ、経費計上できなかった

どの失敗も、専門家であれば事前に見抜いて修正や計画的なサポートを行うことで回避できるものです。  

法人化についての専門知識も経験も持たない個人開業医が自分で医療法人化を行うことで、医療法人の設立後に思いもよらない損をしてしまったり、そもそも医療法人化が進まないケースが起こります。

  あなたの個人病院の周辺住民を助ける医療行為は、個人開業医であるあなたにしかできないことです。   本業である医療行為そのものに影響がないよう、医療法人の設立は、専門の代行会社に依頼するのがもっとも正確で効率的な方法であると言えます。  


9.医療法人化を安心して依頼できる代行会社の選び方3

医療法人の設立は、専門家に依頼したほうが良いものではありますが、実は代行会社とひと口に言っても、そのサービス内容の質も金額もさまざまです。  

特に医療法人の場合、担当地域でほんの2~3件の立ち上げサポートをしただけで「医療法人化の専門家」と過大に謳うところもあるのが実情です。  

医療法人化の設立を代行会社に依頼する場合は、必ず以下の3つのポイントに沿って、代行会社を選ぶようにしましょう。

それぞれ詳しく見ていきましょう。  

9-1.代行手続きの内容が明確で透明性が高い

  医療法人の代行手続きについて、手続き内容と金額を明確に提示している代行会社を選びましょう。   6.医療法人化の流れと手続きでもお伝えしましたが、医療法人化の手続きは、必要書類と届出を行う機関が非常に多いものです。  

どの手続きにどれくらいの代行手数料がかかるのかが明確でないと、法人化後に思わぬ高額請求をされたり、任せたいと思っていた作業を受けてもらえなかったりと、さまざまなトラブルにつながります。  

透明性の高い代行会社であるかどうかについての判断は、主に以下の点で事前に確認することができます。  

◎代行会社の透明性を判断できる点

◻︎代行会社が行うことのできる手続き内容と料金
◻︎個人開業医自身でしなければいけない手続き内容
◻︎ほかの士業との提携と料金
◻︎追加サービスの内容と料金
◻︎打ち合わせや連絡の手段など

これは医療法人化に限った話ではないですが、法に基づいた手続きを行う際には必ず所定の事務手数料が発生するものです。  

そこを無視した格安料金を提案する事業者や、そもそも手続き内容の細分化や全体把握ができていない事業者とは、後のトラブルを避けるため、関わらない方が賢明と言えるでしょう。  

9-2.医療法人化の実績が豊富にある

  一般的な法人化の実績だけではなく、医療法人化のサポート実績が豊富にある代行会社を選んでください。  

医療法人化は、自治体のスケジュールに従って、面談や検査なども交えながら行われる特殊な法人設立手続きと言えます。  

そのため、自治体ごとの価値基準や手厚く揃えるべき資料などが、少しずつ異なる場合もあります。

  その地域での医療法人化における知識や経験がない代行会社では、傾向と対策をしっかりと練ることができません。  

年に2回のタイミングに合わせたスムーズな医療法人化を目指すのであれば、医療法人化に関する十分な知識と、その地域での豊富な医療法人化実績を持つ代行会社を選ぶのが何よりも得策です。  

9-3.設立後も継続的なサポートがある

  医療法人化だけでなく、医療法人設立後も、継続的なサポートをすることができる代行会社がおすすめです。  

先述もしましたが、設立時だけでなく設立後にも引き続き発生し続ける煩雑な事務手続きのために、医療法人化を諦めている個人開業医の方は少なくありません。  

日常の医療行為に加えて、法人の経営者としての事務手続きや判断を、この先ずっとしていかなければいけないのです。  

特に、一人医療法人の場合は、経営や財務について相談できる相手が身近にいないため、税務を含めた財務面で損をしてしまうだけでなく、医師であり経営者であるあなた自身の心身のストレスが多大になる傾向があります。  

医療法人化を、この先2~3年の節税のためだけに行うのか、それともこの先の長い人生を心身ともに豊かに過ごすための基盤にするために行うのか。  

医療法人化後にも継続的なサポートの提供ができる代行会社を選ぶことは、節税だけでない大きなメリットをもたらします。  


10.医療法人化から設立後の運営まで辻・本郷税理士法人がサポートします

医療法人の設立は、業界No.1の辻・本郷税理士法人の「辻・本郷会社設立センター」にお任せください。  

辻・本郷 税理士法人は、職員数・拠点数ともに日本一であるとともに、医療法人の設立についても豊富な実績があります。

参考:東洋経済ONLINE 初公開!職員と拠点で見る税理士法人ランキング  

自治体によっても基準が少しずつ異なる医療法人のスムーズな設立ポイントを熟知した職員が、医療法人化したいタイミングを逃すことなく確実にサポートすることができます。  

また、案件についての情報交換を全国的に行っているため、医療法人設立後の経営についてもさまざまなシチュエーションに対応することができるのが強みです。 あなたの医療法人化を任せられる理由を、具体的に説明していきましょう。  

10-1.2万件を超える会社設立実績で頼れる!

