会社を設立することを決めたが手続きの際、会社設立日をいつにすればいいのか気になる方も多いでしょう。会社設立日はしっかり準備をすれば自由に決めることが出来ますが、一度決めた会社設立日は変更することが出来ません。
会社設立は人生の中でも大きな分岐点でもあり、あなたの事業の誕生日といえる日です。
後悔なく最高のスタートをするためにこの記事は会社設立日を決める5つのポイントに絞って解説しています。
この記事を読むことでどうやって会社設立日を決めればいいのか、他の人はどのように決めたのか、専門家視点でおすすめの日はあるのかなどがわかるようになっていますので是非参考にしてみてください。
目次
1.そもそも会社設立日とは?
会社設立日を自分の好きな日に決めるためには、「会社設立日が何なのか」、「どの日が会社設立日にできるのか」を知っておく必要があります。
1-1.会社設立日=登記申請日
会社設立日とはそもそも、「登記が完了した日」ではなく、「登記を申請した日」のことを指します。
つまり、「法務局に設立登記申請を行い、受理された日」、「郵送で登記申請をした場合には書類到着し、かつ受理された日」が会社設立日となります。
1-2.土日祝は会社設立日にできない!
土日祝は、会社設立日にすることができません。
なぜなら、登記申請をする法務局が土日祝はお休みのため、そもそも申請できないからです。
会社設立日にしたい日が土日・祝日ではないかを確認しておく必要があります。
また、年末年始(12月29日~1月3日)も法務局が営業していないため、会社設立日にできないことにも注意が必要です。
2.会社設立日を決めるための5つのポイント
会社設立日は自由に決めることができるので、色々な観点からじっくり考えて決める必要があります。
例えば、税金で損をしない日に決める、縁起の良い日に決めるなど色々な決め方があります。
また、税金で決める場合にも、消費税の観点、所得税の観点、住民税の観点から考えなくてはなりません。
縁起の良い日にも、皆さんがよく知られている大安、先勝だけでなく、一粒万倍日、天赦日など、何かを始めるのに運勢抜群な日が様々存在します。
この章では、会社設立日を決めるための5つのポイントをご紹介します。
2-1.ポイント① 消費税で損をしないかで決める(重要度:★★★)
消費税で得をするかどうかの大きなポイントは下記の二つです。
会社設立日が消費税に影響するのは、1つ目の「免税期間を最大限活用できるか」が鍵を握ります。
免税期間とは、消費税を納める義務のない免税事業者である期間のことをいいます。
消費税が課税事業者か免税事業者かの判断は、「基準期間(大雑把にいうと2期前)の売上高が1,000万円以下であるかどうか」で判断します。
2期目までの会社の場合は、2期前の売上が存在しないので、2期間は免税事業者となることが多いです。
※設立1期目、2期目であっても、資本金額などの影響で消費税の課税事業者となるケースもあります。
ここで、注意するべき点は、「2事業年度が免税」=「2年間免税」ではないという点です。
例えば、下記のようなケースだと、事実上17か月間しか免税事業者になりません。
この場合、4月1日に会社設立を行ったケースと、11月1日に会社設立を行ったケースをシミュレーションして比較すると、下記のような税額の影響があります。
会社設立を行ってからであれば、いつから事業開始を行っても会社法上は問題ありませんが、消費税で損をしないためにも、「会社設立日」と「事業開始日」はできるだけ近い日付を選びましょう。
2-2.ポイント② 所得税で損をしないかで決める(重要度:★★)
会社設立を検討されている方にとって、「法人で重要な税金=法人税、消費税」と考える方が多いかと思います。
しかし、法人税・消費税に並んで所得税も重要な税金といえます。
所得税が重要な理由は、主に「税率差」が影響します。
【個人にかかる所得税】
【会社にかかる法人税】
所得税の税率は、所得が低いうちは法人税率よりも税率が低く、所得が高くなると法人税率を超えることとなります。
所得控除の額(扶養人数や社会保険料などで影響を受ける)によって異なりはしますが、会社設立日を調整することによって、法人税と所得税を調整することで税金を節約することができます。
「税率差」は役員報酬の額を決めるうえでも重要となりますので、きちんと理解することは、会社設立直後だけではなく、会社運営をしていくうえで重要とも言えます。
また、所得税の計算にあたって「所得控除」の存在も無視できません。
※便宜上、12月決算に合わせております。
