独立するにはどうすればいい?実現させる手順や注意すべき点を解説

「勤めている会社から独立して、自由なスタイルで仕事を行いたい!」
「会社で培ったスキルや人脈を駆使して自分の手で事業を行いたい!」

現在どこかの企業や店舗に所属して勤めている方の中には、このような大志を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
独立して成功を収められれば時間に縛られないで働けたり、自分の頑張りによって会社員の時より高い収入を得たりすることも可能となります。
こうした望みを独立によって実現するには、段階を踏んで入念な準備を行うことが大切です。
見切り発車で独立を実行してしまうと、逆に十分な収入を得られなかったり大きな負債を抱えたりといった、失敗のリスクが高まる恐れもあります。

本記事では独立するまでの手順からタイミング、注意点まで解説しています。
読んでいただければ、独立を現実化するためのロードマップが見えてくるかと思います。
独立するにはどうすれば良いか?お困りの方はぜひ読んでみてください。


目次

1.独立を実現するまでの7つのステップ

独立を実現するには、以下の7つのステップを踏んでいくと良いでしょう。

ステップ1:自己分析を行う
ステップ2:事業計画を立てる
ステップ3:家族の理解を得る
ステップ4:資金計画を立てて必要な資金を用意する
ステップ5:独立する目標の時期を決める
ステップ6:必要な手続きを行い事業を開始する
ステップ7:確実に売上の見込みが立ったタイミングで退職の手続きを行う

1-1.ステップ1:自己分析を行う

まずは自己分析を行います。
「なぜ独立したいのか」「どのような事業を行いたいのか」といった、独立の目的や方向性を明確にするためです。
これらを明確にしておくと事業計画を立てる際の土台となりますし、実際にビジネスを始めた後のモチベーションの維持、課題を解決する上での糸口にも繋げられます。

分析するポイントは主に①自分に関すること②事業内容に関することの2つです。
①については、例えば以下のような項目がチェックポイントとして挙げられます。

<自分に関すること>
・強み/弱みは何か
・興味、関心のあることは何か
・専門性を持っている分野はあるか
・得意としていることは何か
・健康面に不安はないか
・仕事に十分な時間を確保できるか
           ・・・など

①で分析した内容をベースにすると、②の事業内容に関することが分析しやすくなります。

「これまで培った経験や技術を生かしたい」「もっと自分の興味ある分野に挑戦したい」など、事業内容を選ぶ上で重視したいことは人によって違うかと思います。
しかしこれから長い時間をかけて携わることになるわけですから、長く続けられそうな事業を選ぶことが大切です。

そのためには、以下のようなポイントが明確であると良いでしょう。

<事業内容に関すること>
・その事業を選んだ理由がハッキリしているか
・オリジナリティが盛り込めそうな仕事であるか
・自分が楽しめそうな仕事であるか

①、②いずれの分析においても、紙にひたすら書き出してアウトプットすると思考が整理されるためおススメです。浮かばない事項に関しては、家族や友人に聞いてみることも有効な方法になり得ます。

1-2.ステップ2:事業計画を立てる

次に事業計画を立てます。
自己分析で明確になった目的や方向性などをさらに具体的にして、プランとして現実味を持たせます。計画を構築出来たら、事業計画書という形で書面にまとめておきましょう。

ここで考えておきたい内容は、例えば以下のようなことです。

・商品やサービスの内容
・ターゲット
・自社の強み、差別化できるポイント
・顧客に対するマーケティング方法
・事業を展開する場所
             ・・・など

これらを考える上でのコツは、具体的な数値目標を出しておくことです。
文章のみに終始した事業計画より、目標とする数値まで設定されている事業計画の方が現実味が増します。

そして、数値を設定する際は「とりあえず5000万円の収益」といった、漠然とした数値は避けましょう。
事業を続ける上で「最低でもこれくらいは必要」というラインを計算し、その上で必ず超えたいラインを導き出しておきます。
また顧客へのヒアリングや競合の調査を行うことも有効な手段のひとつです。