  辻・本郷 税理士法人では、司法書士や行政書士、社会保険労務士との連携によって、会社設立代行をしています。 この中で税理士が得意とするのは、「会社設立後の安定経営を見据えたサポート」です。   設立手続きをはじめる前の段階で、以下のような内容について、お客様の状況に合わせて提案することができます。  

税理士だからできる設立後の安定経営を見据えたご提案

◻︎リースや税金などの資金繰りを踏まえた決算期の決め方
◻︎個人開業医時代の借入金の返済方法と期間
◻︎インボイス制度を始めとした最新法改正への対処方法
◻︎医療法人化後の節税に関わる定款の書き方
◻︎役員報酬と法人内部留保の最適バランスの取り方

新たに設立する医療法人の会社概要や定款は、決めてしまった後で修正をするとなると、費用が発生します。  

豊富な実績を持つ専門家のアドバイスを元に、信頼できる司法書士に申請手続きを代行してもらうことで、何かと慌ただしい会社設立の初動を安心して進めていくことができるのです。

10-2.補助金・助成金・融資など設立後の資金面もサポート!

  辻・本郷会社設立センターでは、医療法人の立ち上げ時だけでなく、法人設立後もお客様の安定経営をサポートするため、税理士顧問契約を前提とした会社設立代行を行っています。  

税理士顧問契約を結ぶことで、会社設立後の日常的な経理や税務処理を始め、3,000種類以上ある補助金・助成金から、あなたの医療法人に必要なものを適宜ご提案することができます。  

また、法人の経営となると必ず発生する以下のような問題にも、顧問税理士がいることで日常的に相談ができるため、安心です。  

法人経営で発生する税務・資金繰りなどの問題

◻︎毎月の経理処理や給与管理に時間がかかる
◻︎当期の売上が急激に増えたので、急いで節税しなければいけない
◻︎年一回の決算処理に膨大な手間がかかる
◻︎どの補助金や助成金が利用できるのか分からない
◻︎補助金や助成金の申請書類作りが後回しになりがち
◻︎事業拡大するために融資を受けたいが何から始めればいいか分からない

節税や融資などの資金面での悩みは、医療法人の設立の瞬間だけでなく、設立後もつねに発生するものです。  

失敗の許されない医療行為に専念するための体制づくりとして、設立時から相談できる税理士の顧問契約は、あなたの医療法人にきっと不可欠なものになるでしょう。  


まとめ

  今回は、医療法人化について、詳しく解説しました。   医療法人と個人病院の違いは、以下の通りです。  

医療法人と個人病院の違い

 医療法人個人病院
種類病院、診療所、介護老人保健施設、看護師学校、医学研究所、精神障害者社会復帰施設など病院・診療所
許認可都道府県知事の許可が必要届け出のみ
登記必要不要
診療所数複数の分院が開設可能1ヶ所のみ
報酬・所得役員報酬を規定する事業所得
退職金制度ありなし
社会保険加入義務あり5人以下の場合は加入義務なし
立入検査定期的にあるなし

医療法人化のメリットとデメリットは、以下の通りです。

メリットデメリット
◻︎ 節税効果がある
◻︎ 事業拡大ができる
◻︎ 社会的信用性が上がる(融資を受けやすくなる・優秀な人材の採用・確保が容易になる)
◻︎ 退職金を受け取れる
◻︎ 事業承継・相続の対策ができる
◻︎ 医療法人化の手続きが煩雑
◻︎ 医療法人化後の事務手続きが煩雑
◻︎ 社会保険の加入が必要になる

医療法人化の検討をした方が良い5つのケースは、以下の通りです。  

医療法人化を検討すべき5つのケース

◻︎ 年間事業所得が1,800万円を超えている
◻︎ 社会保険診療報酬が5,000万円(社会保険診療報酬と自由診療報酬を合わせて7,000万円)を超えている
◻︎ 開業7年目を迎える
◻︎ 事業拡大を検討している
◻︎ 事業承継を検討している

医療法人化の流れとスケジュールは、以下の通りです。 この記事が、あなたの医療法人化を最適なタイミングと流れで成功させるきっかけとなることを祈ります。

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