※所得控除:基礎控除48万円、配偶者控除38万円、扶養控除38万円、社会保険料控除30万円、生命保険料控除10万円の合計額で試算しております。
上記の場合、個人では青色申告特別控除や各種所得控除があるため、同じ年中(1月1日から12月31日)に個人に一部利益を残すか、残さないかで30万円の差が出ました。
シミュレーションを精緻に行う場合は、役員報酬(報酬を出す役員数)や所得控除の額なども考慮に入れる必要がありますが、計算が煩雑になるため専門家に相談することをお勧めします。
他に検討することとしては、年内(例えば12月あたり)に会社設立を行うことで、翌年の確定申告が不要となります。どうしても確定申告回数を少なくしたいという方は、年明けを待たずに年内に会社設立することも一つの手です。
2-3.ポイント③ 住民税で損をしないかで決める(重要度:★)
自治体にもよりますが、初年度だけ70,000円の均等割を64,100円に下げることができます。
5,900円しか影響がありませんので、影響度はかなり低いといえます。
法人税の地方税の一種類に「均等割」というものがあります。
これは、法人が事業を営む場合は、黒字でも赤字でも均等にかかる税金で、多くの自治体で70,000円と決まっております。
均等割は事業年度によって月割り計算を行いますが、1ヵ月のうち1日でも欠けていると、1ヵ月としてカウントしない決まりとなっております。
【具体例】4月1日設立と4月2日設立の比較
上記の具体例のとおり、キリがいいので初日(1日)にしようと考える方も多くいますが、1日おいて2日以降に設立することで、5,900円と安い金額ではありますが、簡単に節税することが出来ます。
2-4.ポイント④ 縁起のいい日で選ぶ(重要度:★)
会社設立は人生のなかでも大きなターニングポイントです。
そのスタートとなる会社設立日(創業記念日)を縁起のいい日にこだわることで、気分良く会社経営をスタートすることが出来ます。
ここでは会社設立に適した縁起の良い日やおすすめの日をご紹介します。
会社設立で縁起のいい日
・大安
「先勝」「友引」「先負」「仏滅」「大安」「赤口」
現代の日本では日付の吉凶を占う指標として「六曜」と呼ばれるものがあります。
六曜の中では「大安」がおすすめです。
大安は大いに安しという意味の日でありどんなことをするにも吉日とされています。
そのため大安に会社を設立する方も多いです。
・天赦日(てんしゃにち・てんしゃび)
天赦日は暦の中でも最強の開運日とされている吉日の一つです。
”天が万物の罪を許す日”つまり”何事も許され、スピーディーに物事が進む日”とされています。
1年の中で5、6日ほどしかないので要注意です。
・一粒万倍日(いちりゅうまんばいび・いちりゅうまんばいにち)
一粒万倍日は”一粒の籾が万倍にも実り、立派な稲穂になる”という意味があります。
一粒万倍日に始めたことは、やがて大きな成果を上げると考えられるため会社設立日に最適な日と考えられます。
年に約60日ほどあります。
・寅の日(とらのひ)
寅の日は干支を軸に12日ごとに巡ってくる日であり、”お金”にまつわる吉日とされています。
寅の黄金色の金運の象徴とされているため”金運招来日”とされています。
12日おきに巡ってくるため会社設立日に選ばれやすい日となっています。
・8のつく日
「8」のつく日は漢字で書くと「八」と下に広がっているので「末広がり」を意味します。
上から下に向かって広がる、永遠に発展すると考えられており、会社を未来・将来に発展させたいと会社設立日にする方も多くいます。
会社設立で縁起の悪い日
・不成就日(ふじょうじゅび・ふじょうにち)
不成就日は「何をしても成就しない日」と言われている縁起の悪い日です。
特になにか新しいことを始めるには適さない日と言われているため、会社設立日にはあまり向かないかもしれません。
2023年下半期のおすすめの開運日
※会社設立出来ない日や向いていない日は取り消し線で打ち消しています。
2-5.ポイント⑤ 愛着が持てる日を選ぶ(重要度:★)
会社設立日を決めるときの5つのポイントをご紹介させていただきましたが、どのポイントを最も重視するかは人それぞれですが、大安や一粒万倍日に会社を設立する方は多くいるように感じられます。
私たちの立場からは、税金が最も安くなる日を提案させて頂きたいところですが、それ以上に、縁起の良さや愛着が持てる日を選びたいというお客様の気持ちもよくわかります。
また、日にちによっては法務局が混雑することも考えられるので朝一でお手続きをするのがおすすめです。
会社の成功に向けていいスタートダッシュができるよう、上記のポイントをじっくり吟味して会社設立日を決めましょう!