こうした明確な事業計画を立てておくことで、他の人に事業を理解してもらったり、自身で今後の課題やリスクを把握し対策を立てやすくなります。

1-3.ステップ3:家族の理解を得る

ご家族からの理解もきちんと得ておくようにしましょう。

会社員であれば、一定の給料が定期的にもらえ社会保障もあります。
しかし独立し事業を始めると、安定した収入を得られない可能性もあり、社会保障も最低限しかありません。
決まった休日が取れず、これまでのライフスタイルから大きく変わってしまう場合もあります。
こうしたことから独立に反対される方も少なくありません。

ご自身とご家族の安心した生活のためにも、先ほどの事業計画を元に丁寧に説明し、今後のビジョンをしっかり示してあげることが重要です。

1-4.ステップ4:資金計画を立てて必要な資金を用意する

事業計画が決まったら、資金計画を立てて必要な資金を準備します。
事業によってどれくらいの収入が見込めそうかは勿論、どの程度の支出が発生しそうか、資金をどのように調達するか等をよく考え明確化しておきましょう。

特に独立した当初は収入がほとんどなく、赤字になってしまう可能性が十分に考えられます。
そうした中でも設備費や宣伝費といった経営を続けるための支出は発生するため、余裕のある資金計画が求められます。
ちなみに必要な資金は、事業を行う場所・業種等によって大きく異なりますが、近年は500万円未満で開業する割合も増加傾向にあるようです(日本政策金融公庫「2020年度新規開業実態調査」より)。

資金不足が懸念される場合は、融資や国・地方自治体による補助金・助成金制度の活用なども検討しておくようにしましょう。
融資や補助金・助成金制度に関して、より詳しく知りたい方は以下のページもご覧になってみてください。

【2023年】会社設立時に利用できる融資一覧|新創業融資制度とその他
【2023年】会社設立でお得な助成金・補助金一覧|申請方法付き

1-5.ステップ5:独立する目標の時期を決める

独立する目標の時期も決めておきましょう。
時期を決めておくことで実際に独立へと行動する後押しになりますし、「いつまでに何をしなければいけないか」を明確にすることもできます。

独立する上で必要なプロセスと、手続きや準備にかかりそうな時間を整理して、余裕のある独立時期を定めておきます。

1-6.ステップ6:必要な手続きを行い事業を開始する

資金の確保やスケジューリング等の準備が整ったら、いよいよ事業を開始するために必要な手続きを行い、事業を開始します。

事業を行う形態としては主に、株式会社や合同会社などの会社を設立する法人事業と、個人事業主として開業する個人事業の二つに分かれます。
どちらを選択しているかによって手続きの内容が異なりますので、個人事業主として開業する方は3章を、法人を設立して事業を行う方は4章をそれぞれご参照ください。

なお、個人事業主と法人のどちらで事業を行うか迷われている方は、以下を判断基準としてみてください。

個人事業主が向いている人
・今後事業の拡大を予定しておらず、小規模に経営を行っていきたい人
・時間や費用をかけず、事業をすぐに始めたい人
・開業して当面は利益額の少ないことが見込まれる人

事業を開始する際の手続きが法人に比べて簡単で、費用もかかりません。
しかし法人より社会的信用度は低く見られる傾向にあり、税金面においても所得が上がれば上がるほど税率も上がってしまう所得税が適用されます。

法人が向いている人
・法人向けの事業を主軸に行いたい人
・人材を雇用したり大規模な資金調達を行って、事業を拡大させていきたい人
・年間利益が900万円を超えそうな人

事業の開始・維持・廃止する際に費用や手間がかかりますが、個人事業主に比べて社会的信用度は高いです。
税金面でも、年間の課税所得が900万円を超えると税率が一定になる法人税が適用されます。

個人事業主と法人のいずれを選択するかは、以下のサイトも参考にしてみてください。

【徹底比較】個人事業主と法人の違い12個!法人化で得する条件とは

手続きが完了しましたら、実際に事業を開始していきましょう。

1-7.ステップ7:確実に売上の見込みが立ったタイミングで退職の手続きを行う

事業を開始後、確実に売上の見込みが立ったタイミングで退職の手続きを行います。
これより以前に会社を退職していても問題はありませんが、このタイミングが良いとする理由があります。次章にて解説していますので、併せてお読みください。

退職する上では、顧客の引き抜きや情報の持ち出し等といった、在籍した会社にマイナスな感情を抱かせるような行為はくれぐれも控えるようにしましょう。
逆に退職後も円満な関係を続けられれば、仕事の依頼をしてくれたり取引先を紹介してくれたりというように、プラスに働く可能性もあります。

手続きが完了し退職できれば、晴れて事業主として独立した形となります。


2.独立するタイミングは確実に売上の見込みが立ったとき

先ほど述べたように、実際に独立するタイミングは確実に売上の見込みが立ったときをおススメします。
なぜなら売上の見込みが立っていない状態で独立すると、満足に収入を得られず、事業の継続や実生活に影響が出てしまう可能性があるからです。
せっかく事業の資金を集めていても、収入がなければ資金が一方的に減ってしまうばかりで、やがて事業が立ち行かなくなってしまうかもしれません。
2023年度に休業や廃業・解散に追い込まれた企業のうち、15.14%が業歴5年未満という東京商工リサーチのデータもあります。5年経たずに事業が立ち行かなくなるのは決して珍しくないのです。

しかし売上の見込みが立ってから独立するようにすれば、独立直後であっても収入面をそこまで不安視せずに済み、こうした早期に事業が立ち行かなくなるようなリスクを低減できます。

考えている事業で安定して売上を上げていけるか不安な方は、まずは副業という小さな形から始めることも検討してみると良いでしょう。 
小規模な事業であれば失敗してもリカバリーが効きやすく、本業もあるので気持ちに余裕も持てます。

また会社の設立を検討している方は、まず個人事業主としてスタートしてから会社を設立(法人成り)するという方法も有効です。
会社設立には手間や費用がかかるため、失敗すると大きなダメージになってしまいます。
しかし個人事業主であれば、そこまでコストをかけずに事業を始められ、軌道に乗ってから会社設立するという安全策を取ることができます。


3.個人事業主として独立する場合に必要な手続き

個人事業主として独立する場合に必要な手続きは、以下の通りです。

  1. 税務署へ開業届を提出する
  2. 業種や事業の進め方に応じて必要な手続きを行う

3-1.①税務署へ開業届を提出する

納税地の税務署へ、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出します。

提出期限事業の開始などの事実があった日から1ヶ月以内
提出先納税地(自分が住んでいる住所地)の税務署
※事業所の所在地を納税地としたい場合は、自分が住んでいる住所地の税務署へ別途届出が必要
入手方法税務署窓口、もしくは国税庁のHPからダウンロード
提出方法・税務署へ持参、もしくは郵送
・e-Taxによる電子申請

開業届に関しての詳細や書き方等については、国税庁のHPも参照してみてください。

個人事業の開業届出・廃業届出等手続

なお必須ではありませんが、希望する場合は青色申告承認申請書も一緒に提出します。
青色申告とは、所得税を申告納税する形式のひとつで、通常の申告形式(白色申告)と比較して節税効果が高いメリットがあります。
こちらも国税庁のHPに詳細や書き方等が掲載されていますので、併せて参照してください。

所得税の青色申告承認申請手続

3-2.②業種や事業の進め方に応じて必要な手続きを行う

開業届以外に、業種や事業の進め方に応じて必要な手続きを行います。

<許認可が必要な業種で事業を行う場合> 
許認可が必要な業種で事業を行う場合は、該当する行政機関へと申請を行わなければなりません。 
例えば飲食業では保健所からの許可、物品を倉庫で保管する倉庫業では運輸局への登録が必要とされています。この他にも様々なものがあり、許認可を得ずに営業を行うと法令違反で処罰される可能性があります。