3.希望の日付に設立するために、専門家に相談したほうが良い2つの理由
最適な会社設立日を決めた後に、会社設立のための様々な手続きをしていくことになります。
会社設立の手続きは自分でも行う事ができますが、登記手続きに関しては税理士等の専門家に相談しながら手続きを進めていくのがおすすめです。
なぜなら、会社設立をするまでには適切な準備と煩雑な手続きを行う必要があるからです。
例えば、設立までにかかる時間を考えるといつまでに手続きをするべきか、必要な書類はなにか、必要な資金がどのくらいかなど会社設立までには準備すること・考えなくてはならないことがたくさんあります。
希望した会社設立日から逆算して手続きを進めていかなければ、「せっかく決めた会社設立日に登記申請が間に合わなかった」ということも起きるかもしれません。
幸先のいいスタートを切るためにも、専門家に相談しながら会社設立に向け準備を行うのがおすすめです。
先程述べたように会社設立には適切な準備と煩雑な手続きが必要です。
会社設立にかかる時間を考えるといつまでに手続きをしなければならないか、必要な書類はなにか、手続きに必要な資金はどのくらいか、適切な会社の種類は株式会社か合同会社かなど様々考えなくてはなりません。
3-1.理由① 準備期間を短縮させるため
希望の日に会社設立を行うには、事前に会社設立までの予定を立てる必要があります。
具体的には、設立準備⇨定款作成・認証⇨資本金払込⇨登記申請という会社設立の手続きを終わらせるために1~2週間ほどかかることを見越して、予定を立てていかなくてはなりません。
以下が設立する会社の種類によって会社設立にかかるまでの時間をまとめたものになります。
希望した日に会社設立を行うために、手続きにかかる時間を把握しながら会社設立の手続きを行っていきましょう。
3-2.理由② 必要書類が多く、煩雑なため
会社設立の手続きには多くの書類を準備しなくてはなりません。必要な書類を作成し忘れたり、書き損じてしまうなどして会社設立できなかったという事態を防ぐためにも、専門家と相談しながら手続きを進めていきましょう。
以下が会社設立に必要な書類のチェックリストです。
必要な書類を作成し忘れたり、記載内容にミスをしたりしてせっかく決めた日に会社設立できないというような事態を防ぐためにも、専門家に相談しながら書類の作成を行いましょう。
4.まとめ
会社設立は一生に一度 後悔しないよう決定!
冒頭でも述べたように一度決めた会社設立日は変更することが出来ません。
新たな事業のスタートラインとなる会社設立日を後悔なく決めるにはしっかりとした下調べ・準備が必要です。
またどうしても決め倦ねてしまう場合や決定した会社設立日に確実に設立するためには専門家にご相談することがおすすめです。
専門家に相談することでご相談者様に沿った設立日の提案や設立前・設立後のサポートをしてもらうことでご相談者様は事業に集中することが出来ます。
煩雑な手続きや不安定で悩みが多くなる創業期を自信を持って事業に取り組めるようにしっかりと準備を進めましょう。
この記事が新たな一歩を踏み出す多くの方のご参考になれば幸いです。
会社の設立は一生に一度あるかないかの大きなチャレンジです。
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