自分の行う事業に何か許認可が必要か、どこが手続きの窓口となっているのか、必ず確認しておくようにしましょう。

<従業員を雇用して事業を行う場合>
従業員を雇用して事業を行う場合は、労働保険(労災保険と雇用保険)への加入が求められます。
労働基準監督署と公共職業安定所(ハローワーク)へ、それぞれ必要書類を提出しなければなりません。 
また雇用する従業員の数が常時5人以上であれば、年金事務所へ手続きを行って、健康保険と厚生年金へも加入する必要があります。 

この他にも以下のケースに当てはまれば、管轄の税務署へ書類を提出します。

ケース提出する書類
配偶者や親族を従業員として雇い、支払う給与を青色申告で経費として計上する場合青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
常時10人未満の従業員へ給与を支払っており、源泉徴収税を年二回納付にする場合源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書
開業届において「給与等の支払の状況」を記入しなかったが、従業員を雇って給与を支払う場合給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書 
所得税の計算における在庫(棚卸資産)の評価方法を、自身で選択したい場合所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書
所得税の計算に関わる減価償却資産(機材、自動車など)の取得金額の計算において、自身で計算方法(定率法)を選択したい場合所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書

4.会社を設立して独立する場合に必要な手続き

会社を設立して独立する場合に必要な手続きは、以下の通りです。

  1. 会社の基本事項を決定する
  2. 定款を作成し公証人から認証を受ける
  3. 資本金を振り込む
  4. 必要書類を揃えて法務局で設立登記申請を行う
  5. 諸官庁や機関へ必要な手続きを行う

4-1.①会社の基本事項を決定する

まず事前に、会社の基本事項を決定しておきます。 
決めるべき事項は会社名(商号)や会社住所(本店所在地)、資本金、事業目的など、これから提出する登記申請書にて記載していく内容です。

商号は同じ所在地に、同一の商号がないことを確認しましょう。

4-2.②定款を作成し公証人から認証を受ける

定款を作成し、公証人から認証を受けます。 
定款とは、会社の規則やルールをまとめた書類のことです。必ず記載しなければならない下記の事項に注意して、作成する必要があります。

  • 会社名(商号)
  • 会社住所(本店所在地)
  • 資本金
  • 発起人(出資者)の氏名・住所
  • 事業目的
  • 発行可能株式数

作成後、公証人役場へ提出して公証人の認証を受けます。
なお定款を印刷せず、PDFファイルで作成する電子定款をオンラインにて認証申請することも可能です。 

※合同会社を設立する場合は、定款認証は不要となります。

4-3.➂資本金を振り込む

定款認証後、発起人が定めた銀行口座へ資本金を振り込みます。 
設立登記申請時に払込証明書が必要となるため、振込後は忘れずに作成しておくようにしましょう。

資本金の金額に関しては、法律上では1円からでも設立可能とされています。 
ただしあまりに少ない資本金だと、銀行や取引先から信用を得られず、会社経営に支障を来たす可能性がありますのでご注意ください。
 

4-4.➃必要書類を揃えて法務局で設立登記申請を行う

ここまでの準備や必要書類を整え、法務局で設立登記の申請を行います。
設立予定の会社の所在場所にある法務局へ申請し、完了すれば法的に会社が成立します。
法務局の混雑状況にもよりますが、申請から完了まではおよそ7日~10日ほどかかる見込みです。 
また登記完了後は、官公庁への届出の際に必要となる履歴事項全部証明書を法務局にて取得しておくようにしましょう。

会社設立登記申請に際して必要となる書類は以下の通りです。

必要書類必要な数詳細
設立登記申請書1通社名や所在地など、会社の基本的な事項を記載した書類です。法務局窓口、もしくは法務局HPよりダウンロードして入手できます。
登記すべき事項1式登記申請書に記載した内容を補足した書類です。書面のほか、CD-RやDVD-Rといった記録媒体で準備することも可能です。
定款謄本1通4-2参照。株式会社の場合は、公証人からの認証を受けた定款を準備する必要があります。
就任承諾書1通株式会社では取締役に、合同会社では代表社員に就任したことを証明する書類です。ご自身で作成します。
資本金払込証明書1通4-3参照。資本金の払込後にご自身で作成します。
印鑑登録証明書1通就任承諾書に捺した印鑑が本物であることを証明する書類です。市町村役場窓口で発行してもらいます。
印鑑届出書1通会社実印である代表取締役印、角印(社印)、銀行印のうち、代表取締役印を法務局へ届け出るための書類です。法務局のHPからダウンロードして入手できます。
登録免許税の収入印紙および貼付け台紙1通会社設立する際に必須である、登録免許税を納めたことを証する書類です。金融機関に入金する方法とコンビニや郵便局で税額分の収入印紙を購入する方法がありますが、後者の方が容易に準備できます。

書類の様式や記載例は、法務局のHPにて解説されています。

商業・法人登記の申請書様式

※会社設立に必要な書類に関して、より具体的に知りたい方は以下のサイトもご参照ください。

【決定版】初心者でも作成できる!会社設立の必要書類【全29種類】

4-5.⑤諸官庁や機関へ必要な手続きを行う

会社の設立登記が完了したら、諸官庁や機関へ必要な手続きを行います。 
届け出なければならない書類や提出先は、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 税務署
    法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所の開設届出書、 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
  • 都道府県事務所・市区町村役場
    法人設立届出書
  • 年金事務所
    健康保険・厚生年金保険の新規適用届、被保険者資格取得届、
    健康保険・国民年金の被扶養者届
  • 労働基準監督署
    労働保険の適用事業報告書、保険関係成立届、概算保険料申告書
  • 公共職業安定所(ハローワーク)
    雇用保険の適用事業所設置届、被保険者資格取得届
                               ・・・など

このほか個人事業主として開業する場合と同様に、許認可が必要な業態であればその認可を得るなど、必要な手続きを順次行っていきます。

会社設立後にやるべきことは以下のサイトにもまとまっています。 より詳細に知りたい方はぜひご覧ください。

【全網羅】会社設立後にやるべき39個を創業支援のプロが徹底解説


5.独立を成功させるために抑えておくべき6つの注意点

実際に独立し成功させるために、抑えておくべき6つの注意点をまとめてみました。 
1章で解説したステップを踏まえつつ、以下に挙げるようなことを意識・実行できると、スムーズな独立の実現や安定した経営へ繋げることができるでしょう。

  1. お金や経営に関しての知識を習得する
  2. 資金管理を徹底する
  3. 事業用のクレジットカードや銀行口座を持っておく
  4. 独立後も事業計画は見直すようにする
  5. 人脈を事前に作っておく
  6. 相談できる相手を見つけておく

いずれも欠かせないポイントではありますが、1~3事業継続に大きな影響を持つ「資金」に関するため、特に重要です。
そしてこれらの注意点を確実に抑えるには、財務関係の専門家である税理士の力を借りることをおススメします。その理由も併せて解説しましたのでお読みください。

5-1.お金や経営に関しての知識を習得する

お金や経営に関しての知識の習得に努めましょう。
事業を誤った道に進ませたり、資金を逼迫させたりしないようにするためです。
 
会社員のときは企業の経営方針に従って仕事し、給与をもらって生活する形でした。
しかし独立後は、自ら経営方針を立てて事業を動かしながら、収支状況の確認や資金のコントロールまで行うことになります。
事業がつまずかないよう、最適な方向へ引っ張っていくためにも、経営やお金に関する知識を習得しておくに越したことはありません。

習得方法としては書籍などを用いての独学、勉強会やセミナーへの参加等が挙げられます。
しかし一朝一夕に身につくものでもなく、そもそも内容が難しい・学ぶための時間を持てないという方も多いのではないでしょうか。
特に税金面に関しては多くの種類があり、税法も複雑で理解が進みにくいです。

そうした方は、税理士をはじめとした専門家に相談しながら知識を増やしていくのも一つの方法です。
専門家であれば一般的な知識は元より、書籍には載っていないような独自のケースであっても答えてくれます。そして場合によっては、専門家の方から役立つ情報を共有してくれることもあります。

実際に当社、辻・本郷 税理士法人ではこのような事例に対応したことがあります。

事例1:消費税の還付制度があること、還付を受けられることをアドバイス
独力で事業開始まで漕ぎつけたAさんでしたが、初期投資で支払った消費税額が事業開始後に得た消費税額よりも多額であった場合は、消費税の還付を受けられることをご存知ありませんでした。
還付制度があること、条件を満たしているため制度を利用できることをアドバイスし、無事還付を受けられました。
貴重な事業の資金を考えても、数百万円もの還付を受けられるのは大きいと言えます。

通り一遍の独学ではなかなか気づきにくい・判断しにくい部分でも、専門家の助けを得ることで経験や知識として習得することができるのです。

5-2.資金管理を徹底する

事業とプライベートの両面から資金の管理を徹底しましょう。
売上がある程度出ていたとしても、資金管理が疎かだと気づかないうちに資金繰りが悪化し、事業継続が困難な事態に陥る可能性があるからです。

資金管理ができていないことで懸念される事態は様々ですが、その一つに黒字倒産というものがあります。
これは売上が立ってから入金までのタイムラグの間に手元の資金が不足し、帳簿上は黒字であるにも関わらず事業の継続ができずに倒産してしまうというものです。

 

この黒字倒産の理由は様々あるものの、決済までの資金確保を怠る等、しっかりした収支管理が行えていなかったことも大きな原因として挙げられます。
こうした事態を回避するためにも、日ごろから資金管理を徹底しておくことはとても重要なのです。

※黒字倒産についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
黒字倒産とは?図解でわかる対策法 顧問税理士を活用するメリット

事業を経営する立場になると、収益は自身の生活費のみならず、事業の維持費にも関わってきます。
現状の資金がどれくらいあるかは勿論、何に費用がかかっているのか、いつ頃売上が入ってくるか等細かくチェックし、必要であれば資金を調達する方法も検討する必要があります。

資金管理に悩んだり、自身で適切に処理していけるか不安な方は、財務関係の専門家である税理士の手を借りることも検討してみましょう。
税理士であれば無駄のない節税対策を打てるほか、起業後の資金調達や補助金・助成金に関してのアドバイスももらえるからです。

実際に当社でも、以下のように対応した事例があります。

事例2:融資を受けることにネガティブだった方にアドバイスして、資金繰りを改善
「融資で借入を行うことは借金することと同じ」というネガティブなイメージを持っていたBさんは、融資は利用しないようにしていたことで逆に資金繰りが悪化してしまいました。
「融資を受けること自体は決して悪いことではなく、こまめにきちんと返済できれば貸し手から信用を得られて繰り返し借りることができる」ことをお伝えし、適切な融資元をアドバイス。
融資を上手く活用して、無事資金繰りの改善につなげられました。

この他にも税理士に相談すると、このようなメリットもあります。

  • 無駄な税金を支払わなくてすむ
  • 会計業務や報酬・給与の計算など、様々な業務を代行してもらえる
  • 経理指導を受けられる
  • 税金関係の手続きで間違いが発生しない
  • 創立日や開業費についてアドバイスをもらえる

資金管理は事業を継続するために必要不可欠ですが、悩まれている方もとても多いです。
もし不安な方は専門家へと相談し、徹底した資金管理へと繋げることをおススメします。

5-3.事業用のクレジットカードや銀行口座を持っておく

前述の資金管理にも共通しますが、事業用のクレジットカードや銀行口座を持っておくようにしましょう。
個人で使っているカードや口座と一緒にしてしまうと、どれが事業での支出でどれがプライベートでの支出なのか、お金の動きが把握しづらくなってしまうからです。
収支の帳簿付けや確定申告を行う際にも手間が増えてしまいます。
事業用と個人用を分けることは法律で義務付けられてはいないものの、分けておいた方がメリットは多いと言えます。 

なお、独立後だと社会的信用が低く見られ審査が通りにくくなる傾向があるため、クレジットカードは独立する前に作成しておくことがおススメです。

5-4.独立後も事業計画は見直すようにする

独立後も逐次、事業計画は見直すようにしましょう。 
実際に事業を行ってみた結果や市場自体の変化によって、当初の計画では対応しきれなくなってしまうこともあります。
そうした場合でも焦ったり頑なに方針を変えないのではなく、動向に合わせて計画を見直し、臨機応変な経営を行うことが大切です。

なお事業計画の作成・見直しを行う上でも、税理士は大きな力となってくれます。
繰り返しお伝えしたように、安定した事業の経営を行うには円滑な資金繰りを行う必要があるからです。
税理士のサポートを受けることで、資金面から見ても無理のない事業計画を作成することが可能となります。

5-5.人脈を事前に作っておく

自分がこれから始めるビジネスにおける、人脈を事前に作っておきましょう。
取引先や業務提携先になってくれたり、アドバイスをもらえたりするなど、独立後の安定した事業経営に大きく寄与してくれる可能性があります。

SNSや異業種交流会などのイベントを活用するのもひとつの方法ですが、1-7でも述べたように、独立前に所属した会社と良好な関係を保っておくことも大きなプラスとなります。

5-6.相談できる相手を見つけておく

独立の準備段階や独立後の経営に関して、信頼できる相談相手を見つけておくと心強い存在となります。

身近にそうした方がいない場合は、専門家の方を相談できるパートナーとすることも一つの手です。
特に税理士であれば、資金繰りや節税に関することだけでなく、それらが直結する経営面の相談にも乗ってくれる場合があります。

実際に当社へもこのような事例がありました。

事例3:資金関係のみならず、経営に関してもアドバイス
初めて会社を設立するというCさんは、資金関係だけでなく経営に関しても不安を感じて、当社へご相談くださいました。特に不安のあった経営方針の決め方や節税対策についてアドバイスを行い、結果、資金繰りの改善にも繋がりました。

自身の決断が事業の先行きを左右するため、どうすれば良いか悩むことも多々出てくるでしょう。
そうした場合にも偏った考えに陥らないよう、信頼できる相談相手を見つけておくと安心です。


6.独立に際してお悩みの方は辻・本郷 税理士法人にご相談ください

独立に際してお悩みの方は、ぜひ辻・本郷 税理士法人にご相談ください。
前章で専門家の力を借りるメリットにも折々触れましたが、中でも辻・本郷 税理士法人であれば以下のような特徴から、皆様のお悩みに広く深く対応することができます。

  • 土日祝日や夜遅い時間でも相談できる
  • 幅広い業界・業種に広く対応できる
  • 豊富な節税ノウハウによって費用や税金を抑えられる
  • 会社設立の費用を安く抑えられる

6-1.土日祝日や夜遅い時間でも相談できる

土日祝日や夜遅い時間の相談にも対応しています。

現在独立を考えていらっしゃる方の中には、平日・日中の時間帯は働いているという方も多いのではないでしょうか。
そうした土日祝の休日や夜間しか時間が取れないという方でも、辻・本郷 税理士法人では無料で相談いただくことが可能となっております。 
 
そして資金関係以外の面での相談やサポートも、当社で丸ごと対応することができます。
社会保険労務士や弁護士といった、他の士業パートナーとも連携しているからです。

 

独立後の事業経営時はもちろん、独立前の準備段階においても時間を気にせず、ワンストップでお困りごとに対応できる体制が整っています。

6-2.幅広い業界・業種に広く対応できる

幅広い業界・業種の事業の立ち上げから経営についてまで、広く対応することができます。
辻・本郷 税理士法人ではこれまで以下のように、様々な業界・業種の方のサポートを行ってまいりました。

 

会社の設立手順や注意点ひとつ取っても、業界や業種によってそれぞれ違いがあります。
例えば人材派遣業を行う場合、派遣元責任者の資格や労働者派遣事業許可が必要です。条件によって資本金額が異なっていたり、事務所を設置する上での要件が定められていたりもします。

こうしたことを知らずに事業を始めようとすると、手続きでつまづいて時間を取られたり、場合によっては事業を開始できなかったりする恐れもあるのです。

しかし辻・本郷 税理士法人であれば、あなたが始めたい事業の業界・業種に合わせて最適なサポートを行い、スムーズに事業の開始・経営を進めることができます。

6-3.豊富な節税ノウハウによって費用や税金を抑えられる

豊富な節税のノウハウを持っているため、起業や経営をする上での費用や税金を抑えられます。

辻・本郷 税理士法人は創業期から見るとおよそ50年にわたって、多くの方のサポートを行ってきました。そしてこれまで手掛けた会社設立の実績は、累計3万件にも及びます。
こうしたことから膨大な量の税に関する知識・経験を持っており、税のプロフェッショナルとして、あなたがこれから行っていきたい事業の節税にも大きく貢献できます。

また、お役に立てるのは税金関係に限りません。
独立前後に利用すべき資金調達や助成金・補助金制度に関しても、これまでの豊富な実績をもとにアドバイス・サポートすることが可能となっております。

 

辻・本郷 税理士法人にお任せいただくことで、最大限に節税や資金確保を実現することができるのです。

6-4.会社設立の費用を安く抑えられる

法人として会社設立する場合は、会社設立の費用を安く抑えることができます。
以下はご自身で会社設立した場合と、辻・本郷 税理士法人の会社設立サービスを利用した場合を比較したものです。

費用ご自身で設立登記代行パックフルサポートパック
設立にかかる実費合計(定款認証印紙代、登録免許税など)222,000円182,000円182,000円
当社設立手数料0円33,000円0円
設立費用特別割引0円0円-39,000円
合計222,000円215,000円143,000円

ご自身で手続きを行った場合はおよそ222,000円かかる計算となりますが、当社で担当させていただいた場合は登記代行パックで215,000円、フルサポートパックでは143,000円と費用を抑えられることがお分かりになるかと思います。

※フルサポートパックご利用の場合は、会社設立と同時期に当社との税理士顧問契約が条件となります。

会社設立は個人事業主として独立する場合と比較して、手間や費用がかかってしまいます。
しかし当社の会社設立代行サービスを使用することで、手間や費用を抑えられ、その分を資金の節約や他の起業準備の時間へと充てることができます。


7.まとめ

最後に本記事に関しての要点をまとめてみました。

●独立を実現するための7つのステップ

ステップ1:自己分析を行う
ステップ2:事業計画を立てる
ステップ3:家族の理解を得る
ステップ4:資金計画を立てて必要な資金を用意する
ステップ5:独立する目標の時期を決める
ステップ6:必要な手続きを行い事業を開始する
ステップ7:退職の手続きを行う

●確実に売上の見込みが立ったタイミングで退職手続きを行い、独立する

●独立を成功させるために抑えておくべき注意点

1.お金や経営に関する知識を習得する
2.資金管理を徹底する
3.事業用のクレジットカードや銀行口座を持っておく
4.独立後も事業計画を見直すようにする
5.人脈を事前に作っておく
6.相談できる相手を見つけておく

●独立に関して悩んでいる場合は、辻・本郷 税理士法人に相談すると以下のような利点がある

  • 土日祝日や夜遅い時間でも相談できる
  • 幅広い業界・業種に広く対応できる
  • 豊富な節税ノウハウによって費用や税金を抑えられる
  • 会社設立の費用を安く抑えられる

最初にお伝えしたように、独立するには段階を踏んで入念な準備を行うことが大切です。
そうすることで独立の達成のみならず、その後の安定した事業経営にも繋げることができます。
 
とはいえ、置かれた状況や目指したい業種などは、人の数だけ様々です。
「自分の場合でも果たして大丈夫なのか」不安やお悩みのある方は、まずは辻・本郷 税理士法人へのご相談も検討してみてください。

業界で多くの顧問先を支援している辻・本郷税理士法人
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